第八章、始まり9
避雷針から..ファーストラブ オリジナル
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そんな聡を、横で見つめていた香菜。東急東横線の、中目黒駅付近に差し掛かった時だった。
香菜は通り沿いのハンバーガー屋で、足を止めた。
急に止まったので、俯いていた聡は驚いて香菜の顔を見た。
すると、「ほなは、すはない?」(お腹空かない?)。
そう言って、笑顔で首をかしげた。
聡は微笑んで、「あ..あ、そうだな..。俺も昼から、なんにも食べてないや!」。
そう言うと香菜が笑顔で、「こうは、ほこふよ」(今日は、おごるよ)。
聡もそんな香菜を見て、俯き加減でやるせない表情が綻んだ。
香菜は、今度は逆に聡の手を引いて店内に入った。
空いている店内に入ると、香菜はカウンターに聡を連れて佇んだ。
そして..あの時の様に、直ぐ店員が、「ご注文をどうぞ」。
香菜がカウンターに置いて有った、メニューの品物の写真を、人差し指で追って指差した。
店員は、香菜が指をさした品物を言葉にした。
店員、「チーズ&フィッシュですね!単品でお一つ?」。
そう尋ねられると香菜は、聡の顔を見た。
聡は微笑みながら、「俺もチーズ&フィッシュでいいよ!」。
香菜は、店員の顔を見て店員が、「チーズ&フィッシュお二つで宜しいですか?」、
頷いて香菜はまた、メニューを指で追った。
店員がとっさに、香菜の指を見ていた。
それを確認した店員が、「お飲み物は召し上がりますか?」と、
尋ねられ、香菜は店員の顔をチラッと伺い、メニューを指で追う。
飲み物の枠で指が止まり、すっと、自分が飲みたい品物の所で、人差し指を置いた。
同時に店員は、メニューを見つめ、置かれた指の品物を口にする。
「アイスカフェオレですね、お一つ?」。
店員は香菜を見て尋ねると、香菜は頷いた。
香菜はまた、メニューのドリンク枠を指で追っていた。
店員もまた、とっさにメニューを見た。
そしてジンジャーエールの所で指を止めた。
店員はまた、指差した品物を口にする、「ジンジャーエールも、お一つ..?」。
香菜は頷いた。
すると香菜、「はっ」と、声を出した。
すると店員が、“へ”と言う表情で首を傾げ、香菜の顔を見た。
香菜は、メニューのポテトに指を置いた。
店員が、「サイズの方は?」。
すると横に居た聡が、微笑みながら香菜を見て、「Lでいいよ、ポテトは俺が払うよ」。
そう答えると、香菜は聡を見つめて首を振った。
店員がどちらを見ていいのか迷い、二人の顔を交互に見て、
「えーとLで宜しいですか?」と答えると、二人は同時に頷いた。
聡はそんな香菜を見ていたら、やるせない気持ちが晴れて行くのであった。
そしてこの二人は、店内の窓際に席を取っていた。
始めて会った時の様に..。
今日は香菜が弾んでいた。ハンバーガーを頬張り、嬉しそうに食べていた。
聡はそんな香菜を見つめながら、ハンバーガーを食べた。
聡は香菜を見つめながら、「へー..芸術校か~」。
香菜は食べながら頷いた。
聡は、「通っていそうな、感じするよね..」。
そう問いかけると、香菜は口をモグモグさせながら微笑んだ。
香菜はカフェオレをストローで飲んで、「はとひ君は?」(聡君は?)。
聡、「あー、俺は普通高さ、東京都立城南高校」。
香菜は、「ばんほ、いはへも、はってふの?」(バンド、今でもやっているの?)。
その問いかけに聡は、「いや..その事で、周りが..」。
その表情を見て香菜が、聞いてはいけない事だと察知して、「ごへんなはい」(ごめんなさい)。
聡は、「いや..いいんだ、気にすんなよ..」。ぎこちない面持ちで答えた。
聡が何気なく、「学校の展覧会って、どんな事するの?」。
香菜はその問いかけに、「あ..あーん」、一生懸命に声で説明しようとしていた。
聡は香菜にゼスチャー。自分の頭を指差した。
香菜は落ち着いて、静かに聡を見つめた。
この物語はフィクションであり、登場する人物、建物などは実際には存在しません。




