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ザ・ゲームワールド  作者: 祐。
三章
139/368

ゲーム世界という現実で――

「俺も、早くもっと強くならなくちゃだよな……」


 女の子従業員の料理を噛み締めて、口に広がる美味を堪能しながら。しかし、内でもやもやとする一つの悩みで、ついついため息ばかりを零してしまっていた俺であった。



 ペロとの会話を終えた、その翌日。ペロという男の正体を少しばかり知り、そんな彼からのダメ出しを受けた俺は。その指摘を真摯に受け取ってからというもの、現在の自身の立場に思い悩んでしまっていた。

 このゲーム世界の主人公らしく、敵との戦闘を交えて勝利を収めたり。サブクエストで周囲のNPCのお願い事を聞き、それをこなしてはお礼や経験値を報酬として受け取るといったレベル上げはこなしているのだが。……しかし、この世界は普通のRPGほど、甘く調整された設定では無いのだ。


 こうして、俺が飯を食っているその間にも、周囲のNPCやエネミーは着実とレベルアップを積み重ねている。そして、そんな高レベルな彼らを相手に、俺は戦闘を交わさなければならないし。そもそもの話として、そんな高レベルな彼らに更なる遅れを取ってしまっては、取り返しがつかないことになってしまう。


 ここは、たかがゲームの世界。しかし、されどゲームの世界。

 その実は、至って普通に時間が流れている。現実世界そのものであるのだ。


「……くそっ」


 頑張っても頑張っても、周りのレベルに追い付けず。そんな周りは、今以上にレベルアップを積み重ねていくものであったから。

 追い掛けても追い掛けても離される皆の背を前にして。俺は今、これまでに無いほどの焦燥に駆られてしまっていた。


 ……このままでは、俺は皆に置いていかれてしまう。

 ……このままでは、相対的に見て俺はずっと弱いままだ。


 ……このままでは、俺が主人公らしい力を手に入れるその前に、魔王とやらに世界が侵略されてしまうのではないか――?


「えへへ、どうっすかお客さん。今日のご飯は、昨晩以上に上手くいったと思うんっすよ」


 思い悩み、俯いていた俺へと声を掛けてきたのは。この宿屋:大海の木片で働くNPC:女の子従業員。

 顔を上げて、辺りを見遣る。テーブルに乗っている朝食と。そのテーブルを挟んだ向こうには女の子従業員の姿が。そして、俺の隣には、なにやら心配そうな表情でこちらを見遣ってくるミントがそこにいて。


 ……いくら思い悩んでいても、我に返ればいつもと変わらない日常がそこに存在していて。

 そんな変わらない日常が、俺は大好きであり。しかし……この変わらないままの日常では俺自身も変わらないために。


 目の前の光景は、とても楽しいものであり。――とても苦しいものでもあった。


「……浮かない顔をしているっすね、お客さん。何かあったんっすか? ……あれ、もしかして、あたしの料理、口に合いませんっしたか!?」


「そ、そんな、とんでもない! 料理はとても美味しいよ! 味付けも俺好みだ。この、卵焼きの焼き具合も俺、大好きだよ」


「んはぁ! そう言ってくださると、お世辞でも嬉しいっすね!!」


「大好きだなんて言葉、お世辞じゃあ思いつきもしないよ」


「良いこと言うじゃないっすか、お客さん! こりゃあ、良い張り合いになりますわぁ」


 ニカニカと笑う女の子従業員の笑顔が、素晴らしく眩しい。

 ……ここまでキャラクターが成り立っているんだ。この世界のフラグさんよ。そろそろ、彼女に名前やら生い立ちやらを生成してくれても構わないんだぞ?


「……あの、お客さん。一つ、ちょっとお尋ねしてもいいっすか?」


 そんな、女の子従業員の姿に個性を感じていると。ふと、女の子従業員は人差し指を立てながら、少しばかりか神妙な雰囲気を醸し出しながら俺に尋ねかけてくる。


「どうしたんだ?」


「あのっすね、その……ぶっちゃけ、お客さんってユノ先輩とどういった関係だったりするんっすか?」


 ユノのことを先輩と呼ぶ女の子従業員。その声音は低く真面目なトーンであり。表情は真剣味に溢れた本気の目つきをしている。


「あの、お客さんってもしかして……もしかしたりします……?」


「たぶん、今思い浮かべているような関係ではないかな。って、言える程度の関係だよ。俺は、ユノから旅のお誘いを受けた、ユノとは違って何の変哲も無いただの仲間だからね。……って、俺はそう思っているもんだが」


