エピローグ的、な。
最終回です。
今までありがとうございました。
わたしは日の光に目を覚ましました。
ううん、爽やかな朝です。
さっさとベッドから抜け出して、朝の一仕事をしなければ、と身を起こしかけてそれが不要であったことに思い至りました。
ここは王都にある王宮内です。
わたしの身分は勇者一行のメンバー、というものですが、果たして今もそれが当てはまるのかどうか。
何故なら、つい先日勇者様が魔王を打倒されてしまったからです。
それももうあっさりと。
しかもお一人で。
いつもの「あ、出た」という言葉を発し魔物退治と同じようにぱっと姿を消すと、あっさりと戻ってこられて「魔王狩ってきた」と仰いました。
……勇者様、勇者一行って言葉の意味知ってますか。
もしくは勇者様お一人であっさりそれが出来る事態の異常さを認識し直すのが先でしょうか。
ともあれ、わたしが召しだされた理由がなくなったわけですので、この場を辞して村へ帰ろうとしました。
身支度を整え、お別れのご挨拶です。
が、勇者様と騎士団長様と首席魔法使い様によって阻止されました。
正確に言うと、その御三方がわたしが村へ帰るならついて行くと仰られて、神官長様や国王様より慌てて止められたのです。
……わたしは生涯村へ戻ることは出来ないのでしょうか。
わたしは今しばらく王宮に留まるわけとなったのです。
と言うか、いつか帰れる日はくるのでしょうか。
王子様との縁談の話も消える様子がありません。
わたし、普通の女の子なんですけど。
王妃様とか、柄ではないのですが。
「「「マリアベル!」」」
「俺の可愛い妹よ、兄はいつでもお前のそばにいるぞ!」
いえ、だからあなたは兄では……。
「愛しい我が娘、そなたを守るのはわししかおらん!」
あの、なので娘では……。
「わたくしの心の友よ~、離れても常にお互いの思考が読める魔術の研究をいたしましょう?」
いえ、お断りしたいです。
「マリアベル、お願いですからここにいてください。あなたはいてくださるだけでいいのです」
……神官長様、結局わたしの役目って、「いる」だけなんですね。
「マリアベル、諦めが肝心だよ」
いつから横にいたのか、苦笑気味に王子様はそう仰いました。
王子様、それは実体験から基づくお言葉なんでしょうか。
「はあ……」
わたしは何とも言えずに頷きました。
もう、そうする他なかったとも言えます。
こうして突然訪れた魔王討伐の為の勇者一行として召し上げられたわたしの困惑の日々は、魔王が倒された後もまだまだ続くようなのでした。
「ところでいいの? マリアベルがわたしの妃になっても?」
「ん? 妹が幸せになるなら反対する兄はいないだろ?」
「まあ普通はそうだけど。ただ君の場合自分の妻にするとでも言うかと思ってた」
「は? 妹を妻にするはずないだろ」
「まあ普通はそうなんだけどね」
「それに、国の妃ならどこにも行きようがないし、お前が相手なら俺の口出し放題だろ」
「そういう奴だよね、君って奴は」
実は同い年で友人の王子と勇者でした。