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宇宙艦隊オッパリオン  作者: 桐生スケキヨとYOM
【第1部】【第2章】「Zリーヌンス篇」
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【第2章】宇宙艦隊オッパリオン059話「奈菜の決意」

本日も宇宙艦隊オッパリオン出航!!

いつも応援ありがとうございます。

YOMです。


今回のオッパリオンは。

翔平とフレイアがZリーヌンスの制御の特訓をしている一方、暇を持て余した奈菜は一人クァードの乗組員の手伝いに励んでいた。

翔平とフレイアの関係に悩み不安を隠しきれない奈菜が決意することとは一体!?

がんばれ奈菜!恋する乙女!

宇宙を巡る母乳力の物語はなおも続く!!

【〇五九 奈菜の決意】


「レーダー有効圏内に反応なし。依然、異常ありません」

「ありがとう。監視は続けてください」


 センサー士からの提示報告に答え、アリメルは艦長席に下ろしていた腰の位置をずらした。

 ベールヌの宙域は周囲をニュートレースジャンプ不可能な危険宙域に囲まれてはいるものの、この惑星の軌道域は安定していて静かだった。そのことからレーダーや各種センサーも有効に働き、周囲の監視状況は想定していたよりも良かった。

 中央モニターに表示されている周囲の状況も二日前、翔平とフレイアが降りた日から変化はない。このまましばらくこの状況が続いてくれればと思うも、いつ海賊の反応が出るかは予断を許さない状況でもある。

 そんな中、艦橋の扉が開き、ミィアルーンが入って来た。


「失礼、アリメル艦長、ちょっといいかな?」

「大丈夫ですよ。どうかしましたか?」


 床を蹴って進んできたミィアルーンは艦長席に手をかけ、浮いていた体を固定した。警戒態勢を維持する艦内は重力が弱めに設定されていた。


「なに、たいしたことではないんだけど思い出したことがあってね。この惑星のことなのだがね」

「ベールヌについてなにか?」

「ああ、この星はわたしたちマーラ人にとっては特別な意味を持つ星だったよ。もっともマーラ人でも知っている人は少なくなってしまったようだし、なにせわたしの記憶にも薄かったことだからね」

「マーラ人にとって?」


 思いがけない言葉に、アリメルは眉根を寄せた。


「そんな深刻な話ではないよ。このベールヌ星はマーラ人発祥の地ということなんだ。マーラ人は今のマーラ星に、この星から移住してきたという歴史がある。歴史、いや、忘れたい過去かな」

「なんですって?」


 予想していなかった言葉にアリメルは驚いた。アリメルのとなりに立っていた副長のスオリーも目を丸くする。


「マーラの教育では教えていない事実さ。星ひとつを食い潰して移民してきたというのは声高には伝えたくない過去なんだろうね。なにせマーラ人は優性種だからね」


 ミィアルーンは自嘲気味にそんなことを言った。


「しかし、ではここに我々が導かれたという意味は?」


 スオリーが問うと、ミィアルーンは首を傾げた。


「さぁ、それはわからない。ショウヘイたちは下でなにかZリーヌンスに関する情報を得ているようだけど、おそらくはマーラ発祥の地とは関係がないことだと思うよ。なにせマーラ星にはZリーヌンスの伝承は伝わっていなかったんだからね」

「たしかに……その点は不思議ですね」


 アリメルは頷いて考え込んだ。

 マーラ人発祥の地とは驚いたが、そこにZリーヌンスに関する情報があったことの方が衝撃的だった。


「もしかしたらマーラ人の中にもZリーヌンスを知っている者がいるのではないかと思ったのだけど、やはりそれは考えられにくいことだよ。Zリーヌンスの情報が帝国に持ち込まれたのはオッパリオン側にいる内通者という線が現実的かな」

