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ザ・ゲームワールド  作者: 祐。
一章
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道具屋・鍛冶屋の説明

「羊さん……とても可愛いですね……っ」


 あの甲高い鳴き声を上げて喜びの表情を浮かべる羊。それの頭を撫でながら、とても興味深いものを見る目つきで眺めやるナビ子。

 ナビ子の案内に連れられ、俺はこの拠点エリア:のどかな村の一角に広がる大きな農場に来ていた。

 緑が広がる幻想的なその景色と、活き活きと生命活動を行う数十もの牛や馬、羊や獰猛な犬のようなモンスター達。その様子は、時間を忘れて没頭出来てしまえるほどに、とても美しい光景であった。


「ナビ子、羊が好きなのか?」


「あ、はい。なんだか、見ていてとても癒されます。このおっとりと言いますか、何を考えているのかがわからないこの表情が堪りませんね」


 ナビ子の感性がよくわからない。

 返答に困ってしまった中で、ナビ子はあっと息を飲んで俺の方へと振り向く。


「す、すみません。ナビゲーターとしての役目を放棄してしまっていました」


「あ、あぁいいよ。好きなだけゆっくりしなよ」


「お心遣いありがとうございます。でも、ワタシはもう大丈夫です。羊さんに癒されたところで、これから散策を兼ねたこの村及び拠点エリアというシステムの説明をしていきますね」


 礼儀を弁えるように両手を組み、ナビ子は真剣な眼差しをのどかな村の農場へと向け始める。


「こちらは農場です。先程からもご覧になっていただいておりましたが、この世界の農場というものは、主に牛や馬、羊や気性が穏やかなモンスターを家畜として飼育する自然の豊かな場となっております。農産業はもちろん、市場に出回る肉や毛皮の調達を兼ねた商業の場でもありますので、特別な発令が無い限りはこちらに住まうモンスターを攻撃しては絶対にいけません。傷を付けてしまいますと、賠償請求が届いてしまうので」


 賠償請求。なんか、唐突にすげェリアルな単語をぶっ込んで来たな……。


「なお、存在する一定のモンスターは家畜やペットとして飼育することが可能です。ただし、モンスターのペット化という要素のアンロックには、サブクエストであるクエスト名:モンスターをペットにするを事前にクリアしておく必要があります。なお、中にはペットとしたモンスターを操ることで戦闘を行うという職業が存在しておりまして、このサブクエスト:モンスターをペットにするをクリア致しますと、同時に新たな職業:ビーストテイマーがアンロックされます。獣使いという一味違った戦闘を行えるシステムが魅力となっておりますので、クエストを見かけた際にはぜひ挑戦してみてくださいね」


 と、ナビ子は目を輝かせながら俺へ催促を促す。

 彼女、余程なまでに動物のことが好きなんだな。ナビ子のためにも、そのサブクエストを見つけ次第にそれのクリアを優先するとしよう。


 ……ところで、チュートリアルでその姿を見せていた、ユノのあの禍々しい獣。あれもそのビーストテイマーという職業で飼い慣らしたペットだったのだろうか。

 そんな疑問を抱きつつも、既に次の目的地へと歩を進めていたナビ子の姿に気付いた俺は、慣れない世界での迷子を避けるため彼女に置いていかれまいと慌てて駆け出すことに。


「こちらは道具屋と呼ばれるお店です」


 目の前の屋台に手をかざすナビ子。

 職人が木製と鉄を用いて造ったのだろうか。なんとも立派な外装でありながらも、どこか手作り感を思わせるナイスな屋台。なるほど、確かにこののどかな村にお似合いな外装だ。こんな屋台があったら思わず立ち寄ってしまうなぁ、と。そんな優しい印象を抱ける外装をしている。


「道具屋であるこちらは、日常品から戦闘用のお助けアイテムまで、様々な道具を取り扱うお店です。この道具屋で購入可能となっている回復アイテム、ポーションは序盤で大変活躍するアイテムであるため、購入はほぼ必須と言っても過言ではないでしょう。他にも、虫取り網や釣竿、ツルハシやスコップもこの先の旅路で大変活躍するアイテムであるため、所持金に余裕ができた際には手に取ってみることをオススメ致します」


 ナビ子の説明を聞きながら、見入るように道具屋の品揃えを眺めやる俺。

 回復アイテムや虫取り網、釣竿、ツルハシ、スコップ。とても見慣れたアイテムはもちろんのこと、この道具屋にはそれらの隣に、何かのトラップや様々な種類の銃弾、謎の液体が詰められた透明な袋やフック付きのロープ、そしてダイナマイトに似たいかにもな爆弾までもが品揃えとして並べられているのだ。

