【第3章】宇宙艦隊オッパリオン091話「母乳を求めて」
こんにちは、こんばんは、YOMです。
本日もオッパリオン到着しましたので更新です。
本日は、帝国回。
六一部隊に襲われたマーラ勢と翔平は次の一手を思案する。
この先に何が待ち受けているのか?
母乳力をめぐる宇宙の戦いは続く!!
【〇九一 母乳を求めて】
グアデリアで待機していたマシウスはトリアルダに六一部隊が侵入したと聞き、艦橋の扉をあけていた。
「カシラ、六一部隊が入ったってのは本当かよ?」
無許可の来訪にアルガノスは首だけをこちらに向けた。
「マシウス、誰の許可で入ってる?」
「それどころじゃないだろ。トリアルダに六一部隊が入ったんだってな。行かなくて大丈夫なのか?」
「どこから聞いた? ……まぁそれはいいか。ああ、確かに六一部隊が入った。だがすでに殲滅済みだ」
アルガノスがあっさりとそんなことを言ったので、マシウスは目を丸くした。
「おいおい、なんの冗談だよ。六一部隊を殲滅したって?」
「冗談ではない。中の戦闘員とメイドで迎撃したそうだ。こちらに被害は出ていない」
「メイドって……殿下付きのメイドか。まったく、殿下の身の回りはどうなってるんだか。まったく恐ろしいぜ……」
アルガノスの報告にマシウスも呆れてしまった。
「けどこれで六一部隊が諦めるとは思えないぜ。入ったのは先遣隊だろうから本隊は追撃してくるだろうよ。次元艦だって出てるんだろう? 振り切れるかもしれないけど先手は打たれてるじゃないのか?」
「めずらしく弱気だなマシウス。ヴァロアルド殿下に恐れをなしたか?」
「そりゃ恐れもなすだろうよ。あの人は半端なことはしないぜ?」
「それはそうだな」
「キャプテン、トリアルダから直接通信です。殿下からです」
「繋げ。マシウス、おとなしくしていろよ」
「へいへい」
グアデリア艦橋のメインモニターにはトリアルダの艦橋が映し出される。ヴァツルドとデトランスがいた。
『キャプテン、今後の針路について相談があるのだがいいかな?』
「なんでしょう?」
『我々は当初、シャルベクール基地を目指していた。だけど今となってはそこも危ういという判断をしたよ。六一部隊が投入されているということで、兄上の行動が思ったより早いと思ってね。シャルベクール基地も兄上の部隊に抑えられている可能性が高い』
「同感ですな。あの基地はヴァツルド殿下の支持者が多いとは言え、他の基地からの乗り入れも多いですからな。潜伏できたとしても情報の漏洩が考えられますな」
『そこでどうしたものかと、ね。トリアルダはともかくデラーザ級は母乳消費量も多い。今後のことを考えると母乳の補給もしておきたいところだ。そして次の手を打つまで身を潜められる場所が必要なのだけど、キャプテンはどこか心当たりがあるかな?』
「心当たりですか……」
アルガノスは思案した。母乳の補給も受けることができてヴァツルドが身を潜めることのできる場所となるとかなり限定される。しかも今はヴァロアルドによるヴァツルドを追う包囲網が敷かれつつあることだろう。
アルガノスが思案しているとマシウスが身を乗り出した。
「カシラ、あそこがある」
「おとなしくしていろと言った」
『ほう、マシウス君だったか。なにか心当たりがあるのかね?』
モニターのヴァツルドがマシウスに声をかける。マシウスは姿勢を正した。
「はっ。心当たりというか、海賊たちの間で話に出る秘密の場所があるんです」
『秘密の場所? さて、私は聞いたことがないな』
「そりゃ、海賊の中でしかされない話ですからね。どうだ、カシラ?」
「あそこか……。たしかにここからならそう遠い場所ではないな……。殿下、ボルグザーブ衛星基地という場所をご存じですか?」
『いや、聞いたこともないよ。デトランス、キミは知っているか?』
『いえ、自分も知りません』
「海賊たちが潜伏に使う場所で、軍の管轄じゃないんです。誰が作ったかは知らんのですが、母乳や資材、食糧なんかが備蓄されていましてな。なんでも大昔の戦争の時に廃棄されたのを今は消滅した海賊団が使っていた、と言われてる基地です。まぁ相当に古い基地なので実際に母乳があるか定かではありませんが、もしかしたらあるかもしれませんな」
アルガノスの説明を聞き、モニターのヴァツルドは顎に手をかけて思案している様子だった。
『殿下、海賊の噂という程度かもしれません』
『ふむ、その可能性もあるね。――でも、行ってみる価値はあるかもしれない。私が知らなかったということは兄上も知らないだろう。追っ手の捜索範囲から脱することができるかもしれない』
「行ってみましょう殿下!」
「おまえの意見など聞いていないぞマシウス」
「きっと母乳もあるって。海賊が隠れ家に使っていたんだ。隠れ家としても機能するかもしれないだろう?」
