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ザ・ゲームワールド  作者: 祐。
三章
160/368

エリアボス:組織の親方

「ヒーロー気取りのガキ共がァ!! 調子に乗るんじゃねェぞォ!!」


 怒号と共に、オレンジ色のオーラを纏い飛び掛かってきたエリアボス:組織の親方。

 担ぐように持っている巨大な剣をふりかざし。スキル攻撃の合図でもあるオレンジ色のオーラに身を纏うと剣が白く光り出して、それは更なる巨大化を果たす。

 見るからに高威力である一撃を前にして戦慄を覚えながらも、タイミングを見計らい冷静に行動を起こしていくミズキに続いて。こちらもまた回避コマンドを選択しては、真横に落ちてきた巨大な一撃をなんとか避けていく。


 すれすれであった行動に冷や汗を流しながらも。そんな初見の攻撃に焦る俺へのサポートとして、懐からは球形の妖精姿であるミントが飛び出してきた。


「ご主人様!! 相対するエリアボス:組織の親方が所持しております武器は『クレイモア』と呼ばれるものでございます!! 現在のご主人様の職業であります剣士でも装備することが可能であります目前の武器は、その外見に違わぬ攻撃力と範囲を持つ優秀な性能を有しております!!」


 クレイモア。RPGにおいてはよく耳にする名前の武器だ。

 手ごろさをコンセプトにしたソードとは反面となる、しっかりとずっしりとした巨大な刀身が特徴の、パワー型とも呼べるであろうその武器。その威力は先にも衝撃で体験し、これを食らってしまえば、防御力を上げたばかりである現在の状態であったとしても中々のダメージをもらってしまう可能性がある。


 武器:クレイモアの脅威を前にして、反撃の隙を突く余裕の無い俺へと振り向いてくる親方。

 ……どうやら、最初のターゲットは俺のようだ。


「ふんぬァァァアアアッ!!」


 上半身ごと仰け反らせての豪快な振り被り。それと同時にして放たれたクレイモアの一撃に備え、俺は剣士スキル:カウンターを選択していく。


「剣士スキル:カウンター!!」


 透明の気を纏いながら手馴れた動作でカウンターの構えを取っていき、クレイモアが落ちてくるタイミングと合わせて確実な反撃を狙いにいく。

 あとは、カウンターの成功と共に発生する瞬発力による飛び掛かりを行い、素早い反撃を返してやればあっという間に大ダメージを稼げるボーナスタイム――


「ッ……ぐァッ――!!?」


 ……の、つもりであったのだが。次の時にも、俺は眼前の攻撃をもらってしまっていたのだ。


 そのタイミングは完璧だった。それに、相手はオレンジ色のオーラを纏うことなく放ってきた通常の攻撃。通常の攻撃であれば、カウンターは難なくそれをいなし反撃の一撃を食らわせることができる。少なくとも、これまでがそうだった。

 ……じゃあ、どうして? 何故なんだ? それじゃあ何故、今回のカウンターが上手く決まらなかったのか? ……それを決定付けるある光景が、吹き飛んだ先で見上げた親方の姿に広がっていたことを。次の時にも俺は発見することとなる。


「……青色のオーラ……!?」


 それは、これまでに見たことの無い初見のシステム。カウンターといった、条件を満たせば相手への反撃が可能となる透明色や。攻撃力の上昇である赤色。防御力の上昇である緑色とはまた異なる青色のオーラを目撃し、俺は思考をめぐらせるばかりで硬直してしまう。


 そして、考えてしまい、動けずにいた俺のもとへとミントが飛んできた。


「ご主人様!! あちらは、常時発動しているスキルの目印です!! 青色のオーラに身を包むNPCは。ある条件を満たし、常時発動状態であるスキルをその身に纏っていることのサインでございます!! 今回のエリアボス:組織の親方が発動している青色のスキルは『ウォリアースキル:カウンター無効』!! 職業:ウォリアーにて習得することができ、無条件で発動状態となる常時発動型のパッシブスキルでございます!!」


