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JK紬のセキュリティ相談室2、女子高生がセキュリティの力で事件解決しちゃいます  作者: 雨後乃筍
番外編8 九美の武術指導

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番外編8ー7 ラオウ、銀行を守る

 練習が終わった私たちは、お礼を言って警視庁を後にした。


「あー楽しかったね」


 明美ちゃんが無邪気に言う。


「うん、面白かった。けど、続けたいとは思わないかな……」


 最後に見せてくれた九美さんと師匠のデモンストレーションもすごかった。周りは空手着みたいなものを着ているのに、二人だけ全くの普段着。


「いざって時、いちいち着替えないじゃん。日常よ日常」


 九美さんが師匠を捕まえる。ただそれだけのデモ。ヨレヨレに見えた師匠さんも、九美さんと対峙した時は、まるで羽のように軽やかな動きで、あの九美さんを翻弄していた。九美さんが師匠さんを掴みにいくと、その手をヒラリとかわし、またどうやったのかわからないけど、九美さんが床に転がされたり、指一本触れることができていなかった。師匠はほとんどその場から動いていないのに、だ。


 まさに「当たらなければ、見せ物」の通りだった。全員が瞬きをすることも忘れて、二人の動きに魅了されていた。


 何分動いたのかわからないけど、あの九美さんの息遣いが激しくなり、バテて来ているのがわかるようになったその時、師匠さんが軽く手を出しただけに見えたのに九美さんの体が床に叩きつけられていた。


 道場内が氷がとけたように緊張の糸が切れるのがわかった。警察官の人たちの感嘆にも思える息遣いが聞こえるようだった。二人が礼をすると、自然に拍手が起こっていた。


 どんなに綺麗なプレゼンテーションや計画(見せ物)を作っても、実行力や運用能力(効果)がないと意味がないのと同じ。でも計画が不要なわけじゃない。


 全部必要で全部大事。


 そして、最小限の動きで、最大限の効果を。リソースの最適化はセキュリティ運用の基本だ。


「えー?そうなの?明美はやってみたいって思った。空手とか」


 師匠に翻弄されている九美さんが楽しそうだったのを思い出した。


 ――あれは将来の九美さんと明美ちゃんかもしれないね。


「いいね。明美ちゃん似合うよ」


「へへー」


 そういえば、前から疑問だったことがあった。


「七香? 九美さんって、いつもこうして教えているの?」


「普段? 普段は仕事しているよ。これはボランティアみたいなものだって。今年から就職したし。普通のOL」


「え!? OL? 九美さんが?」


「うん、銀行で働いている」


「え!? 銀行!?」


 銀行の窓口にいる九美さんを想像しようとしたけど、うまくできなかった。あんなギャルが銀行の窓口……?


「全然想像つかないね……制服とか着ているの?」


 ――流石にパステルカラーでは仕事しないよね? 銀行の制服? コスプレみたい……。


「そうだねー、銀行って言っても色々あるからね」


 私は、銀行で働いている九美さん、そしてそこに間違って入ってしまった銀行強盗の末路に、心から同情した。


 <つづく>


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