【第7章】宇宙艦隊オッパリオン445話「共同作戦」
宇宙艦隊オッパリオン第445話の更新です!!
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本日のオッパリオンはラメルの対テロ部隊の主任ケールパット、そしてレーナ隊長の回。
ラメルで起こるテロリズムとの戦いの行方は如何に!?
オッパリオン恒例の母乳回はもうちょっと先。
お堅い対テロストーリーををお楽しみください。
【四四五 共同作戦】
親衛隊の機動兵器はラメルからの要請通り、中央スタジアム近くの公園に着陸した。公園は封鎖されており人はなかった。
「各員は別命あるまで機動兵器内で待機。フィルシュはわたしとともに現地警備組織と合流し、段取りをつける」
『了解しました』
レーナがセンシィアムから降りると、フィルシュも降りてきた。
するとふたりの前にはひとりのワダン星人がいた。現地では迎えが来ると聞いていた。
「オッパリオン皇女親衛隊隊長のレーナです」
「親衛隊のフィルシュです」
「恐縮です。スタジアム警備本部のチェルメスです。ご案内します」
ふたりは車両に案内された。チェルメスの運転でスタジアムに向かい走り出す。
「現状捜査ははじまっているのですか?」
「警備本部は爆発物処理班、対テロ部隊と合流しています。失礼ながら、親衛隊のみなさんの到着をお待ちしておりました」
「待たせてしまって失礼した。これでも急いで来たのですが」
「それは承知しております」
レーナはてっきりラメルの警備本部は自分たちを待たずに行動しているかと思っていたが、意外だった。
「嫌われてはいないみたいですね」
隣の席のフィルシュもそう思ったのか、小声で言う。
「そうだといいが」
窓の外にはスタジアムが見える。オッパリオンにはない巨大な建築物は、レーナから見ると観光地特有のきらびやかなものに見えた。あれを壊してしまうのはあまりにも惜しく、建造に携わった多くの人々への冒涜のようにも思えた。
「データと上からは見ましたが、実際にこうしてみると大きいですね」
「あぁ。ラメルは地盤も強いから、こうした大型建造物が建てられると聞いたことがある」
「そうなんですね」
ふたりの会話を聞いていたチェルメスが会話に入る。
「あれはまだ新しくて、できたばかりなんです。なんでも宇宙中の興行事業をラメルに集めるとかいうコンセプトらしいです。周囲にはショッピングモールや大型ホテルもどんどん作られていて、すごいことになってますよ。こんなことになっていなかったら、みなさんもお楽しみになれましたものを、残念です」
「ラメルへの観光はまたの機会にさせてもらいます」
「そうしてください」
レーナが応じると、車両はスタジアムへ続く地下通路へと入った。
「オッパリオンの方々同士の生体通信は使用されて大丈夫です。周辺での使用規制は免除されていますので」
「お気遣いありがとうございます。フィルシュ、使えるようにしておいてくれ」
「わかりました。……ラメルも生体通信は制限があるんですね」
「ないのはオッパリオンくらいだな。だいたい、どこの惑星でも生体通信は制限されているものだ」
「傍受されにくい特性がありますから、治安の問題なんですかね」
「それもあるが、オッパリオンほど体内ナノマシンが普及していないというのが実情だろうさ」
「あ、なるほど」
フィルシュが納得する頃、車両は地下駐車場に到着した。
そこにはひとりのヌルート星人が立っている。もこもこの毛皮に覆われたヌルート星人は特に大柄で目立った。
「やはりケールパットか」
「知り合いですか?」
「顔見知り、という程度だ」
レーナが車両を降りると、ケールパットが近づく。
「親衛隊のレーナ隊長だ」
「スタジアム警備主任のケールパットだ。お互い、面倒な挨拶は抜きで行こう。現場第一だ」
「そうだな、こちらとしても助かる」
レーナがそう応じると、ケールパットはうなづいた。
フィルシュから見たケールパットは気難しさのない人物に見えた。
「さっそくだが、うちの隊員が爆発物の場所を予測した。端末はあるか? データを送りたい」
「これに頼む」
ケールパットが出した小型端末にレーナの端末からデータを送った。ケールパットは素早く確認して頷く。
「こちらの爆発物班も同じような予測をしていたよ。両者のデータに大きな相違はないようだな。こちらのデータも送る」
「助かる」
レーナの端末にデータが送られると、レーナは端末を見せてフィルシュに覗かせる。