「楽観的だな。そう上手く行くか」
『ハハハ、楽観視はともかく希望を持つことは大事だよ。――わかった、我々はそのボルグザーブ基地を目指すとしよう。座標はわかるかなキャプテン?』
「グアデリアにある座標を送りましょう。――おい」
「了解です。座標共有します」
航海長が速やかに座標を共有する。
『なるほど。ここからそう遠くないんだね。しかも帝国領からは離れるのか。都合がいいね』
「しかし殿下、その後はどうします? 本国の同志たちも今は動けんでしょう」
『そのことなのだけど――私はオッパリオン人と接触することを考えているよ』
「メルクコアと?」
マシウスが思わず聞き返す。
『そう。せっかく手に入れたZリーヌンスはどうやら母乳力を必要とするらしい。兄上から見れば我々が不利だが、オッパリオン人から見ればZリーンヌンスを確保している我々の方が有利ということ。交渉はできよう』
「なるほど。しかし交渉のできる優秀な人物に会えるかどうか」
『そこは賭けになるね。できればアーリア提督ほどの人物に会いたいものだ』
「オッパリオン近くでZリーヌンスを発現させればあの輪っか付きは飛んで来るでしょうな。しかしそこまでオッパリオンに接近するには帝国軍の包囲網を抜ける必要もある、そこが問題ですな」
『その通りだよキャプテン。上手く帝国軍を欺く必要がある。だから少しの潜伏と情報収集が必要になると思うからね。ボルグザーブ基地でそれまでの時間稼ぎができるといいのだけど』
「保証はできませんが、多少は稼げることでしょう。最も、基地が生きていれば、ですがな」
「なぁカシラ」
「なんだ?」
「基地に先客がいるってことはないのか?」
「その可能性もあるな。しかし今海賊が活発に動いている宙域からはかけ離れているからな。いたとしても小規模な海賊だろうから、その時は追い出すしかない」
『手荒なことは避けたいものだね』
「その時は俺に任せてくださいよ殿下」
「軽口を叩くな」
アルガノスにはそう言われたが、ヴァツルドはにこやかだった。
『ではキャプテン、我々の針路をボルグザーブ基地へ向けることにしよう。通常航法で三日もあれば着くという計算がこちらで出たよ』
「了解しました。引き続き追っ手を警戒しつつ同行します」
『ありがとう。ではまた――』
ヴァツルドからの通信が切れる。
「へへ、やったなカシラ。あそこの物資を全部詰め込んで行こうぜ」
「おまえは気楽だな。そんな物資が本当にあれば、の話だ」
「なかったらどうするんだよ?」
「最悪俺たち海賊部隊だけで帝国の巡視船あたりを襲って母乳を奪うしかないな」
「はっ、本当の海賊みたいじゃねぇか。いいぜ、俺はそういうの嫌いじゃない」
「おまえの好みなど知ったことか。だがそんなことは効率が悪い上に居場所がばれる可能性が高い。できれば他の艦船との接触は避けたいからな。あの廃基地に物資が残っていることを期待しよう」
「なんとなくありそうな気がするぜ。大丈夫だって。俺たちがそう簡単に負けるわけねーんだしさ」
マシウスの楽観的を究めたような発言にアルガノスはため息をついた。
「まったくおまえは……。まぁいい、持ち場に戻って母乳を節約する戦い方でも考えてろ」
「へいへい。わかりまし――あ、そうだカシラ」
「まだなんかあるのか?」
「六一部隊をやったメイドって誰だか聞いておいてくれよ。気になるんだ」
「俺はおまえの伝言係じゃないぞ」
「おっと、それは失礼っ。でもお願いだよ、頼むっ」
「まったく俺をなんだと思ってる……。まぁおそらくはZリーヌンスに付いてるメイドだからリマだろう」
「リマぁ? あのチビがやったってのかよ? 嘘くせぇ」
「殿下付きのメイドは能力が未知数だ。リマがやってたとしても不思議じゃあない」
「本当かよ……。おっかねぇ話だ。今度会ったら聞いてみるか。じゃ、邪魔したぜカシラ」
マシウスはそう残し、艦橋を出ていった。
艦橋を出て格納庫へ向かう途中、マシウスは胸の高鳴りを感じていた。
「くくく、なんかおもしろいことになってきたぜ。帝国に追われるかもなんて言われてたけど、本当にそうなるかもな。なら、俺を使い捨てにしてきた帝国軍を見返してやる機会も来るかもな……へへへ」
マシウスはそんなことを言いながら、ひとり笑みを浮かべていた。
まさか、みんなが忘れていそうな機動兵器パイロットのマシウス視点で話が進むという!!
海賊側のキャラクターも動いてきましたが、翔平達の運命は如何に!?
次回もお楽しみに。
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皆さんからの熱い感想がいずれ来るのを期待して、更新を続けていきます。