「内通者がいるとは考えたくありませんが、そう考えるのがたしかに現実的ですね」


 前回の戦いの後、Zリーヌンスの情報を漏らした者の調査は念入りに行われたが、結局のところ出所を見つけることはできないで終わっている。

 諜報部も優秀なはずなのだが、内通者はそれ以上に優秀なのだろうとアーリア提督も言っていた。


「まぁその件は本国に任せておくとして、マーラ人からするとここは忌避すべき場所でもあってね。海賊部隊と言えどここへ来るのはあまり気が進まないことだとは思うよ」

「なるほど。それで諦めてくれればいいですが……そうは思えませんね」

「同感だ」


 ミィアルーンは苦笑するような笑みを浮かべてすぐにそう応じた。


「しかし博士、この星にはもうマーラ人は残されてはいないのか?」


 スオリーが問うと、ミィアルーンは首を振った。


「いないよ。というか動物はいないだろうね。調べれば野生の生物は見つかるかも知れないけど、人が住めない状態まで環境を破壊してからの移住だったはずだから、残った人たちはたぶん生きてはいないはず。マーラ人と一緒にいた原住民……ベールヌ人はマーラ人ほどに科学を扱える種族ではなかったからね」

「ベールヌ人は置き去りになったということか……」


 スオリーが漏らすとアリメルは軽く首を振った。


「マーラの人たちは残酷な決断をしますね……」

「そうだね。生き残るための選択だったと思うけど、褒められたものではないかな。だからこそ隠しておきたい過去なんだろう。それでもマーラ人は優性種として教育されるからね。他の下等種族などは支配して当然という思想があるとは言え、ね」


 ミィアルーンの言葉を聞きながら、アリメルはモニター端に映る灰褐色のベールヌ星を見る。

 惑星の移住というのは何度か聞いたこともあったし、宇宙の歴史上も何度かあったことではあるらしいのだが、普通は全種族が移住するものがほとんどだった。

 マーラには優性種を選ぶという思想があるということは聞き知っていたが、それが思いのほか根深く、歴史あるものだということをアリメルは思い知った。


「とりあえず危険な星ではないと思うよ。もうだいぶ時間も経ってるから環境汚染もある程度は浄化されているだろうし。とは言え、資源もなくなっているから再びこの星に人が住めるかと言うとそれは別の話だろうけど」

「そうですか。貴重な話をありがとうございます博士」

「豆知識程度の話だよ。このことを知ったからってなにかが変わるわけでもないんだ」


 要件が済んだのか、ミィアルーンはくるりとアリメルに背中を向けた。


「こちらでもZリーヌンス反応のモニターは続けておくよ。時々爆発的な数値が観測されているから興味深くてね」

「そうですね、お願いします。数値はこちらでも確認できています。回を重ねるたびに反応は大きくなっていますね」


 フレイアからの連絡ではZリーヌンスの使い方を次々と覚えているらしかったが、報告は簡易的なもので詳細は伝えられないでいた。現場は現場で忙しいのがうかがえたので、アリメルも深く聞くようなことはしないでいた。


「帰ってきてからの話が楽しみだね。――では失礼するよ」

「わかりました」


 ミィアルーンが艦橋から出ると、艦橋には静寂が訪れた。


「気がついたらとんでもないところに来ていましたね」


 落ち着いた口調でスオリーがそう言ったので、アリメルは思わず軽く笑ってしまった。


「そうですね。まさかマーラ人発祥の地だったとは知りませんでした。しかしここに導かれた理由に、もしかしたら帝国も無関係ではないのかもしれませんね」


 アリメルは独り言のようにそう言い、軽く目を閉じた。



 ◇ ◇ ◇



 クァードにひとり残った奈菜は暇を持て余し、かと言って特にできることもないのでなにか手伝えることはないのかと紆余曲折の末、食堂の掃除という仕事に当たっていた。

 簡単な仕事ではあるものの、食堂はいつも交代で誰かが使っているため、掃除できる時間は限られていて、思った以上に忙しい現場になっていた。

 合間に調理風景も覗いて見たが、調理の様子は地球で見るそれと大差のないもので、奈菜は内心驚いていた。

 朝食を食べる乗組員たちが一巡した頃、奈菜はテーブルを拭いていた。


「地球との食事風景は変わらないかい?」


 奈菜の様子を見て声をかけたのは調理長のミオシだった。

 ミオシは奈菜よりひとまわりほど年上の感じで、気さくで話しやすいオッパリオン人だった。艦での仕事は長いらしく、ベテランと言った感じがあり、いつも元気に調理場を仕切っている姿を奈菜は見ていた。


