↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
AI世界樹:ユグドラシルと呼ばれた生命  作者: Kamemaru
4章:ネクサスの侵攻
PR
30/30

第29話:襲撃

──ミナ・カシワギ宅

 静かな部屋に、緊急連絡のアラートが鳴り響く。

「えぇー、ちょっとなによー」

 シャワーを浴びていたミナは緊急連絡に気付き、慌ててバスローブ姿のままリビングへ駆け出す。

「ラボに緊急招集って……いったい何なの……」

『現在情報を収集しています。緊急車両モードのアルバトロスが約3分後に到着します。マスター、お急ぎください』

「3分って、ちょっと待って。急げって、何があったの?」

 ミナは慌てて服を着ながら、左腕にLLリストを装着する。

『詳細は道中でご説明します──』


──第7区画研究所。レン・タカミ専用ラボ

「……まさか、本当に来たのか。ユグドラシルの予測が的中してしまった……」

 レンはリストのAIを通して、第7区画の全職員に緊急指示の音声を送った。

「第7区画の職員は研究所に集まってください。自然保護区にいる職員は、直ちに帰投してください」


──第1区画研究所、中央管制室

「いったい何が起こっている!」

 特別主任アレク・ヴァンデル。常に冷静沈着な男だったが、明らかに緊張感が滲み出ていた。彼は数名の側近幹部を引き連れ管制室に入ってきた。しかし、彼の表情からは焦りが見て取れた。


「外郭部に何らかの攻撃を受けた模様。第4区画の一部施設が完全に沈黙しました!」

「至急、外殻警備隊を向かわせろ。第4区画の観測ドローンを全て防衛モードに移行させ、現地の分析をさせるのだ」

「はい。既に警備隊長とハル・エルバート特別主任が現場に向かっております」

「……よし。念のため、第4区画居住区の住民には、シェルター避難を指示しろ」

 直後、第4区画の居住区に緊急避難の警報音が鳴り響いた。


 第4区画は、ユグドラシル領域の外周部に該当する地域一帯である。唯一外界と接するこの地域では、外界を模した試験環境での育成試験が行われていたが、研究所内でもその内容が公表されていなかった。

 また、この地域には厳重な警備体制が敷かれており、実質的にユグドラシル領域の防衛が第4区画の主任務だった。


 しかし、この時既に第4区画の外周防護壁は侵略者によって破壊されていた。無残に飛び散った防護設備の破片や、強力なジャミングを受けて墜落した監視ドローンの数々……

 それらを踏み潰したような、巨大なキャタピラ跡が延々と続いていた。


「映像、出ました!」

 アレクを含む、幹部達がモニターに注視する。そこには外壁が破壊される瞬間の映像が映っていた。

 迫りくる超極音速ミサイルの波状攻撃……。ミサイルと砲撃が外壁部分に直撃し、防護設備は瞬時に木端微塵となった。


 何者かが、ユグドラシル領域に侵攻を開始した。アレクは瞬時に事態を把握し、叫ぶように指示を出す。

「全職員に緊急連絡!全員出所させろ。緊急事態宣言の発令を所長に伝えてくれ」

「はい、緊急連絡を発信いたします」

「よし、では警備隊出身者は直ちに招集だ。私と私の部下を中心とした特別防衛隊を組織する。お前たち、装備を整えて部隊を編成しろ。私から追って指示を出す」

 アレクは側近達にそういうと、彼自身も兵舎に向かい、戦闘服に身を包んだ。周囲の人々はまだ事態を飲み込めていなかった。彼だけがこれが戦争であることを理解していた。


──第4区画、内壁防衛拠点。

「外壁設備は完全に沈黙しました!」

「警備隊とは連絡が取れないのか」

「住民の避難状況はどうなっているんだ!」

 外壁部に向かった警備隊長と連絡が取れない。指揮官を失った管制室は騒然としていた。


「チーフ!エルバート特別主任からの連絡です!」

「彼が生きていたのか!よし、繋いでモニターに映せ!」

 管制室のモニターに、負傷し流血した男の姿が映し出されていた。

『内壁管制、そちらは無事か』

「はい、主任がご無事で何よりです。……他の隊員は?」

『……脱出できたのは、私だけだ』

 管制室内の誰もが愕然とした。

『残念だが、今は任務に集中してほしい。もう少ししたら私もそちらに着く。それまでに住民の避難誘導を完了させ、都市の計画停電モードを実行してほしい』

「え……なぜですか。主任はまず治療を受けて……」

『ダメだ!時間がない、私の指示に従ってくれ。巨大な敵が、迫っているんだ……』


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。