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ザ・ゲームワールド  作者: 祐。
四章
269/368

ウェーブ一:開戦

 眼前に無限と広がる地平線。太陽の陽が零れ出すのと同時にして、"それら"は立ち上り、目の前の大空が漆黒に染まり出す。

 黒を散らしながら大空を段々と覆っていく巨大な影。それは、この世界を蝕まんと蔓延る邪悪の化身。


 地を這う人間の勢力は、天を覆い被さる邪悪の大群へと進撃を開始し。この、神聖なる疾風の加護を受けしフィールド:風国を舞台に。天と地から進行する互いの勢力が今この時をもってぶつかり合い。襲来する『魔族』を引き金に、今回のメインシナリオは最終局面を迎えた。



 パステルなカラーが立ち並ぶその光景も、差し込んだ陽を遮る大空の大群にその色取り取りが虚しく陰り始めて。

 次第に接近し合う互いの勢力。大空の漆黒は降下を開始し、大群となって風国の中央へと降り立ち。"それら"への迎撃のために、こちらもまた中央へと突撃していく。


 散り散りとなった黒の羽が宙を漂う空間。禍々しき存在の圧がひしひしとこの胸を締め付けて。それは、この先にも展開される殺伐とした生存競争を予感させる――



 銃の武器を持つ風国陣営がそれを構え、眼前の『魔族』の大群への掃射を開始した。

 この地における強風の影響を受けない、強力な性能を誇る特製のそれを身体に受けて。『魔族』もまた、邪悪なる翼を生やしては手元へと伸びて剣や銃の形を生成し。それから生成された漆黒の武器を手に取り、迎撃を行うこちらの陣営へと接近や射撃を開始していく。


 "ヤツら"の外見は様々な特徴を有していた。

 主としては人型である。しかし、それは人間のような肌色をしているものもいれば、完全に黒に染まる怪物のような輩も。その顔も人間のような形をしていれば、獰猛なモンスターの如き魔物の形を象っていて。衣類を身に付けているが、それは簡易的に巻かれた布や紐といった生地の少ないものから、立派な漆黒のマント、影のようなズボン。素足から靴を履きこなす存在も見受けられて。そのまま人間の形である外見から、手足が獣のよう鋭利な爪を持つ者。中には、魚類のエラのような線が入る形の者までもが交じっている。


 『魔族』という種族は、その様々な生物の特徴を一つにまとめたかのような生態であることを容易にうかがわせる。云わば、キメラの軍団とでも言えるだろうか。

 それらは一環として、漆黒の衣類を身に纏い。自身の背から禍々しき邪悪なる翼を生やし、それを剣や銃といった様々な武器へと変形させ、それを手に取り物体として扱い出す。

 中には、翼から魔法陣を生成し、ドでかい闇属性の弾を発射する者もおり。『魔族』という種族の戦闘方法は主として、自身の背から生やした翼から、戦闘の際に用いる様々を生成し攻撃を行うのだと見て取れた。


 人間のような声を張り上げ。それは男や女を思わせる音で叫び上げる。かと思えば、モンスターのような野生の雄叫びを上げ、ギチギチとコウモリのような不気味な音を発する存在も交じっていて。いよいよ、『魔族』という種族の実態に迫れる数々の要素が垣間見えたものだ。


 人間と『魔族』の交戦が開始され。その地は既に、あらゆる攻撃が飛び交う戦火と化していた。

 地に伏せる人間。仰け反り倒れる『魔族』。銃撃戦を主とされる戦火を、接近を主とする職業の仲間達と共に駆け抜ける中で。『魔族』もまた、邪悪なる大剣や斧を担いで列車の如き勢いを纏って接近を図ってくる。


 銃撃戦が織り成す激しい攻防の中、ついに接近のせめぎあいが始まった。

 剣のぶつかり合う金属音。スキルを身に纏い、互いの全力を放っていく人間と『魔族』。魔法を召喚し、中距離も支配する『魔族』が繰り出してくる様々な攻撃手段を掻い潜りながら。主人公アレウスもまた銃撃戦に交じり、クリスタルブレードを握り締め、眼前から迫り来る一体の『魔族』と相対する。


 それは人間の形をしていながらも、顎や頬といった所々が魔物の部位で形成される禍々しい姿。肌も黒く、破れた黒の布を身に巻きつけた野蛮な衣装を纏うおどろおどろしい存在。

 人間の笑い声とモンスターの鳴き声が交じる不気味な音を立てるその『魔族』は、肩に掛けながら手に持っていた巨大な斧をおもむろと振り被り、力を溜めるその動作のままに、こちらへと先制攻撃を仕掛けてきたのだ――――



【~次回に続く~】

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