第九章、戻れない思い返し 3
避雷針から..ファーストラブ オリジナル
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九時を五分程回った世田谷区、環状八号線沿いの千歳台に在る、ファミリーレストラン。
聡が奥の席に、一人で座っていた。
すると生え際が黒くロン毛で茶髪。上は白いセーター、
ピンクのミニスカートを履いた女が、店に一人で入って来た。
奥の席で、入り口に向けて座っていた聡が、それを目視した。
その女は、脇目も振らず奥に歩いて行った。
そして聡を見て、聡の向かい側に静かに席を引いて、スカートを払って座った。
店員がトレイに、一人分の水を乗せて、二人のオーダーを取りにやって来た。
恵美、「アイスコーヒー」。
聡、「同じ物で..」。
店員、「アイスコーヒーお二つで..以上で宜しいですか?」。
二人は同時に頷いた。
聡、恵美を見ながら、言葉が脳裏に複数走る。
(旨く行ってはずなのに...何でこんな風になるの?私..私捨てられるんだ!
後輩に何て言おう?でも..でも聡君、忘れられない!優しいし..。
何て切り返せばごまかせるだろう?斉藤君の方が、優しかったって焼かせ様か?
小百合使って..だめだ!泣きは使えそう?こんな大ぴろげな場所で泣けば..何とか..)。
聡、「もう、あがくの止めよーぜ!」
そう恵美に告げると、恵美は目が据わった。
聡は、ほくそ笑む。 (しめしめと笑う、思っていた事の受注に嵌る)
恵美は、その聡の表情を見て怯んだ。
聡、「全部使えねーよ#!」。
そう言い放つと、恵美は固まった。
聡は、「お前の事、真に聞いたよ小百合にもな!」。
恵美は切ない顔に変り、「そうなんだ..」。軽くあしらう様に応えた。
そして店員がアイスコーヒーを、テーブルに二つ置いて、軽く頭を下げて去って行った。
それを二人は確認して、話し始めた。
聡が、「大分変な根性、身に付いたみてーだなぁー#!」。
そんな聡の問い掛けに、怯む事なくアイスコーヒーを、ストローで飲んでいた。
その時、聡の脳裏に、(そうだ!『ホモだったんだよアイツ!と、言い降らす』
とか言って、脅かしてやろう…ふっ#)。
聡、「言い降らせばぁ、かまわねーぜ俺はなぁー#!」。
そう言うと恵美は、コーヒーが喉につまり、思いっきりテーブルに吹いてしまった。
聡、「だったら暴露してやろうか、お前のシモベになぁー#!」。
恵美はその聡の一言で、初めて真顔を見せた。
恵美、「聡君きっと浩二が死ぬ前に、私の過去の話しても、許してくれると思っていた。でも….」。
聡、「お前の周囲に対する、メンツとプライドだろ!」。
恵美は、「変えられなかったね..って言うより、私を変えて欲しかった」。
聡、「勝手な事言うな今更#!じゃー自分で変わろうとしろよ、
お前..なんでも人任せだなぁー#!」。
聡の脳裏に、(本とは気が小さいの..)。
恵美は急に泣き出し、「私、本とは気が小さいの、だから、だから..」。
聡の脳裏に走っる言葉は、本音であった。
だが聡は、いきなり立ち上がり、思いっきり泣きっ面を張り倒した。
恵美は「キャー」っと、声を上げた。
“パチーン!”と言う音と共に、”キャー”と、言う奇声。
周りが、振り向かないわけが無い。
店内に居た疎らなお客が皆、後ろの席に顔を向けた。
聡は恵美を睨みながら、静かに席に着いた。
聡、「何もかも遅せーんだよ#!お前..幸せになりたいんだったら、
死ぬ前の浩二に、そう言うんだったなぁ#!」。
そう言って立ち上がり、透明の筒から伝票の紙を取り出し席を立った。
その時恵美が、立ち去ろうとしていた聡に、
「これが欲しかったの..。私はそうやって、強く私を強引に
聡君の色に変えて欲しかった。でも聡君、優しいから..」。
聡は一度、立ち止まったが、何も言わず去ろうとした時、恵美が聡に振り向き、
椅子から見上げて話し掛けた。
恵美、「聡君やっぱりそうなんだ。斉藤君が、
『あいつ雷に打たれてから、人を見透かす様な能力身に着けたやがって!』って。
なら浩二が死ななかったら、私達旨くやれたのにね。
私..素直じゃないから、あの子みたいに、あの日から..」。
聡は驚いて、恵美に振り返った。
恵美は黙ってそっと、顔を前方に戻して行った。
聡はその恵美の、後ろ姿を見つめていたが、そっとその場を立ち去っていった。
この物語はフィクションであり、登場する人物、建物などは実際には存在しません。