「ほとんど一緒ですね。食べ物も合いますし。作法なんかも同じです」

「そうかい。それは良かったよ。食べる時くらいは落ち着きたいものだからね。けどナナ、無理に手伝うことはないんだよ。この艦は人手は足りてるからね」

「なにもしないでいるのも悪い気がして……」

「それなら良いけどさ」


 ふふふとミオシが微笑むと、奈菜も釣られて微笑んだ。戦闘艦の中とは言え、ここは少しだけ穏やかな雰囲気が流れているような気がしている。――が、実際に調理がはじまると厨房は忙しなくなり、奈菜は入り込む隙がなくなってしまうのだった。


「あとは昼食が終わるまで時間あるから散歩でもしてきなよ。艦の生活は運動不足になりがちだから、立ち入っていい範囲で歩いてくるといいよ」

「わ、わかりました」


 奈菜は掃除を終えて食堂を出ようとした――その時、食堂にひとり人影が入って来た。


「あ、いたいた」


 奈菜を見つけて笑みを浮かべたのは、リアリィだった。


「探したよナナ」

「わたしを?」


 パイロットが自分を探していたことに奈菜は驚いた。


「そうだよ。全然格納庫に顔出さないからさ。なにしてるのかと思って」

「ナナはここの手伝いをしてくれてたんだよ」


 ミオシがリアリィに言う。


「そうだったんだ。人手足りてないの?」

「足りてなくはないけど手伝ってもらってたのさ。ナナは労働したいんだって」

「へぇ、前向きだね。任務があるわけじゃないからくつろいでてくれていいのに」


 リアリィはにこにこしながら奈菜に言う。


「わたしだけなにもしないのもなんか変かなって」


 奈菜は少し困惑した。ここの皆はいつもなにかしているのに、自分はなにもしていないので、そんな自分を疎ましく思っているのかと考えていた。


「そんなことないよ。じゃあミオシ、ちょっとナナを借りるよ」

「え?」

「どうぞ。艦内の案内でもしてやってよ。退屈は美容にも悪いからさ」

「あはは、そうかもね。じゃあ行こうナナ」

「え、ちょ――」


 リアリィはひょいと奈菜の手を掴み、食堂の外へと連れ出した。


「リアリィ? なにか用なの?」

「うーん、特に用ってことはないけど、ショウヘイがいなくなって寂しがってるじゃないかって気になってね」


 となりを歩くリアリィは青紫に輝く瞳を向け、そう言った。


「リアリィ……」


 奈菜にはその気遣いが温かく感じられた。


「あぁ、別に気を遣ってるわけじゃないよ? いや、遣ってなくもないか。まぁお節介みたいなもの。それとちょっとの好奇心だね」


 リアリィは自分の心情を正直に言ってくれた。

 奈菜は思わず笑ってしまう。


「リアリィは正直なんだね」

「不器用だから隠し事はできなくてね。ナナはすごいって思うよ」

「どうして?」


 意外な言葉に奈菜は首を傾げる。リアリィにすごいと思われるようなことなどないと思っていたからだ。


「ナナは器用に自分の気持ちを隠してる。ショウヘイに対してさ」

「そっ、それは……器用じゃなくて臆病なんだと思うけど……」

「あはは、わたしからしたら器用だよ。フレイアと降りていったことも不安なんだろう?」


 リアリィの澄んだ瞳はすべてを見透かしているかのようだった。

 この人に気持ちを隠すことは無理だと奈菜は感じた。


「うん……不安……」


 ぽつりと、消え入りそうな声で奈菜は不安を吐露した。


