【第2章】宇宙艦隊オッパリオン065話「奈菜の想い」
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本日もスケキヨ氏から宇宙艦隊オッパリオンの更新がやってまいりました。
今回の宇宙艦隊オッパリオンは!!
翔平とフレイアの乗るゼータリオンとシェアトスは、それぞれの任務の為に別行動をとった。
クァードへと向かう翔平。
クァードへたどり着いた翔平を待っていたのは、ミィアルーン博士と奈菜だった。
思いつめた表情の奈菜は、翔平に語り掛ける・・・。
【〇六五 奈菜の想い】
ゼータリオンの着艦は通常と異なり、荒々しいものとなった。ゼータリオンは着地時の衝撃を緩和するために膝を突くような格好で着艦した。
「ふぅ……なんとかなったか」
掴んでいたロボットを見ると顔をこちらへと向けていた。無事なようだった。
ハッチを開けながらロボットを床へと降ろす。その様子を見てミィアルーンがこちらへと向かってくるのが見えた。
「おかえりショウヘイ。それでこれが預かって欲しいという人かな?」
「そうです。Zリーヌンスに関する情報を持ってるんです」
「ほほう、それは興味深い。……にしても随分旧式なアンドロイド……いや、ロボットだね。はじめまして。言語は通じるのかな?」
ミィアルーンが降ろされて自由になったロボットに語りかける。
「はじめまして。言語は通じます。この船に連れて来られてしまいましたがよかったのかな?」
「Zリーヌンスに関する情報を持っているのなら歓迎するよ。可能なら人格データと記憶データを別の体に移したいところだけど、それはひと段落ついてからだね」
そんな話をしているロボットとミィアルーンを尻目に、翔平はゼータリオンを立ち上げる。
「博士、そのロボットをお願いします。俺は戦場に戻ります」
「ああ、ちょっと待ったショウヘイ。ゼータリオンの調整をしよう。Zリーヌンスの影響が思ったより強くてね。今のまま使っていたらオーバーロードを起こして止まってしまう可能性があるんだ。作業は十数分で終わるから少し待って欲しい」
「わ、わかりました」
早くフレイアたちの支援に向かいたい気持ちはあったが、不調で足を引っ張るわけにはいかないので翔平は思いとどまった。
機体をハンガーに固定するとコクピットハッチまでミィアルーンが上がって来た。
「あのロボットはとりあえず待機してもらったよ。相当に古いから早々にメンテナンスした方がいいね。壊れてしまったら大事な情報も失われてしまいかねない」
「そんなに古いんですか?」
「動く骨董品……いや、化石と言ってもいいかもしれない。よく動いているなと関心するほどだよ。じゃあショウヘイはちょっと降りて待っていてくれ。コクピットで調整できるから外装はいじらないよ」
「わかりました」
ミィアルーンと入れ替わるように、ショウヘイはゼータリオンのハッチに立つ。そこから見たハッチの外は光が流れて行った。海賊艦からの砲撃だ。
「戦闘は激しそうだな……」
そんなことを呟きながらゼータリオンの足下を見ると、奈菜が来ていた。
「奈菜?」
奈菜はなにやら心配そうな面持ちで翔平に向かい手を振っていた。
「じゃあ博士、ちょっとお願いします」
「ああ、任せてくれ」
シートの裏に入って何やら作業をはじめたミィアルーンに声をかけると、翔平はゼータリオンから飛び降り、奈菜のところへと降り立った。
「ただいま奈菜。またすぐに行くことになるけど」
「うん……わかってる」
戦闘機動でクァードは揺れ動いていたが、奈菜は落ち着いているように見えた。翔平から見ると、普段とはどこか様子が違っているようにも思える。
「奈菜? どうかしたのか?」
「翔平に大事な力があることはわかってる。みんなから必要とされていることもわかってる。だから危険な場所に行かないといけないってことも……」
どこか思い詰めたような面持ちで奈菜は翔平をまっすぐに見ながらそんなことを言い出した。
「奈菜がよくわかってくれてることはわかってるよ。それと心配ばかりさせてごめん」
「そうじゃなくて……」
ついと、奈菜は視線を逸らした。
いつもはっきりとしている奈菜にしてはめずらしい態度だった。
「翔平が戦っていることには少し慣れてきたよ。みんなも翔平を守ってくれてるのも知ってるから、翔平は大丈夫だとも思ってる。だけど――」
「奈菜?」
奈菜が不意に抱きついてきた。
「どうした?」
「……フレイアのにおいがする」
「え?」
唐突なことを言いながら奈菜は額を翔平の胸に押しつける。
「戦いに行ってる翔平のことは心配だよ、それは。でもオッパリオンの人たちを助けるためだって思ってるし、翔平にしかできないこともある。そうなんだけど……それはわかるんだけど、もっと気になってることがあるの」