「カウンター無効だと……!? それって、俺にはかなりの痛手になるスキルじゃないか……!!」


 一番の使用率であった剣士スキル:カウンターが通用しない。それは、メインウェポンとも呼べるであろう、戦う際における一番重要ともなる攻撃の手が封じられてしまったという痛恨の痛手。

 これまでのダメージ源であり、比較的安全にダメージを与えることができていたカウンターを使用することができないというのは。俺のプレイスタイルからして、ほぼ天敵とも呼べるであろう最悪な相性そのもの――


「クレイモアスキル:パワークラッシャー!!!」


 親方の宣言と共に、そのクレイモアの刀身に白の光源が宿る。

 初手の一撃と同様となるそのスキル攻撃。光源によってリーチが伸び、更に威力の増加という効果も宿しているであろう攻撃を前にして。

 動揺から上手く動けない俺へと飛び掛かってくる親方。その強面でクレイモアを振り被り。俺という敵に向かって容赦無く振り下ろす――


「ッ!? ッぐえェッ!!!」


 だが、空中という独壇場に上がってきた親方を許さぬ一撃が、彼の脇腹に加えられた。


 ロープによって高度と勢いを保ち、側からの強力な飛び蹴りをかましていくミズキ。

 その攻撃で吹っ飛び宙を舞う親方。そんな絶好のチャンスを、少年は見逃すわけもなく。追撃として、ミズキは流れる動作で次なる行動へと移行していく。


「ダガースキル:パラライズダガー!!」


「ううゥゥゥウオオォッ!! っんのやろォ!!! ウォリアースキル:頑丈!!」


 宣言と共に、身体に光沢が走り出す親方の身体と。右の手に持つダガーに僅かと迸る電撃を宿すミズキのダガー。

 その接触と同時に、ガキンッと弾かれる音が響き渡る。それは見るからに、ミズキの攻撃が弾かれたSEであった。……が。


「むぉッ。ぉォッ――」


 しかし、次の時にも状態異常:麻痺を発症したであろう親方の変異。攻撃の弾かれと共に宙へと投げ出されたミズキであったが、その彼の隙を逃すまいと、左腕を伸ばし親方の胴体にロープを引っ掛けて。次に引き寄せを行い、親方を強引にも攻撃の射程範囲内に入れてから。


「アクション:裏拳!!」


 俺との戦いの際に、最後の決め手として放ったあのアクション。ロープによるトリッキーな戦法による躍動感のある攻撃は、ずっしりとした体格である親方でさえも、空中においては手玉の如く軽やかな手並みでコンボを決めていく。


 互いの攻防を制したミズキの攻撃で吹っ飛び。地上に落ちては体勢を立て直してクレイモアを構えていく親方。


「ッてめェェェェエエエェッ!!! クレイモアスキル:パワークラッシャー!!!」


 再度とクレイモアに白の光源を宿し、ロープを巧みに扱い空中に滞空し続けるミズキのもとへと駆け出し飛び掛かっていく。


 ……眼前で繰り広げられる二人の戦い。クレイモアを持つ地上の親方と、ロープを巧みに扱う空中のミズキ。その二人による、一歩もの引けを取らない戦闘の光景を眺めていては。その熱烈な攻防に、つい釘付けとなってしまう。


「……すごい戦いだ。これが、互角な戦いと言うのかな……。あんなに、戦いらしい戦いができるっていうのも、やっぱりそれくらいの実力が無いとまず成立させることすら難しいのだろう……」