 他にも多種多様なアイテムが並んでいるものの、序盤である今の知識だと何が何だかさっぱりわからない謎なアイテムばかりが揃っている。うわぁ、ワケがわからなさすぎて、なんだか目が回ってきた。


 そんな俺の脇を通り抜けたナビ子。

 その律儀な足取りで道具屋の店主へと近付き、店主から何かの承諾を貰うと共にナビ子は品物を手に取り始めた。


「こちらの虫取り網では昆虫を捕獲することができ、こちらの釣竿では魚類を釣り上げることができますし、こちらのツルハシでは鉱物を発掘することができます。また、こちらのビンを用いることで空気中に漂う魔力を収集することが可能となっており、こちらの掬い網では水分に溶け込んだ魔力の結晶を回収することができます。あと、少々難易度が高まってしまいますが……こちらのパチンコで飛行物体を打ち落とすことも可能だったりします」


 説明を添えながら品物を一つ一つと手に取っていき、次々へと俺に見せていくナビ子。

 その丁寧な説明と共に目撃する見慣れない道具の数々に、俺は思わず困惑を隠しきれなかった。魔力を収集ってなんなんだ、魔力って収集できるものなのかすげェな。


「それでは、次へ行ってみましょうか」


 一通りの説明を終えたナビ子。店主にお礼の言葉を言うなり、俺を次なるシステムのもとへと案内していく。


「こちらは鍛冶屋と呼ばれるお店です」


 次に案内された場所は、鍛冶屋と呼ばれる屋台の前。

 先程の道具屋に似た雰囲気を持つこの屋台。その唯一の違いと言えば、取り扱っている品物やシステムの数々といったところか。


「武器や防具を専門的に取り扱う、戦闘用の道具が揃えられたお店です。また、発掘した鉱物やモンスターの素材などを手渡し依頼することによって、新たな装備品を生成してくださるサービスも請け負っています。こちらの鍛冶屋には多種多様な武器や防具が取り揃えられておりますが、それぞれの武器や防具にはカテゴリと呼ばれる、職業によるジャンルが定められております。それに当て嵌まる装備品でないと装着することが不可能であるため、装備品の購入や装着には十分な注意を払ってください」


 カテゴリやジャンル。なんだか紛らわしい言葉が次々と出てきたが、要は職業によって装備できる武器や防具が決められているというもの。


 そんな様々なカテゴリの武器が今、俺の目の前にずらりと並べられている。

 目の前には俺が持つソードを始めとして、それよりもリーチの長い剣や柄の両端に刃が取り付けられた棒、薙刀や斧や巨大な剣、二本でワンセットの剣やレイピアやダガー、ハンマーや巨大な棍棒や大きなハサミ、鋭い刃をいくつも取り付けることで爪を模したグローブや扇やトンファー、棍や小さな盾から大きな盾まで、銃やクロスボウや弓、メイスやロッドや槍、ブーメランやハープや鎖鎌。


 ……などなど、何だか数え切れないほどにまで多種多様な武器が揃えられている。中には鎌や釜までもが置いてあるという充実っぷり。


「ご主人様の現在の職業は冒険者ですね。でありますと……現在装備可能となる武器は、全職業において装備可能であるソードと、カテゴリ別に装備可能とされるダガー、クレイモア、鞭、ステッキが装備可能となっております。また、ソード、ダガー、ステッキはメイン片手武器であるため、もう片方の手にバックラー、短剣、短銃といったサブ片手武器を装備することが可能です。サブ片手武器はより戦闘を有利にする効果が期待される優れものではありますが、バランスというシステムの関係でデメリットも存在しております。例として、バックラーは盾を用いることで防御効果を高めますが、手の空きが埋まってしまう関係で受身が大変取り辛くなり、回避効果が下がってしまいます。そういった具合に各補正がそれぞれのサブ片手武器に設定されているため、注意が必要です。また、クレイモアと鞭は両手武器のため、サブ片手武器が装備不可となります」


 ……なんだかややこしいぞ。

 要約をすると、片手で持てる武器の場合は、もう片方の手にも武器を持つことが出来る。が、しかし、その分のメリットとデメリットが存在するため注意が必要……と言ったところだろうか。

 空いている手が無くなるため、受身が取り辛くなる関係で回避の確率が下がるのか。盾は欲しいなぁとは思ったものの、それはそれでちょっと困るなぁ。ここら辺は俺の今のステータスと相談ってところか。


「それでは、次の説明へと移っていきますね」


 そう言って、ナビ子は再び次なる目的地へと足を運んでいく。

 やはり序盤なだけあって、頭に入れるべき情報量が中々に多いな。そんな苦労を感じつつも、それもゲームの醍醐味か、という結論に自身で納得しながら俺はナビ子の背を追っていったのであった。


 拠点エリアの説明は、あともう少しだけ続く――――

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