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宇宙艦隊オッパリオン  作者: 桐生スケキヨとYOM
【第2部】【第7章】宇宙艦隊オッパリオン「王の軌跡編」
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【第7章】宇宙艦隊オッパリオン450話「浸食までの時間稼ぎ」

オッパリオン星と新生マーラ帝国の講和を邪魔しようとするテロリスト組織。

その組織は、ラメルを本星として暮らすインディアガーナ人だった。

インディアガーナ人のテロリストに人質に取られたペロル。

ペロルを救出するべく、ナデルとレーナ、そしてケールパットは相対する。

三人はインディアガーナ人の策略にはまってしまうのか!?


ラメルテロリスト編まだまだ続きます!!

【四五〇 浸食までの時間稼ぎ】


『こちらレーナ、非常事態が発生した。専属警備のペロルがインディアガーナ人のテロリストに人質に取られた。相手は交渉を要求している』


 レーナは発声を行わずに状況を全員に共有した。


『警備本部よりレーナ親衛隊隊長へ。こちらでは捜査に当たった各員が交戦中との報告を受けている。多数のインディアガナー人とゴルベッド人がテロに参加している。人質の解放は可能か?』

『これより交渉に当たるが……交戦中となれば相手も強硬手段に出る可能性が高い。状況は厳しいが――』

『待ってください』


 通信に割って入ったのはナデルの声だった。レーナは思わず近くにいたナデルを見たが、そこにいたナデルは発声をしていない。


『ナデル?』

『わたしは個人の趣味で最新のナノマシンを使っているんです。発声をしなくても通信ができます』

『……なるほど』

『警備本部、ラメル憲法ではナノマシンへの侵入行為は禁止されています。どうか、特例で許可をください。ペロルお姉ちゃ――ペロルを人質にとるインディアガーナ人のナノマシンに侵入し、体の自由を奪います』


 本部は一瞬沈黙した。

 そしてほんの少しの時間をおき、返事が来る。


『警備本部より専属警備ナデル。状況により特例としてナノマシン侵入を許可する。成功の可能性はどうか?』

『もちろん、バッチリです』

『了解した。専属警備がどこでその技術を習得したのかも不問とする』

『ありがとうございます。ケールパット主任、レーナ隊長、侵入には少し時間がかかります。その間、なんとか時間を』

『了解した。交渉のふりをして時間を稼ぐ』


 レーナが応じると、レールパットも小さく頷いた。通信は全部聞こえていたようだった。


「わかった、交渉しよう。俺たちも争いがしたいわけじゃない」


 ケールパットはそう言った。わかった、という言葉はナデルにも向けられている。

 ケールパットは続ける。


「おまえたちの目的はなんなんだ?」

「我々の目的は――民族の誇りを取り戻すことだ」


 インディアガーナ人は誇らしげに応えた。


「なにがしたい?」


 ケールパットが低い声で問うと、インディアガーナ人は応じる。


「ラメルで暮らす同胞たちは皆が共生などという幻想にとらわれ、軟弱になっている。我々の蜂起に参加したインディアガーナ人の同胞やゴルベッド人の同志らは、帝国支配の世界の下でそれぞれが独立した領土と自治権を持ち、自立した国家を建国する」

「……マーラ帝国は変革を迎えている。かつてのような支配の拡大はないぞ」


 レーナの言葉にインディアガーナ人は首を振る。


「マーラ帝国は変わりませんよ。マーラ帝国の覇権は続く。その覇権に寄り添い、我々の民族は独立するのです」

「現実を見ろ。代理皇帝になったヴァツルド殿下は講和のためにこのラメルに来ているんだ。マーラ帝国は変わる。テロによるおまえたちの独立国家の承認も、支援もしてくれるはずがない」

「そんなことはない!」


 レーナの言葉にインディアガーナ人は声を荒げる。


「帝国の覇権は続くのです! 永遠に! その覇権は我々に民族独立をもたらしてくれる! 講和などはありえない! 戦争は続く! 覇権もだ! マーラ帝国の軍事力がなにかに屈することはないのです!」


 マーラ帝国の姿勢に賛同し、追従する国家はいくつかはあった。しかし、それら国家もマーラ帝国に搾取され、衰退していったものがほとんどだ。この、マーラ帝国を信奉しているインディアガーナ星もかつては水資源の多い星であったが、資源の輸出から環境が悪化し、星外への移住をすることになったとレーナは知っていた。テロに参加しているゴルベッド人の星も、似たような状態だということも。


「インディアガーナの文化伝統を守るのです。文化、伝統、文明、これらを守らずしてなにが民族というのですか。一度消えた文化も、伝統も、文明も戻ることはない。それらが消えてしまえば、民族は消えたと同じことになってしまう。オッパリオンには守るべき文化も伝統もないのですか?」

