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宇宙艦隊オッパリオン  作者: 桐生スケキヨとYOM
【第2部】【第7章】宇宙艦隊オッパリオン「王の軌跡編」
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【第7章】宇宙艦隊オッパリオン449話「犯行の起点」

宇宙艦隊オッパリオン第449話はラメル警備隊の主任ケールパット、オッパリオン親衛隊隊長レーナ・お守りシスターズのペロルとナデルの回。

テロリストによる非道なテロが起きてしまうのか!?

果たして、ケールパット達はテロを防げるのか?

行方は如何に!!

【四四九 犯行の起点】


 ペロルとナデルの案内で施設内を進むレーナは、かなり複雑な構造になっている施設であることを実感した。地図は見てそれなりに覚えてきてはいたものの、複雑な多層構造は地図で見るより何倍も複雑であり、似たような区画も多く、これでは案内なしにこの中を自在に移動するのは困難だと痛感した。


「この建物は最大で同時に五つのイベントができるようになっているんだ。今回のアイドルライブはその五つを全部使った大規模なものになってる」


 ケールパットはそう言った。


「レーナ隊長、あんたが思っている通り、この建物は複雑なんだ。俺だって何度か警備訓練で来てはいるが、全貌を把握しているかと言われると怪しい。ナビ端末を使えば目的地には行けるが、こうやって匂いを辿るとか、そういうことは構造をよく知っていないと、きついな」


 すると、先頭を行くペロルが期待に満ちた顔でこちらを振り返る。


「それって、わたしたちが役立ってるということですか!?」

「今のところはな。あまり調子に乗って失敗するなよ」

「わかりましたっ!」


 ケールパットの言葉にペロルは再び正面を向く。

 レーナはペロルたちに、なんとなくの親近感を覚えた。親衛隊の隊員たちに未だ残る初々しさに似たものが、このワンコニー星人たちにはあるのだと。

 そのワンコニー星人の案内ではエレベーターを使わず、階段で移動していた。レーナはなぜかと思ったが、おそらく匂いが続いているのが階段なのだろうと。階段という設備は原始的であるが、停電時などを考慮して残す必要があるだけで、今時だれも使わない。使わないからこそ人目につかない――レーナは犯行に及んだ人物の狡猾さを想像していた。


「この奥に続いています!」


 ペロルとナデルは足を止める。


「ケールパット主任、ここはどういった?」


 レーナが問うと、ケールパットは首をかしげる。


「ここは関係者しか入れない場所だ。たしか、イベントで売られる物品の保管倉庫に使われているはずだな。そうだな、シスターズ?」

「そうです!」

「あってます!」

「なるほど、ということは比較的スタッフの出入りは多いところか」


 レーナはそう言いながら、突入に備えて銃を取り出す。相手の数も武装もわからないとなると、慎重さと、そして大胆さが必要になると思った。


「と、突入しますか!?」

「せ、先頭切りますよ!?」


 恐る恐る拳銃を構えるペロルとナデルに、レーナは首を振る。


「すまないが先頭はわたしが行かせてもらう。失敗は許されない上に、成功の確率が高い方を選びたい」

「わ、わかりました!」

「お願いします!」

「命拾いしたな、シスターズ」

「そんなことありません!」

「わたしたちもやれます! レーナ隊長には負けるかもしれませんが」

「震えてるのがわかるぞ。まぁ、プロの動きを見て勉強するんだな。レーナ隊長、俺がバックアップする」


 ケールパットも大きな腕に銃を取り付ける。三本指のヌルート人たちは手で握るタイプの銃ではなく、腕につけるタイプの銃を好んで使う。それを確認したレーナは頷いた。


「突入する」


 レーナはその声と同時に扉の前に立ち、自動で開く扉を開けた。そして中に向け銃を向ける。後ろから入ったケールパットが叫ぶように言う。


「動くな、警備本部だ」

「ひぃっ!?」


 そこで作業をしていたのは、ふたりのケモミー星人女性だった。ケモミー星人のふたりは突然銃を向けられたことに驚き、ふたりとも持っていたケースをどさっと床に落として両手をあげた。


