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ザ・ゲームワールド  作者: 祐。
四章
268/368

メインシナリオ:対魔族迎撃作戦

「ミント。続けて、今回のメインシナリオについての解説を頼む」


「承知いたしました」


 戦闘システム:ブレイブ・ソウルの解説を一通りと済ませて。次は今回のメインシナリオに設定されているという、ちょっと特殊なシステムの解説を頼む。

 ふぅっと一息をつくミント。胸に手を当てて、その思考を整理させてはこちらを見遣り解説を始め出す。


「今回のメインシナリオ及びこれからに控えたメインクエストにおかれましては、この、『フィールド:風国』を舞台とした特殊な仕様が施されております。今回、フィールド:風国で行われる戦闘には、"ウェーブ"、と呼ばれる戦局の段階が設定されており。これから、ご主人様はこちらのウェーブを渡り歩いてもらうこととなります。尚、ウェーブというものは、ゲームクリアに達するためにクリアするべきステージの段階。もっと分かりやすく例えるとしたら、そのままの意味で、ステージ、ですね。これからご主人様は、このフィールド:風国を舞台にした複数に渡るステージを攻略してもらいます」


 ウェーブ。この地に決められた設定の名を口にして、ミントは続けていく。


「これからご主人様に攻略してもらいますウェーブは、全てで五つ。それぞれ、ウェーブ一。ウェーブ二。ウェーブ三。ウェーブ四。そして、最終ウェーブ。それぞれのウェーブにて、ご主人様は『魔族』と交戦を行い。そして最終ウェーブへと辿り着き、メインクエストのクリア条件を満たすことでメインシナリオをクリア。というのが、今回のメインクエストにおける一連の流れでございます。各ウェーブの突破条件はそれぞれ、第一、第二、第三、第四、共にウェーブ終了までに生存を果たしていること。そして、最終ウェーブの勝利条件は…………今回のメインシナリオの大トリを飾る、エリアボスの打倒、でございます。一方で敗北の条件でありますが。そちらは、今回ご主人様に防衛を担当してもらいますフィールド:風国の強奪を許してしまうこと。具体的には、侵攻する『魔族』の勢力を抑え切れず、風国全土に『魔族』が蔓延ってしまったその時にも、ご主人様及び風国の勢力の敗北。となります。尚、メインクエストの中でご主人様がゲームオーバーを迎えてしまった際には、侵攻の具合に関わらずと敗北と見なされ判定され。同時に、こちらのゲーム世界が消滅を迎えてしまうことには予めご留意くださいませ」


 要は、主人公アレウスはこれからこの風国の中にて各ステージに挑戦してもらい、それら全てを突破してもらう。そして、最後に待ち受けるボスを倒して、今回のメインクエストは終わり。ということか。

 各ステージのクリア条件は、ただ生き残ること。最後だけは、エリアボスを倒すこと。それは至ってシンプルな内容ではあるが。だが、そのシンプルな内容がまた難易度の高いものであるために。今までのメインクエストと同様に、今回も一筋縄ではいかない内容となることはほぼ確実なものだろう。


「……ありがとな、ミント。……そして、これからよろしく頼む」


「このミント・ティー。ご主人様に永劫的と仕える主人公様専属ナビゲーターとして、それが例え地獄の門を叩く道のりであろうとも、このワタシはご主人様の傍で常にお供をいたします」


「心強いよ。その存在だけでも、俺は勇気を与えてもらえる」



 少女、少しばかりと顔を赤くして俯いて。

 こういった言葉に弱いのは、冒険を始めた時から全くと変わっていない。そんな、変わらない少女の姿に安心感を抱き。互いに頷き合い、ミントは球形の妖精姿となってこの懐に潜り込む。


 懐に消える少女を見送り。少女の入り込んだ自身の胸を左手で覆い。……クリスタルブレードを取り出し、主人公アレウスはその時に備えていく――




 ――眼前に無限と広がる地平線。そこから太陽の陽が零れ出すのと同時にして、"それ"は遠くの自然の地帯から禍々しく立ち上り始め。"それ"が上空に達すると同時にして、目の前の大空が漆黒に染まり出す。


 黒を散らしながら大空を段々と覆っていく巨大な影。それは、この世界を蝕まんと蔓延る邪悪の化身。

 眼前の光景に、その時を迎えた一同に走り出す戦慄。

 動き出すこの勢力の長は、耳に装着した通信機で連絡を取り始め。機器を通し言葉を交わし、直にも彼女から勢いよくと差し伸ばされた右腕を合図に、その場の総力は一斉と武器を構え出した――


「こちら、テュリプ・ルージュ! 宿屋からお見えになられておりますでしょうか、トーポさん! ついに、この時が訪れました! っはい。はい、了解。このテュリプ・ルージュ。この、風国の一同。我々はこの地を蝕む"彼ら"を相手に、勝利を掲げた健闘を繰り広げ。幕を上げ開戦を迎えた戦争にて、命を懸けた全力の末に、必ずやこの地に栄光の勝利をもたらしてみせますっ!! っそちらこそ、どうか、ご無事で。……武運を」


 機器から手を離し、左手に弓を取り出し右手で矢を番え。

 ラ・テュリプもまた戦闘の体勢を構え。覚悟を抱きしその勇姿と、恋情の如き燃え滾る炎を瞳に宿し、高らかとそう言い渡していく。


「十二時の方向に、敵勢力を発見!! この時をもって、対『魔族』迎撃作戦を開始いたします!! 皆!! 覚悟を決める時よ!! とうとう『魔族』が襲来してくるわ!! ……それでいて。こんなときに、こう言うのもあれなのだけど。……皆、こんなにも危険な作戦に進んで参加をしてくれて、本当にありがとう。あたしは、皆の勇敢なる意思に、心から感謝をしているの。だから……共に、この命を燃やしていきましょう。――敵の出現。これより、『魔族』を迎撃します!! グループB、グループDは引き続いて九時の方角と三時の方角を! グループCは我々グループAと合流するべく現地点から早急なる移動を! そして! グループA!! この場に集うグループAの皆は全員、このあたしに続いてくださいッ!! ……これが、運命の分け目よ。この命を燃やして、気張って、そして……生き残って、また会いましょう。っ総員、ならえ!! 出撃ィィィィイッッッ!!!」


 宣言と同時に、弓を携え駆け出すラ・テュリプに続く風国の勢力。

 自身と周囲を鼓舞する命の雄叫びが風国全土へと轟き。リーダーである彼女を先頭にして、この場の全員が彼女に続いて出撃を開始する。


 波に乗り、こちらもまた高台から飛び降り彼女の背を追い掛けて。

 地を這う人間の勢力。天を覆い被さる邪悪の大群。……神聖なる疾風の加護を受けしフィールド:風国を舞台に。天と地から進行する互いの勢力が今この時をもってぶつかり合い。襲来する『魔族』を引き金に、今回のメインシナリオは最終局面を迎えたのだ――――



【~次回に続く~】

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