【第3章】宇宙艦隊オッパリオン085話「リマの奮闘」
宇宙艦隊オッパリオン本日も出航です!!
いつも宇宙艦隊オッパリオンを応援頂きましてありがとうございます。
YOMです。
今回のお話は「リマの奮闘」のお風呂回。
オッパリオンとお風呂は切っても離せない関係です。
果たして、マーラ帝国のメイドであるリマは翔平をどうもてなすのか!?
スケキヨ氏による健全なお風呂回始まります!!
【〇八五 リマの奮闘】
リマに案内された浴室はスタティアやクァードのような大浴場ではなく、今までいた客室のような部屋から繋がった一角にある浴室だった。
艦の中とは思えない豪華な作りに驚く。
「今着ているものはそこの箱へお入れください」
「わかったよ。処分されるのかな?」
「当艦へショウヘイ様が運ばれた時に検閲は済ませてあるので、希望とあれば保存しておくことはできます。ですが当艦にいる間はオッパリオン様式のものはお召しにならない方がいいとは思います」
「わ、わかった。この服は一応取っておいてくれるかな」
「かしこまりました」
脱衣所らしい場所でリマとふたり。リマは穏やかな表情でこちらを見つめ続けている。
「あの……」
「なんでしょう?」
「これから脱ぐわけだからできればひとりにして欲しいんだけど……」
「あ、それは失礼しました。ではまた後ほど」
リマはぺこりと一礼をし、脱衣場の外へと出て行った。
「……さて、と」
助けを待つ身でありながらのんびりと風呂に入るのもどうか――そんなことが頭をよぎるものの、ここにいる以上はここの流儀に倣うしかないとも思った。
それにこの後にあるヴァツルドとの晩餐では、彼の話を聞くことになる。それはもしかしたら自分の身の今後を左右する決断を迫られるかもしれない、と。
浴室の形式はシャワーとお湯が張られたバスタブがあり、地球のそれと大差のなかったオッパリオンのものとよく似ていた。
さすがに広さはなく、やや狭く感じられるが、艦の中にある設備と思うとやはり豪華だと思わざるを得なかった。
とりあえずシャワーを出して体にお湯をかける。
地球製の宇宙服は長く着ていると乾燥しがちになるのだが、オッパリオン製の服はそういうことがなかった。マーラの服もそのような仕様になっているのか、少し気になった。
体を洗う石鹸はあるのか……と思った時だった。
「ショウヘイ様」
「あ、リマ、ちょうど良かった。石鹸はどこに――」
「失礼します」
「っ!?」
リマは声と同時に浴室へと、一糸まとわぬ姿で入ってきた。
「なっ!? なにを――」
直視してはいけないと思い、翔平は反射的にリマに背を向けた。
一瞬とは言え見えてしまったリマの肌は健康的で、長くオッパリオン人に接していて感覚が麻痺していたが、大きい胸をしていた。
「ひとりでは勝手がわからないと思い、お手伝いに上がりました」
「だ、大丈夫だよ!」
「いえ、さすがに異星の方に設備の使い方まではわからないと思いますので。それに湯浴みの文化もマーラでは大事な文化となっていますので、わたしが責任を持ってお伝えします」
「風呂なんてどこでも同じだって!」
翔平は自分でもわかるくらいに慌てていた。
「ショウヘイ様、なにをそんなに慌てていらっしゃるのですか?」
「な、なにをって――」
「あ、もしかして湯浴みの経験がないとか、ですか?」
「経験はあるよ! 地球じゃよほど親しくない限り風呂はひとりで入るものなんだ!」
「あ、そうだったのですね」
「そうだよ。マーラじゃメイドさんに手伝わせるのが普通なのか?」
「いえ、普通はこんなことはしません。ただ、ショウヘイ様が困っているかなと思ってのことでした」
「それなら大丈夫だから」
翔平は肩越しに後ろを振り返る。するとそこには相変わらず全裸で立っているリマがいたので、慌てて振り返る。
「いえ、そういうわけにはまりません。一応、ヴァツルド様より片時も目を離すなと仰せつかっておりますし、きちんと体を清めることも大事な作法ですから。お手伝いさせていただきます」