「い、一体なんでしょう!?」

「わ、わたしたちは在庫を補充している途中です……」


 銃を向けられたケモミー星人のふたりは怯えている。

 この様子では犯人ではないだろうと思えたが、レーナは慎重だった。銃を下ろさず、ペロルとナデルに問う。


「ペロル、ナデル、このふたりのどちらかか? あるいは両方か?」


 シスターズは鼻をくんくんとさせる。そして、首を振った。


「違います。染料の匂いは体についているだけで、これはすれ違ったりした時についた匂いで、匂いのついたものを扱った匂いではありません」

「でも、この部屋に匂いの痕跡ははっきり残っています。それも、まだ新しいです」


 レーナはケモミー星人ふたりに銃を向けたまま、ケールパットを見た。

 ケールパットが問う。


「この部屋に他に誰かいるか?」

「お、奥に整理作業員が」

「少し前に戻って来ました」


 それを聞いたペロルとナデルの耳がピンと立つ。


「見てきます!」

「頼む」


 ケールパットが言うと、シスターズが奥に向かう。レーナは未だにケモミー星人ふたりから銃を外さない。共犯者という可能性もあるからだ。

 棚の向こうからペロルとナデルの声がする。


「動くな! 専属警備だ!」

「両手を頭の上に置け!」

「一体なんの騒ぎだ。こっちは忙しいんですがね」


 その声の中、レーナはケモミー星人のふたりに近づき、簡易手錠をかけた。


「すまない、ふたりは関係ないと思うが念のため拘束させてもらう」

「泣きそうです……」

「なんだってこんな……うぅ」


 ケモミー星人のふたりが泣き出すので、レーナは申し訳ない気持ちになったが、しかたがない。

 ケールパットに目で合図し、ペロルたちのいる通路へと向かう。

 そこにはペロルとナデルに銃を向けられたインディアガーナ人がいた。


「インディアガーナ人か……」


 ケールパットがそうつぶやいたのが聞こえた。そのつぶやきの意味を、レーナは知っていた。インディアガーナ人と言えば、クァードがこの星に翔平たちと訪れた時、クーデターを起こそうとしたものたちだ。インディアガーナ人にはラメルの政治中枢にいながら、反政府的な活動をするものが多く、そのクーデター失敗で失脚し、多くが地下組織に流れたと聞いていた。


「いや、偏見はよくないな」


 ケールパットはそう言うが、目に見えて警戒している。


「この人、さっきまで青い匂いを持っていました!」

「それに、火薬の匂いもする!」


 ペロルとナデルが強い口調でそう言った。


「はて、なんのことでしょうか? 自分はグッズ整理をしているだけですが……火薬の匂いだなんて。グッズの中に花火でもあったんですかね」

「とぼけるな!」


 ペロルが叫ぶ。インディアガーナ人は銃を向けられているのに、あまり恐怖は感じていないようだった。


「体を調べさせてもらう」


 ナデルが引き続き銃を向けている中、銃を下ろしたペロルが近づく。

 インディアガーナ人は両手を挙げる。


「どうぞご自由に。なにが起こってるは知らないですけどね、協力しますよ、専属警備さん」

「専属警備を馬鹿にするな。おまえの匂いはわかってるんだ。銃を隠し持っているな」

「まさか……。隠し持っていませんよ、ここにあるんです」

「っ!」


 ペロルの眉間にスッと銃口が現れた。


「なっ――」


 見ていたナデルたち、レーナとケールパットも驚いた。

 インディアガーナ人の両手は上に挙げられたまま、銃は、インディアガーナ人の腹から出た第三の手に握られていた。


「インディアガーナはこういうことができるんです。知らなかったとは、浅はかですね」

「くっ!?」


 ペロルが銃を構えようとした時、インディアガーナ人は手を下ろしてペロルの耳を掴んだ。そしてこめかみに銃を押し当てる。

 レーナとケールパットも銃を構えるが、インディアガーナ人の動きは鋭かった。


「動かないでくださいね。このワンコニー星人の頭がここで吹き飛ぶところ、見たくないでしょう?」

「ペロルお姉ちゃん!」

「わたしのことはいいからこいつを撃って! ナデルちゃん!」

「そ、そんなこと……」


 ナデルは首を振る。


「勇敢なオッパリオン人はどうしますか? 私を撃ちますか?」


 レーナは鋭い眼光を向けたまま、銃口をぴたりとインディアガーナ人に固定している。

 撃つか……いや、インディアガーナ人は思ったより俊敏だ。こちらが撃つとわかればペロルを盾にしてしのぎ、反撃してくるつもりだ。レーナはそう感じた。


「おまえに勝ち目はないぞ。爆弾の起爆は無効化させている」

「それは残念です。でも、ここにもひとつあるんですよ」

「それも通信による起爆は不可能だ。おまえは自爆もできない。ひとりくらいは道連れにできるかもしれないが、おまえの目的はなにひとつ達せられない。なにひとつだ、よく考えろ」


 ケールパットの唸るような声が響く。


「そんなことはありません。この倉庫に隣接してなにがあるか知ってますか?」

「……そ、そうか!」


 気がついたのは銃を向けら、耳を掴まれているペロルだった。


「この部屋のとなりは電送区画……そこが爆破されれば、施設のエネルギーが分断されるんです!」


 ペロルがそう言うと、ナデルも頷いた。


「そういうことです。オッパリオンとマーラ帝国の講和を歓迎するイベントで停電による中断が起これば、我々の声明に注目が集まる。我々の目的は遂げられるということです」

「起爆はできんぞ」

「できます。この壁に貼られたフィルム爆薬にこのワンコニー星人をぶつければ、ショックで起爆する」


 インディアガーナ人はペロルを壁に押し当てた。


「やめろ!」


 レーナが叫ぶ。


「そうでしょう。私だってそんなことしたくない。だから……交渉をはじめましょう。いやぁ、ここにきたのがケールパット主任でよかったです。下っ端警備員じゃ、話を通すのが大変ですからね」


 インディアガーナ人はにやりとした笑みを浮かべた。


絶対絶命のペロル。

ペロルを助ける為に秘策はあるのか!?

ライブ会場を守る為の裏方の戦い、勝者はどちらだ!!


桐生スケキヨ次回予告。

テロリストに追いついたら窮地に!

ここをどう切り抜ける!?

そして、テロリストの真の目的とは!?

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