帰る
「ルカ様…離してくれませんか?」
帰る時間が近づくにつれルカ様はますます私を離さなくなった。王宮の方達も最初は戸惑っていたけれど段々またかという空気になっている。次期国王夫妻は仲が良いに越したことはないと、温かく見守られている。
突如現れた婚約者に皆良くしてくれて、私も帰るのが寂しいくらいだ。次からは連絡したらすぐ来れるようにもしてくれた。
「次いつ会える?寂しいよ。」
「またすぐ会いに来ますよー。」
ソファーに座り後ろから抱きついてしがみつくルカ様を慰める。
「ルカ様…そろそろ離してください。」
「嫌だ。離れない。」
「私も抱きしめたいのですよ?」
はっ!となったルカ様は私を横抱きにし足の上に乗せ、抱きしめてと擦り寄ってくる。肩に乗せられた柔らかい髪を撫でると、嬉しそうに微笑むルカ様は可愛い。
「毎日連絡するから。何かあればカイを通してくれれば私にすぐ伝わる様に言ってあるからね。」
昨夜ティア専用と言って通信機をくれた。画面に映し出されいつでも顔を見て会話出来る。普段は定期連絡用などに使用されていて、あまり出回っていないが私の為にと用意してくれたらしい。近々贈り物として届ける予定だったと。
「どろっどろに甘やかしたい。」
「充分過ぎるくらい甘やかしてくれてますから。来月のお披露目会楽しみですね。」
「ドレスは私が用意するからね。ご両親と気軽に来て。」
帰る用意が出来たとの連絡が来たので、私はルカ様に抱きつく。昨夜溶けるほどに甘やかされた私は恐ろしい事に、ルカ様に触れる事に慣れさせられてしまっている。その中で見た夢は笑い合い楽しく語り合っていて、とても幸せそうだった。
「では、また会いに来ます。」
「私も行くからね。」
頬に優しく触れ唇が重なる。名残惜しそうにルカ様は離れ、私は馬車へと乗りこむ。馬車の外ではアレン様が皆様とご挨拶をしている。さぁ帰ろうかと乗り込み従者に指示を出している。ルカ様に手を振り生まれ育った国へと帰っていく。いつかこちらが私の国になる。不思議な感覚だわ。
「楽しかったね。ティアいっぱいイチャイチャできた?」
「イチャイチャって…沢山お話出来たわ。アレン様もリズも今回一緒に行って頂きありがとうございました。不安を払拭する事が出来ました。」
「ルカーシュ殿下はティアにメロメロだったものね。ティアが安心できて良かったよ。」
「ランドルフ殿下のおかげでですね。帰ったらお礼しないと。」
「殿下は意外とお節介なので、セレスティア嬢をルカーシュ殿下と会わせたかっただけなのでしょう。きっとまたお願いすると喜びますよ。貴方は両国の架け橋ですしね。」
「そんな大層なモノでは…」
家まではまだまだ掛かりますので、ゆっくり話を伺いながら帰りましょうとアレン様が少し悪い顔で微笑む。逃げ場が無い私はルカ様との話を家に着くまで、2人に散々聞き出される事となる。
「ランドルフ殿下色々段々ありがとうございました。とても楽しかったです。」
翌日登校して私は殿下に会いに来ていた。お土産ですと渡し、楽しかったなら良かったと笑ってくれた。
「来月お披露目会だって?私も招待されているから、その時は私と隣国へ行こうよ。」
「え!でも両親が…。」
「そっちも手配しとくから大丈夫!楽しみだな。ルカーシュ殿は優しかった?あの日の様子から察するにべったりだったんじゃない?」
「あ…はい。そうですね。ランドルフ殿下にも感謝を言っておりました。」
ははは!溺愛だったもんね。仲が良くてなにより!と笑われた。
「また何かあればお願いするかも知れませんが、よろしくお願いいたします。」
「ルカーシュ殿にもセレスティア嬢の事を頼まれているし、いつでも頼ってくれたらいいよ。」
ありがとうございますと頭を下げ退室する。ランドルフ殿下は本当優しい方だな。実の兄よりお兄様みたい。
「皆さん休みの間に復習してきましたかー?来週からは属性毎に別れて練習になります。それまでには基本は習得しましょうね。」
はーいっと皆返事して授業が始まる。
「属性魔法は出せるようになりましたか?今日は出力を上げていきましょう。倒れちゃうので無理はしないようにして下さい。」
見て下さいとニコル先生が見本を見せてくれる。光を出し属性を乗せる…そして内から力を出すようにと説明しながら披露すると、小さな灯火の様な火が炎となる。うわぁー…綺麗。魔法ってやっぱり素敵だわ。皆先生を見つめ引き込まれている。
「わかりましたか?魔法量は人によって違うので自分に合った量を見つけていきましょう。」
「ティアやってみよう!」
「うん!カレン様も一緒にしましょう。」
「ありがとうございます。やってみましょう。」
あーでもないこうでもないと話し合いながらやっていく。カレン様は先生と同じ火属性らしく穏やか火が灯されている。少しずつ大きくなるが途中で消えてしまう。はぁはぁと肩で息をしながら疲れている。
「難しいです…。思った以上に体力がいりますね。」
「なるほど。体力作りも大事ですね。」
水の玉を出し出力を上げる…パーンと玉が弾け周り一面水浸しになる。
「ごめんなさい!!加減がわからなくて!」
水が滴りながら周りに必死に謝る。近い人は私と共にびしょびしょになっていて大変な事をしてしまった…。
「大丈夫ですよ。風属性の人来て下さい。」
ニコル先生が風属性の生徒を呼び、何やら教えている。先生と共に魔法を出すと、ふわっと暖かい風が吹き一瞬で乾いた。え…凄い。乾かしてくれた子にお礼を言う。
「合わすとこういう事も出来ます。魔法って楽しいですよね。皆さん乾きましたか?まだなら言ってくださいね。」
「ニコル先生ありがとうございます。私わからなくて…ごめんなさい。」
「いえいえ。最初ですからわからなくて当然ですよ。少しずつ練習していきましょう。」
周りの子達にも謝り少し離れ休憩をする。難しいな…隅に座りながら手を出し少しずつやってみる。んー…?
「ティア様お洋服からネックレスが出ていますわ。綺麗なアメジストですね。」
制服から出てしまっていた。あ、すいませんと片付ける。お相手はカイ様ですか?と聞かれ違います!と焦る。確かに紫色はこの国では珍しいので勘違いをされてしまった。
「ご婚約も来られた時期でしたので、早合点してしまいました。」
「いえ!紫色って珍しいですよね。お相手は隣国の方なのでこちらには居ないのです。」
「あら、そうなのですか。私もですよ。政略結婚ですが。」
え…そうなのですか?と話を続けようとしたら、先生に集合をかけられる。また後でとなり、慌てて先生の元へ向かう。
「はい!今日も実技お疲れ様でした。思ってる以上に体力消耗していますので、午後からも無理をせず座学授業に取り組んでくださいね。」
疲れたねと話しながらカフェテリアへと向かう。今日はカレン様も一緒だ。色々聞いてみよう。