「そりゃそうだよね。ふたりきりで長い時間一緒にいるわけだから。フレイアもフレイアでショウヘイのことは気があるようだしさ」

「そ、そうなの?」

「少なくとも嫌ってるってことはないでしょ。じゃなきゃ一緒に惑星探索に降りるなんて言わないよ」

「そ、そうだよね……」

「一緒に行った理由はさすがにそれだけじゃないと思うけど、フレイアはあの通りに積極さの塊みたいな性格だからさ。思ったら行動なんだよね」

「うぅう……」


 リアリィの話に奈菜の不安は大きくなってくる。


「だからナナも積極的に行かないと差をつけられるぞ」

「そんなこと……」


 思わず足取りが重くなってしまう。


「ははは、でもそんな心配することじゃないよ。フレイアだってナナのことはわかってるだろうから、出し抜くようなことはしないと思うよ、たぶんだけど」

「た、たぶんなのね……」

「フレイア、時々思い切ったことするからね」


 奈菜の不安を余所に、リアリィはどこまでも正直だった。


「え、えぇっ……」


 一緒にZリーヌンスの使い方を教わっているとは聞いているものの、ずっとそればかりをやっているわけではない、ということはなんとなくわかっていた。その間はふたりでなにをしているのだろう……そう考えると、ジッとしていられなくなる。


「リアリィお願い、わたしもあの星に連れて行って」

「えぇ?」

「やっぱり無理言っても一緒に行けばよかった。危険な場所じゃないんでしょう?」

「そうだけどそれはできないよ。さすがにそんな理由じゃ降下許可は下りないだろうし、わたしにも偵察任務があるし」

「お願いリアリィ」


 奈菜は真剣に頼む。リアリィもその真剣さを感じ、さすが困った様子で視線を逸らした。


「一応申請はしてみるか……。ダメだとは思うけど」


 理由はあとで考えておくとして、リアリィはそう応じる。実際に許可されることは難しいと思うが、奈菜の不安を気遣ってのことだった。


「ありがとう」

「でもさナナ、ナナは今までずっとショウヘイといて、なにもなかったんだろう?」

「う、うん。そうだけど……?」

「ならフレイアとちょっと一緒にいるくらいでなにか起こるということもないんじゃないか?」

「そ、そうかな……。翔平だって強く迫られたらどうなるか……」

「あはは、フレイアがそこまでするかどうかはわからないけどさ。さっきも言ったけど、ナナを出し抜くようなことはしないと思うよ。それに――だ」

「それに?」

「強く迫られたらどうにかなっちゃうんだと思うなら、ナナが強く迫りなよ」

「わ、わたしが?」


 今までにそんな想像をしたことは――正直言うと何度かあった。どうにも鈍い翔平になんとかしてもらおうと画策したことも何度かある。


「ショウヘイだってナナのことは良く思ってるだろうし」

「そうかな?」

「そうだよ。じゃなきゃこんなところまで一緒に連れて来ないし、長い時間一緒にいるなんてできないって。ナナも積極的にいきな。フレイアに気圧されてちゃダメだよ」


 それはリアリィの真摯な意見だった。

 今まで翔平とのことを誰かに相談したりしたことはなかったのだけど、思いがけないアドバイスを得ることができた。


「……ありがとうリアリィ。こんなこと言われたのはじめて」

「無責任かも知れないけど背中は押すよ。わたしたちは危険ととなり合わせだからさ、なるべく後悔をしなようにって思ってるから。それはいい考えだって思ってるから、ナナにもそう考えてもらいたいんだよ」


