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宇宙艦隊オッパリオン  作者: 桐生スケキヨとYOM
【第2部】【第7章】宇宙艦隊オッパリオン「王の軌跡編」
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【第7章】宇宙艦隊オッパリオン460話「オッパリオンの目」

いつも応援ありがとうございます!!

本日もオッパリオン更新です。


今日のお話はミリムネル提督の回。

ミリムネル提督率いる旗艦サーラディオは単身宇宙にある暗黒宙域を訪れていた。

そこには、アルテナ海賊団から報告された銀河星雲のような何かがあるという。

絶望はもう目の前に迫っている!?

【四六〇 オッパリオンの目】


 オッパリオン宙域北天基地を遙かに離れ、辺境の果ての果ては巨大な暗黒宙域に面していた。その暗黒宙域に向かう一隻の艦があった。


「前方より重力振反応感知。アルテナ海賊団より報告のあった反応とパターン一致します」


 艦はオッパリオン対海賊艦隊旗艦サーラディオだった。ミリムネル提督は艦橋でセンサー士からの言葉を聞いた。となりに立つセシア艦長が応じる。


「観測装置起動。最大望遠で見てください」

「了解しました。観測装置起動します」

「標準カメラの最大望遠の映像入ります」


 ミリムネルの手元のモニターにも、サーラディオのカメラが捉えた映像が映る。本来は虚無の空間であるはずの暗黒宙域に一点、もやのようなものが見える。


「……なるほど、たしかに星雲のよう。あの規模のものが動く集団だなんて、にわかには信じられない」


 中央モニターにもその映像が映り、セシア艦長も確認する。


「そうですね。あれではまるで大銀河団の規模と言っても差し支えないように思います」

「宇宙のスケールを改めて思い知らされるよ。セシア艦長、映像は絶えず北天基地に送信しておいてくれ」

「わかりました。フルニュートレース通信を使いますか?」

「そうだね。情報の精度は勝敗を分かつ。そうしよう」


 宙域にはミリムネルのサーラディオ一隻だけだった。この偵察は対海賊艦隊が名乗り出て受けた任務なのだが、ミリムネルは艦隊を途中の宙域に待機させ、サーラディオ単艦で敵に近づくとして、単独行動を取っていた。


「観測装置起動を確認。最大望遠で映像を取得しています」


 ミリムネルはかなり早い段階で偵察の重要性を訴え、そのための装備を申請していた。それがサーラディオに搭載された重力振観測望遠鏡だった。検知した重量振動を映像化するという技術が使われており、オッパリオン技術工廠が開発したものとなっている。


「映像来ます」


 中央モニターと、ミリムネルの手元に同時に映像が送られた。


「これは……」


 セシア艦長は言葉を詰まらせた。ミリムネルも思わず息を飲む。

 そこに映っていたのは画面を埋め尽くす、灰褐色のまだら模様を持つ、オレンジ色に発光する楕円形の円盤のようなものだった。生物とも機械とも取れない、奇妙な質感をしている。


「これがケレブルムの部隊か。データ照合はできる?」


 ミリムネルは席を立ち、センサー士の席に向かった。ミリムネルの言葉にセンサー士は首を振った。


「照合しましたが現在のデータでは一致するデータはありません」

「過去に交戦した個体ではないということか……」


 なにか巨大な質量兵器かなにかか――ミリムネルはそう思ったが、オッパリオンへ向けた質量兵器にしては機動がおかしい。

 ならばこれは、なにか別の――?


「セシア艦長、パイリアを使う」

「そ、それは……かまいませんが、なにをなさるおつもりで?」

「画像を解析してもらう。パイリアの画像処理を使えばもっと詳細がわかるはず」

「わかりました。――パイリア起動。画像解析を行います」

「了解。パイリア起動します」


 サーラディオに搭載された次元演算装置パイリアはすでに実用レベルになっていた。ミリムネルたち提督は次元演算装置の有用性にいち早く気づき、その運用試験を行っていた。それがこんなに早く役立つとはとミリムネルは思った。


「画像解析完了しました。拡大映像きます」


 ミリムネルは顔を上げ、中央モニターを見る。そこに映し出されたのは異様とも呼べる光景だった。


「なんだこれは……」


 ミリムネルは思わずそうつぶやいた。

 パイリアが解析して映像化したものには、オレンジ色の円盤にぶら下がっている、大量のヌーグの姿だった。ヌーグの姿はミリムネルも報告で聞いていた。ケレブルムの機動兵器のようなものであり、これ一体でさえ既存の機動兵器や艦艇では太刀打ちが難しい相手だ。

