第302話 窮鼠
おはようございます、作者です。
4月4日17時57分に更新作業をしております。
さて、前回はユキトが零式を纏い、戦いの仕切り直しをするところでしたね。
では、本編にどうぞ!!
「くらいなさいっ!!」
「ふんっ!」
微妙な空気を仕切り直し、戦いを再開したユキトとタチバナ。
ユキトは全身に鎧を纏い、タチバナはさっきとは違ってキレのある斬撃をユキトへと繰り出している。
ユキトは流線形である鎧をうまく使い、タチバナの武器を極力痛めないように斬撃をさばいていく。
そう、これは言うまでもなく、明らかな手加減だ。
それは、斬撃を繰り出しているタチバナ本人にもわかっている。
彼女は元の世界において剣道を嗜んでいた。
だからこそ、異世界に来てもなお、剣を主軸とした戦いを得意として、自信もあった。
(・・・勝てないわね)
それでも、届かない。
タチバナは悔しさを覚えるのと同時に、冷静にそれを認識できてもいた。
(せめて、一撃。一撃だけは届かせたいわね。今の私にできるのは・・・)
斬撃を繰り出しつつもタチバナの思考は回る。
そして、思い出した。
(ここは、異世界。あたしにはこっちで身に着けた力が・・・魔法がある!!)
タチバナは閃くと同時に大きい斬撃を放って、ユキトの姿勢を崩そうとする。
しかし、ユキトはそれをものともせずに流してしまった。
「そこっ!!」
「ぬ!?」
だが、それも想定内。
うまく流されたことによってユキトに無意識に生じた「攻撃を受け流した」という油断。
タチバナはそれを突く。
振り下ろされ、本来は変えられないはずの剣の軌道・・・タチバナは魔法によってそれを無理やりに跳ね上げたッ!!
「ぐぅっ!?」
「うあっ!?」
蒼く光る剣閃がユキトの脇腹に直撃する。
しかし、これは諸刃の剣。
無理な挙動は使用者であるタチバナの腕にもダメージを与えてしまう。
だが、それでも・・・
「一撃、入れて、やったわよっ!!」
それでも、ユキトへと攻撃が入った。
魔法も加わった今回の一撃はユキトへと確かに届き、その脇腹からはパラパラと金属の破片が散っている。
「ああ、見事だ」
ユキトはこの一撃を称えながらも、脇腹にめり込む剣の先を手で掴む。
ここから、またユキトのターンが始まる・・・そう思いきや。
「危ない!!」
二人の元へと、複数の炎の玉が飛来する。
「ヒラナカッ!!」
ユキトは咄嗟にタチバナを背中に庇い、炎の玉をその体で受け止める。
いつものユキト、そして零式であれば問題はない。
だが・・・
「ぐぅおおっ!?」
さっきつけられた脇腹の傷。
そこが弱点となり、ユキトへのダメージとなった。
「真剣勝負を邪魔するなんて、無粋な真似をするのはどなたでして?」
炎の玉の飛んできた方角、そこへと見届け人だったレイカが問いかける。
「「・・・・・・」」
しかし、残念ながらその返事は返ってこず、ただ無言で佇む顔色の悪い男が二人、杖を構えて立っていたのだった。
次回の更新は4月12日(日)午前6時の予定です。
また次回でお会いしましょう!!