 リアリィの飾らない言葉に、奈菜は優しさを感じた。

 遠く離れた星の人にここまで自分の個人的な気持ちを考えてもらえたことも感激だったが、リアリィの優しさが単純に嬉しかった。

 そしてそうこうしていると奈菜は格納庫に連れて来られていた。


「リアリィ、わたし、もっと積極的になってみる。翔平が戻ってきたら、後悔ないようにしてみる」

「それがいいよ。大丈夫、ナナは魅力的だよ」


 リアリィはにこりとして、片目を閉じる。


「リアリィ……」

「さて、まぁそれが本題だったんだけどね。せっかくここまで来たんだし、ちょっと調べたいことがあってね」

「調べたいことって?」

「ナナ、前に母乳力があったらって言ってただろう? 母乳力を調べてもらう前に、ちょっと適正も見てみようかなって」


 リアリィはそう言いながら格納庫を進んで行く。

 格納庫は今レマスとリクサーヌが偵察に出ているため、カタパルトハッチは開放されたままになっていた。

 整備員たちが慌ただしそうに動いている。


「なにをするの?」

「ちょっとわたしのシェアトスに乗ってもらって、起動できるかどうか試してみよう」

「え、えぇ!? そんなことしていいの?」

「大丈夫、その許可は取ってあるから。こっち来て」


 リアリィは重力の弱くなった床を蹴り、青いシェアトスへと跳んで行く。奈菜も戸惑いなら、リアリィに倣って床を蹴った。

 リアリィはコクピットハッチに立っており、下から来た奈菜の手を掴んで体を受け止めてくれた。


「さ、中に入ってシートに座って」

「ほ、本気なの?」

「どうにもこういうのは気になる方でね。ジッとしてられないんだ」

「これってリアリィにとって大事なものなんじゃないの? 他人が座ってもいいの?」

「大丈夫、思い入れのある機体だけどそこまで気にはしてないよ。それよりも好奇心の方が勝ってるって感じ」

「そこまで言うなら……」


 リアリィに根負けし、奈菜は見よう見真似でシートに座る。シートの大きさは各パイロットに合わせて最適化されているらしく、リアリィ機のシートは小柄な奈菜には少し大きかった。


「テストモードにして、と」


 リアリィが体を潜り込ませ、奈菜の前でコンソールを操作する。

 するとコンソールパネルの下部から搾乳機のような装置が出て来て、奈菜の胸に装着される。


「わっ」

「はじめてだとちょっとびっくりするかもだけど、痛いとかはないよ。吸われるような感覚はあるけどさ」

「す、吸われる!?」


 搾乳機が装着されると、装置の下で付けていたニップルアーマーが脱がされるのがわかった。

 はじめての感覚に戸惑いはあるものの、奈菜は心のどこかで上手く行ったら良いという思いがあることに気がついた。


「じゃあ起動させてみるよ」

「お願いします……」


 リアリィがパネルを操作するとコンソールにはゲージが表示された。


「リアリィ機、テストモードで起動。規定母乳力のチェック」


 ピッという電子音がしたあと、コクピットの下部が微妙な振動をはじめ――すぐに止まってしまった。

 リアリィが言っていた、吸われるような感触もなかった。


「ありゃ」

「だ、ダメ?」

「そうみたい。ゲージを見ると……うん、機動兵器を起動できる規定値は検出されなかったみたいだね」

「……やっぱり」


 残念な結果に気が抜けてしまい、奈菜は思わずため息をついてしまった。


「そうがっかりしないでナナ、いい結果も出てる」

「いい結果?」

「ああ。母乳力がまったく検出されなかったわけじゃない。微力ながら、ナナからも母乳力は検出されてるよ」


 リアリィは嬉しそうにそんな報告をした。


「えぇ!?」


 驚きのあまり立ち上がりそうになる。


「母乳も出たことないのに!?」

「一応テストモードではそう出てる。ゼロではないということだよ。もしかしたら、ナナには潜在的に母乳力があるのかもしれない」

「本当?」

「よし、この結果が出たなら詳しく調べてもらえるよ。こっちも申請を出しておこう。オッパリオン人でも母乳力には生まれつき個人差があるからね。潜在的な資質のある人はその力を引き出すこともできるよ」

「引き出すことが……そ、それができたらわたしも役に立てるかな?」

「もちろん。あ、でも無理だったとしてもナナが役立たずってわけじゃないよ。ナナの存在はショウヘイにとっても支えになってるからね」


 リアリィはそんなフォローも忘れなかった。

 リアリィがパネルを操作すると搾乳機が外れる。


「テスト結果は医務室に送信しておくから、そっちで詳しく調べてもらおう」

「え、今から?」

「そうだよ。こういうのはさっさと進めないと。警戒中だけど医務室は空いてると思うから、よく調べてもらおう。ショウヘイが帰ったら驚くかもね」

「う、うん」


 役に立ちたいと思う奈菜の気持ちはリアリィのおかげで前進することになった。

 この勢いで自信を付けて、翔平にも積極的になろうと、奈菜は密かに誓うのだった。


奈菜に秘められた母乳力を微々たるものであった。

しかしながら、リアリィの様子から察するに、まだまだ希望はありそうだ!!

母乳力と恋する乙女は止まらない!!

翔平が帰還して奈菜は自分の殻を破ることができるのか!?

宇宙艦隊オッパリオンは、まだまだ見逃せない展開が待っていそうです。

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