番外編3−2 女子力スキャン
「お待たせー、紬のSOSとあれば、たとえ火の中、水の中、イケメンの行列の中!」
玄関のチャイムと同時に、七香が部屋に雪崩れ込んできた。両手には、パンパンに膨らんだ大きな袋を抱えて。
「ちょっと、何?その荷物」
七香は、持っていた袋をボンって部屋の隅に置いた。結構重そうだけど……なにが入っているんだろう?
「これ?アンタの部屋のセキュリティパッチ!で?ついに自覚したの?この色気のない、女子力ゼロ地帯を?」
七香は、部屋をぐるりと見渡して、ニヤニヤしていた。
「女子力ゼロとか言わないでよ。…ただ、ちょっとシンプルかなって思っただけだから」
「シンプル?ノンノン!これは無防備な状態。女子力ゼロデイよ」
言いたい放題言ってくれる。七香は、そういうと、ベッドの上のスウェットを摘み上げた。
「まずコレ!100歩譲って部屋着にスウェットはいいとして、なんでグレー?なんで無地?刑務所か!?」
「…落ち着くんだもん。汚れ目立たないし」
「でた!実用性オンリー!いい紬?女子力は無駄から生まれるのよ?無駄なフリル、無駄なリボン、無意味なパステルカラー!それこそが花のJK」
無意味って言い切ったよ、この子……。
圧倒される私をよそに、七香の口が止まらない。
「だいたい、なに?汚れが目立たないって?あんたまさか、何日も同じの着てるんじゃないでしょうね?」
「着てないよ!毎日ちゃんと……その、洗ってるもん!」
「汚れたら洗うの!汚れてなくても毎日洗うの!それがスウェットのいいところでしょ!」
「う…」
反論できない。七香の言う通り、この部屋は「女子力ゼロ地帯」だ。
「わかった…じゃ、どうすればいい?」
「任せて!今日は紬のために、女子力強化キットを持ってきたから!」
七香は、持ってきた袋を逆さまにして、中身をどさどさっと広げた。出てきたのは、ピンク、白、ふわふわ、キラキラした物体の山だった。
「う、うわぁ…」
私は、つい声を出してしまっていた。
<つづく>