「な、なんだ、それは? Zリーヌンスのこととか?」
「ううん」
額を押しつけたまま奈菜は首を振る。
「こんな時なのにこんなこと心配するなんて小さい女って思われるかもしれないけど……わたしが気になっているのは……翔平と、自分の気持ち」
「き、気持ち?」
奈菜がハッと顔を上げる。顔は赤く、琥珀色の瞳は潤んでいた。
「今を逃したら、次の機会は来ないかもしれない。リアリィに言われたの、後悔しないようにしないといけないって」
「どうしたんだ奈菜? なにを言ってるのかわからないぞ?」
奈菜はなにかを思い詰めているようだったが、それが何なのか翔平にはわからなかった。
ただ、大事な話をされていることはわかったので、翔平もまっすぐに奈菜を見ていた。
「翔平……わたしは翔平が好きなの」
「……え?」
「翔平が好きなの。ずっと前から大好き。何度も伝えようとしたけど、伝えられなくって……いろいろな人が翔平の周りにいるようになって……焦ってるってのもあるけど、今伝えないと翔平がいなくなっちゃいそうで……だから」
「な、奈菜?」
突然の告白に翔平は気持ちが追いついていなかった。奈菜のことはいて当然、当たり前のような存在になってしまっていたというのが正直なところで、その奈菜から突然好意を告白されたことは翔平にとっては少なからず衝撃的なことだった。
「翔平が他の人のことを好きとか、そういうのはいいから知っておいて欲しいの。わたしが翔平を好きだってこと。それに、わたしが一番翔平のことを好きなんだってことも」
奈菜の言葉は強かった。どれほど真剣な気持ちなのか、翔平を抱く腕に込められた力もそれを伝えて来る。
「奈菜……俺は――」
「待って。なにも言わないで。翔平はこれから戦いに行くんだから、言葉は残さないで。今はわたしの言葉だけ聞いて欲しい。でも約束して、帰ってきたら、わたしが喜ぶような言葉を聞かせてくれるって」
「ああ、わかった――」
言葉にはしなかったが、翔平は返事のつもりで奈菜の体をぎゅっと抱いた。
「ありがとう翔平――」
奈菜はそういうと翔平の首に手を回し、顔を引き寄せた。そして精一杯の背伸びをして、翔平にキスをする。
「ん……」
奈菜の吐息を唇に感じたかと思うと、柔らかな感触が唇に触れた。感じたことのない繊細な感触と、人の命を感じさせる体温に、翔平は体の芯に触れられたような感覚がした。
「約束……」
唇を離すと、潤んだ瞳の奈菜はそうつぶやいた。
「わかった。約束だ。必ず帰るよ。奈菜を喜ばせるために」
「うん――」
奈菜は今までと違い、すっきりとした面持ちで笑顔を見せてくれた。
その笑顔に、翔平も安堵感を抱いた。
帰ろう――自分の役目を終えて。心からそう思えた。
そんな時――。
「ショウヘイ、調整は終わったよ。出られるよ」
頭上からミィアルーンの声が降り注ぐ。
翔平が返事をするより早く、奈菜が体を離す。
「行ってらっしゃい翔平。がんばってきて」
「ああ、行ってくる。奈菜は安全なところで待っててくれ」
「うん、わかった」
返事をする奈菜のとなりにミィアルーンが降りて来る。
「ゼータリオンの性能はほぼ完全に発揮されるようになってるよ。ショウヘイは限界を気にせず力を使ってくれて大丈夫だからね」
「ありがとう博士。行ってきます」
ミィアルーンにお礼の言葉をかけつつ、翔平は床を蹴ってゼータリオンのコクピットへと向かった。
速やかにシートに座り、体を固定してハッチを閉める。
「こちらゼータリオン、発進許可を願います」
『艦橋了解。発進を許可します。回避運動中のためカタパルト射出は使えませんので、任意で出てください。砲撃に注意してくださいね』
「ありがとうございます。注意します」
解放されたハッチへとゼータリオンを向ける。その途中、一瞬だけ足下にいた奈菜を見た。
祈るような手をしてジッとこちらを見ている。
「必ず帰るからな、奈菜、待っててくれ」
誰にも聞こえないつぶやきを残し、翔平は解放されたハッチへと向かう。
「ゼータリオン出ます」
そして、クァードから離れて行く。クァードは回避運動中のため、あっという間に距離が開いていった。
翔平の心に恐怖はなく、ただやり遂げるという気持ちだけが大きく張り出していた。
不安そうだった奈菜を残し、翔平はフレイア隊の待つ戦闘宙域へと向かう。
クァードVSグアデリアの戦いも遂にここが決戦の場所に!!
翔平とフレイア隊のメンバーは、無事に帰還することができるのか!?
今ここから、激戦が繰り広げられることに。
宇宙艦隊オッパリオン第2章最後の戦いが幕を開ける!!
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