 あのミズキと、一対一で張り合うことができている親方の実力もまた、相当なものだ。その力量は、軽く見積もることもなく、俺以上の実力を有している証。

 ……果たして、俺はそんな二人に挟まれた状態で、主人公らしい戦闘を行えるものなのだろうか…………。


「クレイモアスキル:パワークラッシャー!!!」


「うぇッ、ちょ――」


 考えに浸りながら目の前の戦闘を眺めていたその瞬間にも、親方が放ったスキル攻撃の衝撃波がこちらへと飛来してくる。

 白の斬撃が空を切る音と共に迫り来る光景に血の気が引いていき。慌てて行った回避で側へと転がっていくものだが。


「ちょこまかちょこまかと動きやがってェッ!! 調子に乗ってんじゃねェぞこのガキ共ォッ!!」


「うゎっ!! っと、ととと!! っと!!」


 怒りで前が見えていないのだろうか。今にも身体中の血管がはち切れんばかりに真っ赤にした顔で、俺へ攻撃を連打していく親方。

 それでいて、いつの間にかその姿を消していたミズキ。どうやら、呆然としていた間にも選手の交代が行われていたらしい。


「くっ……!! ソードスキル:エネルギーソード!!」


「クレイモアスキル:パワークラッシャーッ!!!」


 青の光源を宿したブロードソードで迎え撃とうとするものの、しかし、向こうもまたスキル攻撃で迎え撃ってきたものであったから。

 システム:相殺の効果で互いにダメージが入る。そして、そのダメージ量は攻撃力が高い方がより蓄積しやすいために……。


「ぐぁッ、あぁッ――!!」


 白の光源から受けた衝撃で後方へと吹き飛ぶ。

 地面を転がり、即座に体勢を立て直すものの……眼前からは、既にクレイモアを構えてこちらへと飛び掛かる親方の姿がそこにあり。

 剣士スキル:カウンターは親方のパッシブスキルで無効にされ。クレイモアの圧倒的な攻撃範囲を以ってしては、回避が完璧に決まるとは限らないこの状況。


 ……これはまずい……!!


「エネミースキル:一ツ目の眼光!!」


 瞬間、俺の背後から迸る一閃。閃光が起こると共に、鋭い光が親方の額を突き刺す。

 ギャアアアァとダメージを受けて叫びながら、空中で怯む親方へとすかさず飛び掛かっていくミズキ。


「エネミースキル:サイクロプス・ハンマーッ!!!」


 握り締められた巨大な光の両拳による一撃で親方を吹き飛ばし。すぐさまにも左腕を伸ばしてロープによる空中の移動を行いながら、吹き飛んだ向こうで砂埃に包まれる親方のもとへと接近を図っていくミズキ。


 ……訪れた危機から一転とした、瞬く間に行われた迎撃。

 相手の行動を読むことが上手いミズキのことだ。きっと、真っ向から向かっていってはキリが無いと判断し。俺を囮にでもして、それによって晒した隙を突くという。なんともまぁ、着実な攻撃を重視とした戦法であったのだろうが……。


「……俺もまだまだだな」


 ミズキに利用された。そんな思いが過ぎり、俺は一言零していく。

 袖で汗を拭いながら、先の油断を反省し。ミズキの鮮やかな手際や、親方の脅威を前にしての非力さを目撃して。俺は改めて、自身の甘さを実感したのであった――



「うおォォオオオォォオッ!! うろちょろすんじゃねェこのクソガキィィィイッ!!! クレイモアスキル:パワークラッシャーッ!!!」


「『シーカースキル:跳躍』! アクション:裏拳!!」


 クレイモアのド派手な攻撃と、ミズキの職業による軽やかな動きが繰り広げる互角の戦い。それを眼前で見せ付けられることで、自身の実力を再認識させられ。戦意を少々と喪失してしまっていた俺。

 いくらステータスを強化し総合的に強くなったとしても。数値では補えない、実力の差というものを実感させられてしまった以上。この、大いに劣ってしまい置いてけぼりとなってしまった現状に消沈しないわけがない。


 確かに、俺は強くなったハズなのに。確かな手応えで胸に抱いた自信も、現在の戦闘を前にしては儚く砕け散る。

 ……やっぱり、俺はまだまだだったのか。強くなったというのは、ただの勘違いだったということなのか? ……いや、俺は確実に成長した。これはただ、例え成長を実感できたとしても。現実というのは、その更に先を行く人々も存在しているというメッセージとしても受け取れる。