「へぇ、そうだったんっすねぇ。なんか、少し意外っす」


「どうして、そんなことを尋ねてみたんだ?」


 その真意は何となくもの察しがついていたものの。ついつい、立てていた人差し指を唇につけながらふむふむと頷いていた女の子従業員に尋ね返してみてしまう。

 その俺の問いを聞いては、ハッと目を見開いて身を乗り出してくる女の子従業員。


「どうしてって――そりゃあ、ユノさんはあたしの、人生の先輩っすからね! あたし、ユノ先輩のようなカッコよくてカワいくてクールで賢くて立派な女性になりたいんっす!! ので、まずはユノ先輩の身近なことを知りたいと思っていてっすね!! それでそれで、一緒に旅をしているお客さんであれば、ユノ先輩のいろんなことを知っているのかなって思って尋ねてみましたって感じなんっす!! ……おっと、すみませんっす。熱くなり過ぎやした……」


「あ、熱くなっても大丈夫だよ……」


 それにしても、ユノというキャラクターは、本当に他のキャラクター達に様々な影響を与えている人物なんだな。

 ユノという彼女に宿りし、皆を惹き付けるその魅力。確かに、とても頼りになる姉貴分だと思えるし。それ相応の戦闘能力に、長年の経験による豊富な知識。誰とでも取っ付き合えるコミュニティーの力に、そこに存在しているだけで頼れてしまう絶大な安心感。


 ……ユノという人物に収束する様々な要素。こうしてほんの少し考えただけであっても、これだけの能力をすぐさまに思いつけてしまう辺りに。さすがはユノというだけはあるなぁと、彼女における長所にしみじみと頷けてしまえる。


 ――というかだ。そこだけを見てしまうと、まるでユノがこのゲーム世界の主人公じゃないか。


「そんなにユノのことが気に入ったんだな」


「そりゃあ、もう!! 当たり前っすよ!? あんなにカッコよくてめちゃめちゃ頼れますし! あのクールなお姉さんという雰囲気をしていながら、でもでも可愛らしい一面もあるという! ギャップがギャップを呼び込むなんて不思議なお方!! そして、人生経験豊富なお姉さんとしてのアドバイスがもう――あたしの憧れのお方として相応しい、パーフェクト・ウーマンでございやすから!! ユノ先輩の凛々しいお姿がもう……あたし、最ッ高に堪らないっす!!」


 多くの人々を虜とするその存在感。彼女を知る人物からは褒め言葉が飛び交い。表でも陰でも賞賛され。その本人もまた、外部からの声に惑わされず日々の活動に活き活きと励んでいる。


 それは、明確な存在感でありながらも。しかしその裏では、太陽と月の如き人格の二面性を伺うことができる不可思議なその性格。

 ……ペロと同様に、ユノという彼女もまた、随分な謎に満ち溢れたキャラクターであり。だが、その謎で包まれた要素もまた、魅力というベールによって皆を魅了するものであったから。


 その姿はまさに、このゲーム世界での生活を謳歌する、一人の冒険者であり。彼女もまた、このゲーム世界で生きる、彼女自身の人生における女主人公とも呼べるために。

 ……そんな、ユノという人生を謳歌する彼女のことを聞いてしまうと。なんだか、より一層もの焦燥感に駆られてしまって仕方が無かったのだ――



「――っ。ご主人様、新たなフラグを検出いたしました」


 唐突に喋り出したミントと同時に、視界からはある一人の人物が顔を出してきた。

 あまりにも突然な少女からの報告と。その見たことのある姿を前にして。俺は慌てて現在の思慮を停止させては、目の前の新たなイベントに集中していく。


「はーイ! そレでは、わたシは毎日ノお勤メご苦労ニ出陣シてきまスですヨ~! 今日モ宿屋ノお世話、よろシくお願イだヨー!!」


「あっはい、オーナー様! ……あと、オーナー様。それ、毎日のお勤めご苦労様と、出勤してきますの言葉達が混ざっているっす。それを言うなら、今日も出勤してきます。が、正しいっすよ?」


「おウ! まタ言葉ヲ間違エて話シていたかナ!? ……今日モ出勤シてきまス。今日モ出勤シてきまスが正解言ウのネ! まタ一ツ、わたシの頭ガ強クなったヨ! それじゃア、今日モ出勤シてきまス! だヨ!!」


 不慣れなカタコトと特有の訛りが混じった、とても独特で不思議な調子の女性の声。

 暗めの赤色や桃色が縦に伸びる、ベリーダンスに似合う露出の多い服と。ハーレムパンツに身を纏う、エメラルドの如き鮮やかな緑の全身。そして、ピンクサファイアのように鮮やかな桃色の長髪。