「……オッパリオンは長く歴史というものを軽視してきた。最近になり考古学の重要さが見直され、過去の発掘がはじまっている」

「語り継がれなかった歴史は消える。オッパリオン人はマーラ帝国という外敵を作ることでしか結束できなかった民族だ。インディアガーナ人は違う。伝統により結束してきたのです」

「それは違う。オッパリオン人は慈愛と共生の精神で結束している。それに……一度失ってしまった過去の文明も、我々は復活させることができる。文化も伝統も……形を変えて続いている。それに、大事なことは文化に固執することではない。今とこれからを生きる人々がいかに安寧に暮らせるかだ。帝国の覇権の影で成り立たせる国家などで、安寧が得られるのか?」

「得られますとも。インディアガーナ人が優秀です。こんなに優秀なインディアガーナ人を、マーラ帝国が軽視するわけがないのですから」


 盲信だ――レーナはそう思った。過去にマーラ帝国に搾取され、星を失うことになった歴史には目をつぶり、自分たちの都合のよい歴史しか見てないのだ。

 話し合いで解決できる相手ではない。


『できました。侵入開始できます。相手が侵入に気づいてナノマシンをカットするまでの一瞬ですが、全身の制御を奪えます』


 ナデルの声がした。


『わかった。そちらのタイミングに合わせる。しかけてくれ』

『わかりました。ペロルお姉ちゃん、いくよ!』

「ナデル……!」


 ペロルにも通信は聞こえているようで、ペロルは頷いた。


『行きます!』


 そう言った直後、ペロルに銃を突きつけていたインディアガーナ人の腕が上に振り上げられた。


「な、なんだ!?」

「お姉ちゃん!」

「こいつっ!」


 ペロルは自分の首に巻き付いていたインディアガーナ人の腕を掴み、背負い投げた。


「ぐあっ!?」


 インディアガーナ人は床に叩き付けられる。ペロルは銃を持っていた腕を捻りあげ、インディアガナー人の三本の腕をまとめて押さえ込んだ。


「おまえたち――ナノマシン侵入を!?」

「油断したね。専属警備を甘く見たな! ジッとして。このまま腕を全部折ることだってできるよ!」

「ナノマシン侵入は重罪だぞ!?」

「テロリストがなにを言うんだ!」


 ケールパットが近づき、インディアガーナ人を捕縛する。重力アンカーで固定された体からは、完全に自由がなくなる。


「ご大層な主張をありがとう。しかしな、ラメルで生きる以上はラメルの掟に従わなくちゃならない。ここじゃ故郷を失ったもの同士が、もうそんなことがないように協力しあっているんだ。民族独立を夢見るのも自由だ。だが、やり方が間違っているな」

「……どうしろって言うんです?」

「さぁな。俺は考えたこともない。考えたこともないが、恐怖に訴えるやり方は支持できない。支持するものがいたとしても、それは長く続かないだろうよ」

「マーラ帝国は力で君臨した……我々も力があれば国を持てる……! 伝統も文化も守れる!」

「……国家を作り、伝統や文化を守っても……恐怖で支配された国民は幸せか?」


 レーナが言う。インディアガーナ人は黙った。


「国民を、そこに生きる人のことを考えない国家は……長くは続かない。わたしは、そう思っている」


 インディアガーナ人の体からがくりと力が抜け落ちた。


「ペロルお姉ちゃん!」

「ナデルお手柄だよ!」

「趣味が役に立ってよかった!」

「安心するのはまだ早いぞシスターズ。おい、おまえたちの仲間はあとどのくらいいるんだ?」


 ケールパットが問うと、インディアガーナ人は体を小刻みに震わせた。

 笑っていた。


「クククク……私ひとりを抑えたところで止められない! 爆破が失敗した時には電源制御室を直接叩くようになっている」

「くそっ! 結局は自爆覚悟ってことか! レーナ隊長、電源室を確保するぞ!」

「わかった。ペロルとナデルはここで――」

「自分たちもいけます!」

「戦力になります!」


 ペロルとナデルは拳銃を手にとって応えた。

 これからはじまるのは銃撃戦だと理解しているようだった。


「……命の保証はできない。それでも来るか?」

「いきます!」

「戦います!」

「……わかった。それなら電源室へ案内して欲しい」

「わかりました!」


 ふたりの声が重なり、走り出す。

 ペロルとナデルの案内を追い、レーナとケールパットは次の戦場へと向かった。


久々のインディアガーナ人の登場。

相変わらずの敵対宇宙人の回でした。

新宇宙人ゴルベット星人と手を組み、ラメルを混乱に陥れる!?

戦いはまだまだ続きます。


桐生スケキヨ次回予告。

テロはまだ終わっていない!

果たして、会場の平和は守りきれるのか!?

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