 どれだけ経験を積み重ねようとも。どれだけ成長を実感できたとしても。それは飽くまで、ただの通過点にしか過ぎないのだ。

 俺は実感した。俺は改めて思い知らされた。ここはゲームの世界。されどもゲームの世界。数値によって強くなるその世界であれば、ステータスを強化さえしてしまえば誰だって強くなれると思っていた。だが、それはこれまでの先入観による思い込み。


 ……俺は、このRPGの世界で生きている。それは紛れも無い現実世界に降り立ち、生命活動を行っているのだと。そう思い知らされたのだ――


「ギャアアアァァァァァアアアアァッ!!! ここでもなんか、てんやわんやとやってるぅぅぅウウウゥゥウッ!!! もうイヤアアァァァァアアアァッ!!! オレっち不運過ぎィィィイイイィィッ!!!」


 と、洞窟の入り口から突然と響き渡った悲鳴がその場を包み込み、その声にすかさず反応を示していく俺達。

 その先に存在していたのは、やはりとも言うべきペロの姿。今にも滅び行く世界の光景でも眺めているかのような、もう終わりだという絶望で染まる表情で佇む彼の姿を目撃し。唐突と現れた乱入者に堪らず驚き、硬直してしまった親方。


 そんな親方の隙を逃さず見出すミズキ。手に持つダガーを構え、その俊敏な行動で親方へと詰めて一気に攻め立てる。そして、完全に戦況を譲ってしまった親方は、焦りと共に眼前から猛攻を仕掛けるミズキへと対処をしていくのだが……。


「ア、アレっちぃぃィィイイイイイィィッ!!! もう嫌だぜオレっちィィ……ッ!! もうッ!! この街に来てからッ!! こんなことばっかりでェッ!! モンスターにも戦いにも怯えねェ久々の安息を満喫するどころかァッ!! ここに来てからってもんよォ!! 身も心も全く休まんねェことばっかりに巻き込まれてよォッ!! どうしてオレっちはァッ!! こんな目にばっかり遭うんだよォほんとにもォォォォッ!!」


「ペ、ペロ!! お、落ち着け!! だ、大丈夫だ! 傍に俺がついているから!!」


 散々な目に遭い、積み重なった疲労で泣き出しながら寄ってくるペロを迎えながら。オンオンと泣きついてくるのっぽの彼を支えて背を軽く叩いてやる。

 如何せん、ペロの身長がかなり高いために。もはや仰け反りながらの姿勢で慰めてやる男同士の絵面は、なんとも言葉を失ってしまう光景だったに違いない。


「お、おいおい……それにしても、ペロ。あんた、あの場所から離れてきたのか……!? 俺、迎えに行くって言っていただろう……?」


「んなのよォ!! 騒ぎがだいぶと収まってきたもんだったからよォ!! んじゃあまぁ、抜け出すのなら今の内かと思ってよォ!! 隙ありィってここからさっさとトンズラかこうとしたらよォ!! なんか、その先でまたおっかねェことをやっているとかマジで聞いてねェよォ!! しかも、すげェ激しい殺り合いで、マジでおっかねェのなんの!! んな、アレっちさァ!! オレっち、マジでほんとに不憫過ぎやしねェかッ!?」


「ここから逃げ出そうとして、ここに来てしまったのか……」


 相変わらずの方向感覚によって、どうやらアジトの深部に来てしまった模様。

 あぁ、確かに不憫だな。主に、その方向感覚が……。


「クレイモアスキル:パワークラッシャーッ!!!」


 会話を交わすその最中で。宣言と共に振るわれたスキル攻撃が、ふと視界の隅に入る。

 親方から放たれたスキル攻撃が、斬撃のエフェクトとしてこちらへと飛んでくるその光景。接近系且つ重量級の武器で放たれた遠距離の攻撃を前にしていながらも。しかし、これから回避をしようにも、ペロがいるためにすぐさま行動に移せないという被弾を免れない状況を迎えてしまい。