「ちょ、ちょっと――」
リマは翔平のわきを抜けると前に来て、シャワーを手に取った。もう片方の手にはスポンジのようなものを持っている。
「リ、リマは裸で恥ずかしくないのか!?」
「普通は恥ずかしいですが、ショウヘイ様は異星の方なので、わたしごときの裸を見てどうこう思うこともないかと思いまして」
ラメルで会った異星人ほど姿が異なっていたらそうだったかもしれないが、マーラ人の見た目も地球人とほぼ同じだ。裸体に関してはよく見なくてもわかるが、リマの裸は地球人のそれとほぼ差がない。
「思うよ、リマたちは地球人とほとんど同じなんだ」
「あ、そうだったんですね。でもお気になさらず。メイドは空気のようなものと思ってください」
リマは退く様子を見せない。それどころかシャワーを操作して翔平の背中にお湯をかけはじめた。
「ちょ、ちょっと待った!」
翔平が思わず浴室を出ようとすると、リマが手を掴む。
「ダメですショウヘイ様。きちんと洗ってください。ここではそれが作法であり、礼儀となります」
「だからって……」
女の子と一緒に風呂に入るのはどうかと思うも、リマは退く様子がない。
「ご安心ください。人様のお体を洗うことははじめてですが、きっとうまくできると思います」
「その自信はどこから来るんだ?」
「根拠なんてありません。そう思うから、そう思えるんです。さぁ、こちらを向いてくださいませ」
リマの根拠のない自信に唖然としつつも、翔平はこれがマーラ人の性格なのかと感じてしまった。思えば黒騎士もかなり思い込みが激しく、自信家のようだった。
「わ、わかった」
翔平は観念して前を向き、リマと向き合う。
「ありがとうございます。――しかし、肌の色もマーラ人と近いですね。防疫の際に遺伝子の検査もしましたが、マーラ人とショウヘイ様は遺伝子的にはまったくの別ということでした」
「そ、そうなのか?」
「はい。オッパリオン人たちとショウヘイ様は類似性があるようですが、マーラ人とはまったく類似性がありません。なのでマーラ製のナノマシンは調整なしではショウヘイ様には使えないということでした」
そんな話をしている中、リマは持っていたスポンジにボディソープのようなものをつけていた。
「失礼します」
「…………」
リマは臆することなく翔平を腕から洗いはじめる。直視は避けていたが、正面を見るとどうしてもリマの裸が目に入ってしまう。ここまで間近で女性の裸を見るのははじめてのことだった。興奮するというよりも恥ずかしさが先に立つ。
「お、俺にはマーラのナノマシンも入っているの?」
「いえ、使っていません。なので生体認証が必要な艦内設備は使えないことになっています。不便をおかけしますがしばらくはこのままでいさせてください。一応医療班がショウヘイ様に合わせてナノマシンを調整していますが、今しばらく時間がかかるとのことです。その間は常にわたしがそばにいますので、設備に関しては問題なく利用できます」
ごしごしと、リマは心地よい力加減で体を洗っていく。マーラの石鹸はどこか品のある良い香りがしている。
リマの手が肩を洗おうとすると、腕がリマの胸に触れる。翔平はびくりとしてしまったがリマは気にすることなく洗い続ける。翔平はただ戸惑うばかりで、肌の感触などを感じている場合ではなかった。
「ショウヘイ様たちは異星人との交流はあるのですか?」
「まだないよ。オッパリオン人に会った俺たちが最初の人間だと思うんだけど、世間的にはなかったことにされてる」
「なるほど。保守的な考えをされる方が多いのですね」
リマの手が翔平の胸を洗いはじめる。体は密着に限りなく近い姿勢になっており、リマの吐息がかかるほどに近い。
「リ、リマからすると俺たちはどう見えてるんだ?」
ふとそんなことが気になった。体格や見た目もかなり近い種族であるのに、リマはどうしてもこう堂々としていられるのかが気になってしまう。