「こちらは部下のフィルシュだ」
「あ、親衛隊のフィルシュです」
「ご丁寧にどうも」
ケールパットは素っ気ない態度だった。
「ふむ、予測箇所はほぼ同じか。ならこの場所を確認するのが手っ取り早いな。早急な捜査開始を願いたい」
「こちらとしてもそう考えている。しかしすまないが段取りの話をさせてもらうぞ。この現場はスタジアム警備本部が取り仕切る。言ってしまえが自分が取り仕切るということだ。親衛隊には申し訳ないが、こちらの指揮下に入ってもらうことになるが、かまわないか?」
「そう聞いている。それに問題はない」
「助かる。我々としてはオッパリオンの客人を危険に晒すことは本意ではなくてね」
ケールパットの言葉に、レーナは眉をひそめた。
「ケールパット主任、すまないが我々は観光に来たわけではない。客人扱いされるのは困るというものだ」
「ほぉ」
「こう見えても対テロ訓練は十分に受けています。群衆の中で被害を出さずに戦闘する訓練もこなしています。機動兵器では実戦の経験もあります」
フィルシュが胸を張る。それを見たケールパットはふふっと笑った。
「なるほど、自信はおありのようだ。お飾りの親衛隊ではないということか」
「親衛隊は新設の部隊だが隊員は選りすぐりを集めている。甘く見ないでもらいたいな」
「これは失礼。ラメル人はもてなし好きなんだ。しかし観光客じゃないというのなら、そこは変えないといけないな。親衛隊たちにも、現場に出てもらおうか」
ケールパットはそう言ったあと、小声で話す。
「俺だ。ホマック、現場の部隊に親衛隊を追加する。調整しておけ」
生体通信を使っているようだったが、発声を必要としているらしく、フィルシュはケールパットの生体通信に使われているナノマシンは少し古いものだと思った。
「親衛隊は隊長さんを含めて六人と聞いている。すぐに入れるか?」
「着陸地点に四人は待機している。迎えを手配してもらいたい。即応できる。フィルシュ」
「伝えておきます」
「ふむ、連携はとれているか。わかった、すまないがチェルメス、もうひとっ走り頼む」
「運転ならお任せください。行ってきます」
チェルメスはすぐに車両に引き返す。
「手間を重ねてしまったな」
「気にしなくていい。チェルメスはなにより運転が好きなんだ。車両を走らせていた方が文句が少なく機嫌もいい、現場に不機嫌なやつは少ない方がいいんだ」
ケールパットがそう言ったので、レーナは軽く微笑みを見せた。
「失礼――。そうだ、現場に出すということだ。別に親衛隊様を立てるわけじゃない、お手並み拝見というところだ、文句を言うな」
ケールパットは生体通信での会話を、わざとレーナに聞こえるように言った。
「すまない、部下が不平を漏らしてね」
「いいでしょう、オッパリオン親衛隊の実力をご覧に入れます。しかし――」
「む?」
レーナはふっと息を吐いた、そして目を閉じる。その姿に、フィルシュもケールパットも、気品を感じた。
「この作戦は共同作戦だ。実力の比較ではない。親衛隊も全力をつくす、ラメルの警備隊も全力をつくす、それが一番だと思う。親衛隊には協力的な現場の人たちとともに仕事に当たらせてもらいたい。我々は必要な力を必要なだけ、お貸しする」
「……なるほど、あくまでもこれは共同作戦であり、主導権はこちらに委ねると」
「その方が現場は上手く回る」
「ふっ、ははははっ!」
それを聞いたケールパットは大きく笑った。
「ケールパット?」
「レーナ隊長、すまないが前回会った時は生意気なだけの小娘かと思っていた。けどしばらく見ない間に成長したものだな」
「わたしとていつまでも子どもではない」
レーナは頬を膨らませる。
「わかった、わかった」
「わたしが守るべきは自分のプライドや、立場ではないと理解している」
「それは賢明だ。現場で上に立つ人物の覚悟ってやつだ。わかったレーナ隊長、あんたらの意見も尊重しよう。なんでも言ってくれ。うまくやろうじゃないか」
「助かる、ケールパット主任」
レーナがふっと微笑むのを見て、フィルシュは安堵した。
どうやら、レーナ隊長はこのケールパットという主任の信任を得ることができた、ということのようだった。
ラメルを巡る一つの戦いの物語。
それは、アイドルとして活躍するボタンの物語も動き始めるきっかけに?
宇宙艦隊オッパリオン第7章も少しずつ本格始動を目指し動き出す!!
桐生スケキヨ次回予告。
爆発物の捜査がはじまる中、ボタンは会場で起こっていることを耳にする。
ボタンはある覚悟をする。