 彼女は、この宿屋:大海の木片のオーナーである人型モンスターの女性、ファン・シィン・グゥ=ウゥ。

 ……そう。モンスター恐怖症のペロが、決死の思いで接触を避け続けている人物の正体だ。


「――あラー! "レディー・ミント"、おはよウございまスでス!!」


「おはようございます、ファン様」


「礼儀ノ正シいが形ニなっテいテ、よろシよろシ! ……そしテそしテ、そちラのお客さマとは初メまして?」


「ん……まぁ、ある意味そうかもしれないな。どうも、初めましてオーナーさん――」


「――クンクン、クンクン。……いヤ、この匂いハ…………あラー!? もしヤもしヤの久方ぶリお客さマ!? 見たこトある面影ト匂イを匂イまス!! これハ、"レディー・ユノ"と"レディー・ニュアージュ"と一緒デ旅ヲしていテ、レディー・ミントのゴ主人様!! そしテそしテ、夜ニもういちにんのオ仲間ト出掛ケた"ボーイ"の片方だネ!!」


 独特な不思議な調子の喋り方を流暢に喋りながら俺のもとへと近付いてくるなり、テーブルに乗せていた俺の手を掴み上げては握り締めてきたことで、自然と握手を交わす。


 全身が、エメラルドのように鮮やかな緑色でありながら。顔と両腕と、へそ部分はエメラルドの素肌をさらけ出していて。首下や胸、腰周りには溢れんばかりの真緑の体毛が、綺麗に整えられた状態で生い茂るように生えているという見た目であり。

 丸みを帯びた輪郭と。くりんくりんに丸く、桜色の鮮やかなピンクのとても大きな目で俺を捉え。丸みを帯びている輪郭に等しく広がる巨大な口で、化け猫のようにニッカリと笑い掛けてくるものであったから。


「あ、あぁ――そう、彼女らと旅を共にするボーイ……です……イテテテテッ」


 人間の幼き少女がはしゃぐようにキャッキャと喉を鳴らして、俺の手をもぎ取らんとばかりに全力で握り締めてくるファン。そんな彼女の、人外ともなる握力の痛みで笑顔を引きつらせてしまいながらも。しかし喜びのままにはしゃぐ彼女のためにも、この握力を必死に耐え忍んでいく……。


「昨日、帰ルの遅レたかラ、お客さマの情報ヲ見テいなかっタだヨ! でモ、レディー・ミント達ガまた来テいルとノみ聞イていテ、わたシの気分ガ盛リ上ガったんだヨ!! そしテでもっテ、レディー達のボーイ達モ来テいるのハ知ラなかったかラ。わたシ、この気持チが嬉シいんだヨ!! レディー達のボーイ達とモ、会ッて話シてみたかっタと考エていたんだヨ!! それガ叶っタんだヨ!!」


「オーナーさん、まだ話もしていなかったお客さん達とも会いたいって言っていたんっすよ。一人はこの場にいないみたいっすけど、取り敢えずもう一人のお客さんとは顔を合わせることができてよかったっす」


「か、歓迎してくれてありがとう……。俺の名前はアレウス・ブレイヴァリー。よろしく、オーナーさん――」


「おゥ!! ボーイ・アレウスだネ!! わたシはこノ宿屋ノオーナーをしていまスでス、ファン・シィン・グゥ=ウゥと呼ビまス! よろしクだネ!! ボーイ・アレウス!!」


 ピンクと緑という鮮やかな彩色の彼女は、未だに掴んだこの手を離さずに。むしろ、握力を弱めていくなり大事そうに握り締めてくるものであったから。

 それだけ、お客さんという存在のことを大切にしているのかなとも思えてくる、この手の温もり。さすがは宿屋のオーナーをやっているだけあり。その正体はモンスターと言えども、ここのオーナーさんは人間という生物のことが好きなのかなと。そんなことを思える、とても好感の持てる態度と雰囲気であった目の前の彼女。


 それにしてもだ。その巨大な口でニッカリと浮かべた笑みも、こうして眺め続けていると段々と愛おしくもさえ思えてくる。

 その好感を持てる可愛げな表情や動作も、とても人懐っこいと言えるものであったために。無性にも、支えてあげたいなとも思えてしまう。そんな未知の魅力を持つ人物であった。