「マーラは異星文化交流が進んでいます。多くの植民星を持ち、交易を行っていますので異星人と会う機会も多いんです。特にヴァツルド様は多く植民星の視察に出ていました。ですが、この宇宙において最も尊い存在はマーラ人なのです」
リマは当然のことを言うのようにはっきりとそう言った。
「長い歴史と高度な技術、知性を持つマーラ人こそが宇宙を統べるに相応しい種族であるとわたしたちは教育されます。そしてそうだと思います。ショウヘイ様は異論を持つかもしれませんが、わたしたちはそう思っています」
それがマーラ人の自信に繋がっているのか、翔平はそう思った。同時に、他の星を侵略したり拉致したりもできる根幹的な考え方なのだろうと。
「なので大変に失礼ですが、見た目や姿が近いショウヘイ様もわたしからしてしまうと他の異星人と同じに感じられます。ショウヘイ様は礼節もあり話も通じる方とお見受けしましたが、マーラ人ではありません」
「だからその……裸を見られても平気?」
「それは……あの、本当にこれは……内緒ですが、言ってはいけないことなのですが、本音を言ってしまえばわたしも恥ずかしいことは恥ずかしいです」
「じゃあなんで――」
「今回、わたしはヴァツルド様のお屋敷でメイドとして働いていてはじめての大役を任されました。それが大事な客人であるショウヘイ様のお世話なんです。なので、自分にできることはなんでもしようと決めたんです。それが、ヴァツルド様の恩に報いることにもなりますし、メイドとしての本懐でもありますから」
リマはそう言って、照れくささを隠すようににこりと笑んだ。その笑顔から感じられたのはリマの純真さと忠誠心の高さだった。それは彼女の強さであり、誇りであるとも感じられた。
「逆に、ショウヘイ様は先ほどからずっと戸惑っていられるように見えますが、異星人と接することには不慣れなのですか?」
「異星人どうこうというより……こうやって触れ合うこと自体があまり……。さっきも言ったけど、地球人はよほど親しい人じゃないと体を触ったりはしないから」
「そこはマーラ人も同じです。マーラ人同士はそうですが、異星人はすべてマーラ人より劣っている存在ということになっています。ですがショウヘイ様は特別だとお聞きしておりますので。そんな特別なお方なら、わたしなどの姿を見てもなにも感じることはないかと思います」
「そ、そんなことないよ」
「え?」
正直に答えた翔平にリマは手を止め、目を丸くした。
「で、ではショウヘイ様は……わたしを見て、どうお感じになられてるんですか?」
リマの言葉には明らかな動揺が見てとれた。翔平もそんなことはないと言ってしまったが、なんと伝えたらいいのか言葉を選ぶ必要を感じられた。
「ど、どうって言われても……その、なんていうか、もしかしたら侮辱になってしまうかもしれないけど、マーラ人と地球人の区別がはっきりしないんだ。だから普通に、同じ地球人の女性の裸が目の前にある状態になっているわけで……」
「そ、それは……マーラ人にしてみると複雑な気持ちになってしまいますが、ショウヘイ様にしてみると……」
と、見る見るうちにリマの顔が赤くなっていく。
「もしかしてわたし、かなり恥ずかしいことをしてしまいましたか?」
「う、うん、かなり……」
「っ!?」
リマはハッと息を飲んだ。
「そ、それは失礼しました!」
リマは突然翔平から離れ、深々と頭を下げる。
「いや、謝らなくていいって。こういうのはよくあるすれ違いというか、勘違いというか……だと思うから」
「お許しいただきありがとうございます。ですがショウヘイ様、ここに来て今さらやめるということもできません。なので最後まで責任を持って洗わせていただきます」
「え?」
そう言うとリマは再びショウヘイに近づく。
「なんでそうなるんだ!?」
「これもわたしなりのもてなしと考えてください」
「そこまでする必要はないって!」
「ヴァツルド様にもよくリマはやりすぎだとか、がんばりすぎると言われますが、そこがいいところでもあると仰ってくれました。なので続けます」
