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ザ・ゲームワールド  作者: 祐。
四章
245/368

勃発のメインシナリオ

「とても良い事を聞けたものだし、今日は良い事が起こりそうな気がするなぁ! ――なぁミント。なんか、この付近に困っている人とかいないものかな? クエストが出現しているのなら、ちょっとそっちに寄り道して、人助けをしてから酒場に行きたい気分なんだ」


 この日も、街中を歩むその日常の中でまた一段と成長をすることができた気がして。

 ……朝から良い事を聞くことができた。と、一日の幸先の良いスタートに、これから起こる出来事に期待感さえも抱けてしまう何ともチョロい思考で小さな幸せを噛み締めるものであり。


 そんなこちらの問い掛けを耳にしては、ミントは至って平常ないつもと変わらぬ様子で律儀に頷き、言葉を返していく。


「拠点エリア:風国におけるクエストの確認。で、ございますね。ご主人様の指示通り、付近のイベント及び拠点エリア:風国に出現しているクエストをスキャンいたします。少々ものお時間を頂くため、予めご了承くださいませ。それでは、スキャンを行います」


 そう言い、街中であるにも関わらず、歩きながら自身の周囲に透明のホログラフィーを出現させてスキャンとなるシステムを実行し始めるミント。

 勿論、そんなメタなシステムとその具現化に周りのNPC達は目を見張るばかりであったものだが。その辺りへの意識は主人公とそのナビゲーターの両方とも緩くなっていたために。人目なんて気にせず、そんなメタな行為にも関わらず、構わずと続行していく。


 ……ものであったのだが。その人目は直にも、とある方向へと向き。そして、それは主人公とナビゲーターもまた、咄嗟に振り向くこととなったのだ。



 ――この時にも、突如と巻き起こった爆発とその轟音。余りにも唐突なアクシデントに、この街の中からは一斉と悲鳴が響き始めたのだ。




 ――突如と発生した爆発に続き、風国のあちこちから次々と爆発が巻き起こる。

 四方八方、各地から不規則に続く爆発の連続の音を聞き、又、それら爆煙を直で目撃して。その突拍子の無いあまりにもな出来事に焦りながらも、咄嗟にミントを手で遮り少女の護衛の態勢へと移行する。


「っミント!! これは、なんだ!? ま、またモンスターの襲撃か!? っちくしょう!! 俺、まだ酒場でパワーアップもしていないっていうのにっ!!」


「どうか落ち着いてくださいご主人様っ! 至急、拠点エリア:風国の現状をスキャンいたしま――――いえ、先のスキャンで既に結果が出ているようです。ただいま、そちらを報告いたします!」


 唐突の騒動に、周囲のNPC達が逃げ出すその人波のど真ん中で。ホログラフィーを手で寄せて掻き集め目を通していくミントと。クリスタルブレードを取り出し、いつモンスターが来ても良いよう戦闘態勢を取っていく主人公アレウス。


 悲鳴や喚声が鳴り響く阿鼻叫喚の中、人波に飲まれないようこの手で引き寄せていた少女のミントは目を通したホログラフィーに息を引きつらせ。こちらへと向いてくると同時に、冷静の裏に控えていた焦りを若干と浮かべながら報告を行い出した。


「ご主人様。拠点エリア:風国におけるクエストのスキャン結果なのですが。どうやら、メインシナリオに関する重要なクエスト。次なるメインクエストの一件のみを検出いたしました。そしてどうやら、こちらのメインクエストの出現位置は、爆発の起きた箇所と一致。同時に、メインシナリオとなる新たなイベントとアクションが開始されました。よって、この時にも、メインシナリオを再開いたします!!」


「っあぁそうか!! っあぁそうかそうきたか!! 俺は、この、強化をする前の状態でまた荒波に揉まれないといけないってことなのか!! 全く、良い事が起こりそうっていうあの何となくは何だったんだ!!」


「ご主人様! そちらは恐らく、気のせい、かと思われます!」


「なんて切ない予感だったんだ! 世の中ってのは非情だな!! んな、でも、そんな非情な出来事にいつまで嘆いていても仕方が無いよな。――爆発の起こった場所に行くぞ! ミント!」


 了解の一言で返すと同時に、球形の妖精姿へと変身したミントと共に駆け出す。

 事前の準備さえも許されないメインシナリオの唐突さに、このゲーム世界で生きる上での心得を改めなければと思い知らされて。何事も、やはり備えあれば憂い無しなんだな。と、前日にでも対策を施しておけば良かったと教訓を覚えながら。未だ疲労の残る身体を無理に走らせ、主人公アレウスは爆発の巻き起こった地点へと駆け付けた――――



【~次回に続く~】

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