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ザ・ゲームワールド  作者: 祐。
四章
246/368

主人公の素質①

 唐突のメインクエストの出現により、拠点エリア:風国という安全地帯に巻き起こった複数もの大きな爆発。

 それは、道具による爆発だったのか、はたまた魔法による爆撃だったのか。そもそも、なぜ街中でそのような物騒な出来事が発生してしまったのか。つい昨日までの騒動と照らし合わせ、真っ先と思い浮かんだのは幾度となるモンスターの襲撃。


 ……このタイミングで、連日に続くハプニングの連続を前にして。それはもはや、不安や焦燥よりも先に。またか、と思い憂鬱が巡ってさえもしてしまう、毎日のように襲来してくるモンスターへの呆れ交じりの感情を抱きながら。しかし、NPC:トーポ・ディ・ビブリオテーカとの約束でもあり、個人としても『魔族』を倒すための目的として交わした彼との契りのために。連日に続き、風国の中でクリスタルブレードを取り出しながら、主人公アレウスは騒動の起こる地点へと駆け付けた――




 そこは、毎度と風国の建物やNPCが襲撃される、先のような広範囲にも渡る大きな爆発や、炎や氷といった魔法が飛び交う、風の都を舞台とした拠点エリアという安全地帯における立派な戦地。


 悲鳴や雄叫びが飛び交うその状況は、昨日にも終始と対応したモンスター襲撃と何ら変わりの無い光景。

 ……ではあったが、その交じる悲鳴や雄叫びといったNPCの掛け声を昨日よりもあからさまと聞き入れることができたものであり。その戦地にこれまでとは異なる違和感を覚えながら、より警戒を心掛け戦地を駆け抜けていくその中で。――ふと、崩壊した建物の近くで倒れていた一人の男性NPCを発見し、急ぎで彼のもとへと駆け付けていく。


「ッ!! 大丈夫ですか!! 今すぐ治療します!!」


「ぅ、ぉ……ぉ、た、助かる……ッ」


 自身の腰に手を回し、どこからともなく取り出したポーションをNPCの口へと押し付けて。急ぎの動作で一瞬と男性NPCの顔をぐりっとポーションで殴り付けてしまいながらも。液体を口へ含め応急処置を施していく。

 回復によってすぐさまと元気を取り戻した男性NPC。立ち上がり礼を言い、この場からすぐに立ち去ろうとする。


 が、その時にも彼は立ち止まり、こちらへとそう呼び掛けてきたのだ。


「ッ。そうだ! 今回は人が襲ってきたんだ!! 俺のように戦うこともできない無力の人間にも構わず、奴らは力に任せてこの風国を破壊し回っている!! きっと、この爆発が起こった他の場所も奴らの手によるものだ!! 君! 昨日も勇敢にモンスターと戦っていたな! 今回もそうなんだろうけれども、相手が人だからと油断してはダメだ!! 奴らは本気でこの風国を破壊している!! だから、躊躇なんかせずに、奴らを懲らしめてやってくれ!! 健闘を祈るよ!!」


「情報の提供、ありがとうございます! それらの貴重な情報をしっかりと把握し、こちらも全力を尽くしこの街をお守りいたします!! そちらもどうか、ご無事で!!」


 ポーション一つで得られたその有力な情報に感謝が口走り。その男性NPCを見送り、攻撃が飛び交う戦地へと向いていきながら。つい、この懐に潜っていた球形のミントへと尋ね掛けてしまう。


「……ミント。これはどういうことなんだ? なぜ、モンスターじゃなくて人がこの街を襲うんだ?! そんな、風国では一体何が起こっているっていうんだ!?」


「ご主人様。このミント・ティー、ナビゲーターという使命を受けこの生を授かった身でありながらも、メインシナリオのネタバレとなる情報のスキャンはタブーとされ、それら全てにおける内容の把握を禁じられております。故に、これら全ての真相を知るためには、ご主人様の勇猛なる前進あるのみ。との助言をいたすことしか許されておりません」


「くっ……分からないことが多すぎて頭がこんがらがるばかりだ。 ――いや、むしろそれくらいが丁度良いくらいだな。っミント! この風国のメインシナリオを見届けるためにも、まずはこのイベントをさっさとクリアしてしまおう!」


「このミント・ティー、ご主人様に永続的と仕える主人公専属ナビゲーターとしてどこまでもお供いたします」


 球形のミントと会話を交わしてから。クリスタルブレードを握り締めて、未だと爆発や魔法と武器の効果音が飛び交う戦場の地へと走り出す――――



【~②に続く~】

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