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宇宙艦隊オッパリオン  作者: 桐生スケキヨとYOM
【第2部】【第7章】宇宙艦隊オッパリオン「王の軌跡編」
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【第7章】宇宙艦隊オッパリオン452話「動く星雲」

動き出す・・・。


遂に動き出す黒い影。

暗黒宙域を探索していたアルテナ海賊団、ユースカティア・エルトビア・メルマナックの三隻が見つけるものとは!?

戦いの始まりの匂いがしてきた!!

【四五二 動く星雲】


「センサー提示報告……って、あれ?」


 補給を終えたアルテナ海賊団の艦艇は暗黒宙域での情報収集に戻っていた。ユースカティアに乗るセンサー士のレプはとある異常に気がつく。


「どうしましたレプ?」


 艦長のリアンジュが問うと、レプは首をかしげる。


「いや……おかしいな。重力振センサーが異常値を出しています」

「動きを捉えたのですか?」


 思わずリアンジュが身を乗り出すが、レプは頭を掻く。


「それが……数値が異常なんです。こんな数値あり得ません。星雲がひとつ動いているような数値ですよ? センサーの故障じゃないですかね」

「ふむ……診断プログラムを動作させましょう」

「了解です。一応、船長に」

「わかっています」


 リアンジュは手元の通信機を使い、アルテナを呼び出す。


「リアンジュです。センサーが重力振を捉えたようですが、異常数値でセンサーの故障が疑われています。――はい、わかりました」


 オート操艦中で暇を持て余す操舵士のハッドがリアンジュを見る。


「船長はなんて言ってるんです?」

「すぐに行くと」

「さすがに慎重な我らが船長だ」


 すると、アルテナはすぐに艦橋へとやってきた。


「お疲れ様です船長」

「診断はやったのか?」

「今実行中です。レプ、どうですか?」

「診断終了しました。異常はないようです」


 アルテナはレプの席に近寄り、モニターをのぞき込んだ。


「なんだこの反応は?」

「すごいですよね。星雲がひとつ丸ごと動いているような反応です」

「船長、念のためセンサーの確認をした方がよいかと。船外活動でセンサーの確認を行いましょう」

「あぁ、そうするんだ。それと機動兵器を偵察に出せ。機動兵器のセンサーでも測定する。シャドネ、メルマナックとエルトビアのセンサーも報告させろ」

「りょ、了解!」


 アルテナの指示に、リアンジュは少し驚いた。


「船長、疑っているんですか?」

「ここじゃなにが起こるかわからんぞ。星雲が動いてもな」


 アルテナは自身の席につくと専用のモニターにセンサーの様子を映した。そこに僚艦からのデータも送られてくる。


「船長!」

「わかってるよレプ。これは当たりだ」


 レプが見た僚艦からのデータは、ユースカティアが感知したものと同じような反応を見せていた。

 艦橋からはユースカティアを発信した機動兵器の光が見えた。


「レプ、最大望遠で振動反応の方向を見るよ。なにか見えるかい?」

「最大望遠で確認します。――どこまで行っても暗黒ですが……あれ?」

「映像を回しな」

「回します」


 アルテナが見た映像は真っ暗な宇宙空間だった。星もなく、なにもない空間が延々と広がる。それが暗黒宙域だ。ユースカティアの光学望遠で見える範囲にはなにも存在しない、そう見えた。しかし――。


「なんだこれは?」


 アルテナが思わず首を傾げる。


「なにか見えたのですか?」

「見てみろリアンジュ」


 アルテナが指さしたモニターをリアンジュがのぞき込む。

 そこにあったのは、真っ黒の紙にグレーで書いたような、一直線の線だった。


「線……ですか?」

「線だな。だが、なにかあるということだ」

「船外活動員から報告、センサーに外傷なしとのこと」


 シャドネからの報告にリアンジュは頷きを返した。

 改めて、センサーの異常ではないことが確定する。シャドネからの報告は続く。


「偵察に出たユックとアクシムから報告です。重力振センサーに感ありとのこと」

「ふたりをすぐに撤退させろ。メルマナックとエルトビアにも通達。全艦ありたっけの観測ドローンを放出」

「りょ、了解!」

「リアンジュ『艦長』」


 アルテナの言葉に、リアンジュは緊張感を募らせた。


「なんでしょう?」

「フルニュートレース通信でオッパリオンとマーラ帝国にコード〇八一をコールしな」

「そ、それは……!?」

「緊急非常事態発令だ」

「船長、いったいなにが起こってるんです?」


 ただならない空気に耐えきれず、ハッドが聞く。


「敵襲だよ。あの線、あれは星雲クラスの質量だ。それが動いている」

「そんな馬鹿な。どういう兵器なんですか?」

「あれは……そういう兵器じゃない、敵の一体一体が集まって星雲を作っていやがるんだ」


 アルテナの表情に緊張が見えたことで、ハッドは言葉を失った。

 リアンジュもことの大きさに、思わず体が止まる。


「艦長、急いでコードを送れ。事態は切迫しているぞ」

「は、はい!」

「機動兵器収容を確認!」

「ハッド、自動操舵解除だ。あたしらも逃げるよ」

「りょ、了解! 針路は!?」

「オッパリオン北天基地だ。連中を迎え撃つ準備をしようじゃないか」

「コード〇八一送信完了しました。到着までは時間がかかると思います」

「その間にあたしらも撤収だ。連中の行き先は調べなくてもわかる」

「ど、どこですか?」


 リアンジュの声が思わず震える。


「決まってるだろうに。オッパリオンだよ」


 艦橋内が静まり返る。アルテナは椅子の上に立ち上がった。


「全艦ニュートレースジャンプ用意! 目標オッパリオン北天基地! 最大速度で行く! リアンジュ、イーヴァナを起動させて収集したデータを解析させろ。敵の数を測定する」

「了解しました! イーヴァナ起動! 全艦ニュートレースジャンプ用意!」


 静まり返っていた艦橋は一転し、慌ただしくなる。

 そんな艦橋の様子を見ながら、アルテナはにやりと笑みを浮かべた。


「……リアンジュ」

「なんですか船長?」

「あたしは今、今までに感じたことのないものを感じているよ」

「そ、それは……?」

「恐怖ってやつだな、たぶん」

「船長……!」

「まぁなんだ、恐怖ってのも案外燃えるものだな。意地でもなんとかしてやろうって気になるじゃないか

「船長なら、なんとかできると思います」

「そうだね。そうしなきゃ、本当に宇宙が終わるぞ」


 アルテナの言葉にぞっとしたリアンジュだったが、アルテナ本人も冗談ではなく、宇宙の終わりが近づくのを体感していた。


アルテナが感じた恐怖、そして暗黒の宇宙に現れた一筋の線。

この宇宙のこの先の未来は本当に終わりなのか!?

大いなる戦いが狼煙はいつ上がるのか。

本当の戦いは始まったばかりだ!!


桐生スケキヨ次回予告。

緊迫の急展開となる中、ラメルでは講話会談が実行される!

そこにはマシ長の願いがあった!

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