 これはマズイ。……と、そう思い覚悟をしたその瞬間にも。背を叩いていたペロの姿は忽然と消えており。気付けば既に、そちらへと行動を移していたのだ。


「棍スキル:新・受け流しの構え!!」


 宣言と共に取り出した、如意棒のような棍。それを手元で回転させながら斬撃の方へと走り出し。構えると同時に漂い出す透明の気が、ペロの身体を包み込む。

 次に、目前から飛来してきた斬撃を棍で受け止め。瞬間に、まるでペロの周囲の時が遅くなったかのように急激な減速を見せる斬撃。その斬撃を掬い取るように棍を振り。その場で回転し勢いをつけてから。ペロは棍を思い切り振り切ると共に、纏わせたスキル攻撃の斬撃を親方の方へと投げ返してしまう。


「な、何だそりゃ――グエェェェアアアァァッ!!」


 ウォリアースキル:カウンター無効に守られていたために。まさか、自身の斬撃が返ってくるなど思ってもいなかったのだろう。

 ペロの棍スキルに反応を見せず、何故か効果が発動しなかったカウンター無効。それを真正面から受けて、ダメージボイスを上げながら後方へと吹き飛び転がる親方。それに加えての、ミズキとのタイマンによって消費したダメージが響いていたのか。その時にはボロボロとなった身体で、身体の自由が利かないのであろうフラつく様子を見せながら、親方はゆっくりと立ち上がり。近付いてくるミズキへと、忌々しい目つきで見遣っていく。


「クソガキ共がァ……!! 俺よりも生きてねェ癖にイキってんじゃねェぞこのクソカス野郎共ォ……ッ!!」


「言い残すことはそれだけか?」


 逆手に持つダガーを親方へと向けて。そのキャスケットと上着の襟で見え隠れする眼差しを突き刺すように、眼前で喚く男の姿を捉えていく。

 勝負あり。親方の状況と、こちらの戦力を鑑みても。その結果は一目瞭然。……地中で悪巧みをしていた悪の組織の親方はこの時にも、探偵・フェアブラントの率いるマリーア・メガシティの勢力に敗北を期したのだ――


「言い残すことはそれだけだと? ケッ!! 調子に乗ってんじゃねェこの坊主ッ!!」


 瞬間。親方が懐から取り出した一筋の紫に視界を遮られ、ミズキは咄嗟の回避行動で飛び退く。

 未だ、勝利への希望を信じる親方の手元に存在していたのは。先の"契約"で二人組から譲り受けた、紫の装飾が刺々しく、黒の刀身が禍々しい存在を放つ一本の剣。

 その際には、一風変わったただの剣という特徴のみであったそれであったのだが。しかし、今現在とその姿を現した時には。その刀身に横切る、強烈な光を放つ一筋の紫が輝いており。所持している本人もその光で目を晦ましながらも。最後の切り札としての信頼から、強気な強面でこちらへと見遣りながら、その剣をかざしていく。


「ハーッハッハッハッ!! そうだ!! そうだ!! もっと光りやがれちきしょうめッ!! ようやくだ!! とうとうこの時を待っていた!! これこそがァ!! "ヤツら"との契約で手にした『魔族』の力だァ!! こいつを試すのには、絶好の機会だぜェ……ッ!! ――ヘヘヘヘヘェッッ!!! ざまァ見やがれこのガキ共ォッ!! 今、イキって調子に乗るおめェらをォ!! この『魔族』の力で木っ端微塵の塵にしてやるぜェッ!!!」


 妖しい紫の光に照らされたスキンヘッドの親方。昂る興奮で目を見開き。涎を垂らしながら顎が外れんばかりに大口を開くその光景。さながら、既に悪魔とも見受けられる。


 『魔族』と呼ばれる二人組から譲り受けた契約の力を手にしてしまった親方。強力な力による光を手で遮りながら、ミズキも、俺も、ペロも。その場の全員が、未知なる目前の光景により一層の緊張を帯びていき。

 ……そして、未だ未知数である『魔族』の力を以ってして。エリアボス:組織の親方は、今以上もの脅威を宿し、俺達の前に立ち塞がったのだ――――

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