 それが数百体、このオレンジの円盤にぶら下がっている。灰褐色のまだら模様の正体はヌーグだった。これが何千、何万、何百万という数で星雲規模の軍勢を構成していた。


「なるほど……。このオレンジの円盤は機動兵器を運ぶ母艦のようなものか」

「なんという数でしょう……。こんな数を相手にするだなんて……」


 セシア艦長が口にしたことは、ここの皆が思ったことだった。


「パイリアの解析データが上がります。このオレンジ色の物体はひとつがオッパリオン艦の三十倍ほどの質量と大きさを持つとのことです」


 艦橋はざわつく。


「うろたえることはないぞ」


 ミリムネルがマントを翻す。


「うろたえることはない。今の我々にはこいつらに対する対抗手段を持っている。戦うことができれば勝てる。それが我々だ」


 ミリムネルの凜とした言葉に、艦橋は冷静さを取り戻した。

 セシア艦長が頷く。


「ミリムネル提督のおっしゃる通りです。我々には戦う力と勇気がある。どんな相手であろうと、臆することはありません」


 艦橋の乗組員たちはセシアの言葉に、強く頷いた。


「セシア艦長、この情報も北天基地へ」

「了解しました。データ転送は常時」

「ミリムネル提督、セシア艦長、スタティアのアーリア提督よりフルニュートレース通信が入ります」

「アーリア提督から? すぐに繋いでくれ」

「回線開きます」


 中央モニターにはアーリアが映る。ミリムネルが敬礼すると、アーリアも敬礼を返した。


『偵察ご苦労様です、ミリムネル提督』

「労いありがとうございます。ただいま、パイリアで解析した映像も送信しました」

『……今来ました。これがそうなのですね。これは……ヌーグの母艦かしら?』


 アーリアの示した見解は自分と一致していた。


「わたしもそう見ています。このオレンジのが母艦のようで、これが星の数ほど集まっています」

『なるほど、星の数ほどね。たとえ話ではなくてその言葉を使える機会があるなんてね』


 アーリアはこの現実を見ても、苦笑するだけの余裕を見せた。ミリムネルはやはりアーリア提督は違うと思えた。この人はさすがだ、と。


『こちらは先ほど北天基地に到着しました。ヒュルンヒルデ提督の艦隊も到着しているので、ミリムネル提督、あなたの艦隊も引き上げてきてください。敵の姿と数がわかった以上、もう偵察は十分です。あなたの艦隊も戦線の要になるわ。戻って準備してください』

「わかりました。この一戦の指揮はアーリア提督が執ると聞いて、心強く思っています」

『身に余る任務で震えてるわ』

「そうは見えません。アーリア提督の姿は勇気をいただけます」

『そうかしら? 案外、怖くなって頼りになるあなたに連絡をしているのかもしれないわよ?』

「そんなことはないでしょう」


 ミリムネルは思わず笑った。

 ――星の数ほどの大軍を前に笑える。ミリムネルはアーリア提督の言葉には不思議な力があるように思えた。


『北天基地には衛生基地も集まって、オッパリオンの全戦力が集結しています。マーラ帝国軍もほぼ全軍を援軍として出してくれるとのことで、まもなく予定防衛線に到着するとのことです』

「……南天宙域戦も大規模戦闘でしたが、今回はそれすらも小さく見えてしまう規模ですね」

『そうね。パイリアが使えるようになってくれたことも、この規模の艦隊運用を可能にしているわ。もちろん、あなたたちの能力があってこそ、パイリアの補助も活きてくるのだけど。――というわけでミリムネル提督、帰還をお願いします』

「わかりました。サーラディオは現在単艦行動中なので、速やかに艦隊と合流して帰還します」

『お願いします。では後ほど』


 敬礼するアーリアに敬礼を返すと、通信は切れた。


「セシア艦長、艦隊に連絡して帰還進路を取るようにと。サーラディオも北天基地へ帰還します」

「了解しました。進路北天基地」


 サーラディオが回頭をはじめる。


「この一戦が……宇宙の行く末を左右することになる」


 ミリムネルは小さく、そうつぶやいた。しかし、ミリムネルの決意は強かった。なんとしても、負けることはできない、と。


翔平眠る今、オッパリオンとマーラの連合艦隊は星の数程のヌーグに相対できるのか!?

この戦い負けられない!!

果たして、オッパリオン星は無事に未来を掴むことができるのか?

そして、宇宙に巡る母乳力の行方は!?

絶望の始まり、ご期待ください。


桐生スケキヨ次回予告

ついにその時がおとずれる!!!!

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