リマは信念が強い……そう思い、翔平は諦めることにした。
◇ ◇ ◇
その後、リマに股間も洗われそうになるも、そこは男の尊厳があるとしてなんとか断ることに成功した。
「それではお体は洗い終わりましたので、お湯に浸かって体を温めてください」
「わ、わかったよ」
じろじろと見ているわけでもなかったが、リマは終始全裸で立っている。なんだか申し訳ない気持ちにすらなってきた。
「リマは洗わないのか? 同席してくれるんだろう?」
「わたしは招かれた人ではないので。ショウヘイ様のそばでお給仕の手伝いをさせていただきますが」
そんな言葉を受けつつ、翔平は逃げるようにバスタブに浸かった。お湯の温度は熱くもなく、かと言ってぬるくもなく調度良かった。
「そういうものなのか……。リマを裸で立たせていて申し訳ないと思って」
「お気遣いありがとうございます。ですが、わたしは先に失礼させていただきます。ショウヘイ様の服の支度をさせていただきますので」
「わかったよ。ありがとう」
「では失礼します」
リマはぺこりと頭を下げ、浴室から出て行った。
翔平は思わず安堵のため息を吐く。
「はぁ……どうなるかと思った……」
やはりマーラ人というのは自信家で思い込みが激しいと、あらためて感じられた。
そしてリマの裸と積極性とは別に驚いたこともある。それはマーラ人と地球人の遺伝子がまったく別ということだった。見た目の類似性は高いものの、遺伝子レベルで見ると似てはいないとのことだ。
ナノマシンも対応していなかったということで、体に細工はされていないということだろうという安心もあった。
そんなことを考えながらお湯に浸かっていると体も温まってきたので、そろそろ上がることにする。
浴室を出ると、そこにはすでにメイド服に着替えたリマが待っていた。
「どうぞ」
リマがバスタオルのようなものを広げてきたので、翔平はそれを受け取ろうとした。
「いえ、わたしが拭かせてもらいます」
「それも自分でやるよ。それが地球の礼儀なんだ」
「そ、そうですか」
めずらしく、リマは素直に応じてくれた。
リマに裸を見られるのにはまだ抵抗があったものの、こうなったら堂々としていようと、翔平にも諦めのような境地に至っていた。
「マーラの服もオッパリオンの服と同じように機能的なのかな?」
「そうですね。オッパリオン製のものよりも温度調整や空間対応に優れています。ショウヘイ様の服でしたら数時間程度であれば宇宙での活動にも対応しているとのことでした」
「……やっぱりすごいな」
「お着替えのお手伝いをさせてもらいます」
「それも大丈夫だよ」
「では、せめて最後の整えはさせてください。きちんとした服装で晩餐に臨んでもらいますので」
「わ、わかった」
マーラの服は下着類も用意されていた。サイズは翔平にぴったりというよりは少し余裕をもった大きさになっていた。体に密着するオッパリオンのデザインとは対極にあるようなデザインとなっている。
見た目はどう見てもただの布のようなのに、これで宇宙での活動も耐えられるというのだから衝撃だった。
最後にリマは服装を整えてくれる。それはリマも手慣れたもので、翔平でも感じるくらいにきっちりと服装を整えてくれた。
「これで大丈夫です。さぁ、お部屋に戻りましょう」
「わかった」
軽く返事はしたものの、リマの姿を見るとどうしても裸が想像されてしまったので、翔平は気付かれないように軽く頭を振った。
もっと緊張感を持とう――そう自分に言い聞かせ、翔平は元いた部屋へと戻るのだった。
お風呂回ならではのお色気シーンではありますが、スケキヨ氏が健全なお色気シーンに整えてくれました。
次回のお色気シーンは、搾乳回かお風呂回か!?はたまたラッキースケベ回か!?
次回のお色気回もお楽しみに!!
そして、マーラ帝国に歓迎される翔平。
ヴァツルドの思惑は一体どこに!?
宇宙艦隊オッパリオンの戦いはまだまだ続いていきます。