「……んぁ、オーナー様、時間時間! 出発の時間、とっくに過ぎてるっす!!」


「わ、わわわォ!! ボーイ・アレウスに無我夢中トなってイたヨ!! まタ、こうしテお話ガできる機会ガあるト嬉シいネ!! わたシ、そろそろ行クところあルかラ。ではまタ、さよなラお会イいたシましょウ!! それでハ~!!」


 腕をぶんぶんと振り回すように手を振りながら。ドタバタと騒がしい駆け足で走り出すなり、宿屋の玄関の方へとその姿を消していくファン。

 

 なんというか、とても賑やかな人であった。

 その雰囲気を言葉として例えてみると。吹き荒れる強風で、絶え間無くチリンチリンと音を鳴り響かせている風鈴のような人。……いや、何を考えているんだ俺。


「っと、それで、お客さんはまた、この宿屋に宿泊してくれるとは限らないんっすよね? 一応、ユノ先輩とニュアージュ様とミントちゃんは続けて宿泊してくれるみたいっすけど……」


「ん、あぁ。俺ともう一人の連れは、今日にも異なる宿屋へ移動することになるハズだ。だから……オーナーさんとのお話は、また今度ってところかな」


「そうっすかぁ、なんか残念っす。レディーズお三方がいるだけでも、あたしとしては嬉しいんっすけどねぇ。でも、レディーズお三方は、お客さんが傍についているからこそのレディーズお三方なんだと、あたし思うんっすよ」


「そう言われちゃうと、ここに泊まりたくなってしまうじゃないか」


「そのために言ってるんっすよぉ。へへへ」


 やってやったぜと、ニカニカと笑みを浮かべる女の子従業員。

 先程のファンとの会話を挟んだ後に、その眩しい笑顔を見ると。……なるほど。その輝きは、オーナーさん譲りの健気な微笑みというわけか。


「まぁ、あたしもオーナーさんも待ってますんで! またいつでも来てくださいっすよ!? ――それで、このあとはどうするんっすか? ユノ先輩とニュアージュ様と、もう一人のお客さんは三人でショッピングへ行ったみたいじゃないっすか。お客さんとミントちゃんは、これから二人でデートでもするんっすか? ひゅーひゅー」


「なッ、デート……?」


「――――ッ。デート……」


 からかうようなニヤけ顔で、その疑り深く細めた目線で俺とミントへと見遣ってくる女の子従業員。

 そんな彼女の言葉に戸惑う俺と。俺から視線を逸らし、なんだか恥ずかしそうにしているミント。


「デ、デートというわけではないが……土地感覚のあるミントに、この街の案内でもしてもらえたらなとは思っていたかな。この街のことを、よく知っておきたいし」


「了解しました。それでは、日が暮れぬ内にも、このミント・ティーが手早く街の案内をいたします」


「あぁ、いつものように、よろしく頼む」


 それは飽くまでも、この拠点エリア:マリーア・メガシティと。その周辺に存在するフィールドの構造を把握しておきたいがための、この次なるステージの攻略に向けた探索としての意味を含めての言葉ではあったものの。……ミントとのデート。その甘い響きも、俺としては悪くは思わない。


「むっ、そろそろ出発っすか。お客さん! じゃあまた、この宿屋に来てくださいっすよ!? この、大海の木片に顔を出してきてくださいっすよ!? あたし、待ってますからァ!!」


 ミントの先導に従うままに歩き出し。そんな俺達の背を暑苦しく見送る女の子従業員と、しばしもの別れを告げる俺。

 そうして、ミントと共に踏み出した拠点エリア:マリーア・メガシティに立ち。しかし、これから行われるこの街の探索に、若干もの緊張を抱いていた俺へと寄り添い見上げてくるミントに声を掛けられて。


「ご安心ください、ご主人様。このミント・ティーが、ご主人様のあらゆる面のバックアップをいたします故に。どうか、このゲーム世界でのびのびと生きる主人公を演じてみてくださいませ」


「主人公をのびのびと演じてみる。か……そうだな。ちょっと、先のことを考え過ぎて肩に力が入り過ぎていたかもしれないな、俺。――わかった。それじゃあ、ミントの手厚いナビゲートに甘えながら、このゲーム世界の主人公をのびのびと演じてみるとするかな」


「その意気でございます、ご主人様」


 ナビゲーターであるミントに支えられ。この少女が傍にいてくれる安心感を抱いて、ミントと共に歩き出す。

 そう。これまでの出来事は、飽くまでもイベントの一環にしか過ぎず。むしろ、この拠点エリア:マリーア・メガシティを次のステージとした俺の冒険は、これから始まるのだ――――

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