番外編1−4 悪魔の帰還
その時、リビングのドアが開く音がした。
「お、開きっぱなしだったか」
「っ!!」
私は飛び上がったんじゃないかってくらい驚き、慌てて画像ビューアーを閉じた。
見てしまった事がわかったら、気まずいどころの話ではない。
心臓の動悸が聞こえるんじゃないかってくらい、ドキドキしてたけど、冷静を装った。
「パ、パパ!画面ロック!基本でしょ!」
つい声が裏返ってしまう。
「すまん、すまん。ちょっと油断して…」
パパの表情がフリーズしていた。
画面上には、フォルダの中身のサムネイルが表示されている。
「…」
私はパパから目をそらすしかなかった。
「…」
「…紬」
パパの声のトーンが、1オクターブ下がっていた。
「な、なに?」
「…ランサムウェアの動きはなかったか?」
「はい?」
「このフォルダはな、誰かが侵入した時のためのハニーポット(罠)なんだ。中には侵入者に精神的ダメージを与えるような意味不明なデータを入れてあるんだが」
パパは、私を見ずにコーヒーを一口啜った。
「…受けたわよ、精神的ダメージ。私に大ダメージよ…」
私はぼそっと言うと、パパは「そうか」とだけ返事をした。
「…ランボーはないでしょ。X-MENも!」
「あのクラスになると、超法規的措置が適用されそうだからな…」
「セキュリティを、娘の結婚妨害に使わないでよ!」
「安心しろ。まだシミュレーション段階だ。実装していない」
「実装するつもりだったの!?」
デリカシーゼロ、セキュリティ過剰。
この厄介な父親のPCには、2度とふれまい。私は心に誓った。
こんなこと、七香にも言えないよ。
<番外編 パパの秘密のフォルダ 完>




