【第7章】宇宙艦隊オッパリオン444話「現地組」
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宇宙艦隊オッパリオン444話「現地組」の更新です。
本日のお話はラメルの異星人「ケールパット」の物語。
何やらオッパリオンの中に知り合いがいる模様!?
そして、チェルピックの同士であるガン=カニア人の「ホマック」やワダン星人の「チェルメス」等、ラメルらしい新キャラの登場です。
ラメルの多種族感を今まであまり出せていなかった気がするので、今話は少し見どころです。
そして、母乳回はいつ来るのか・・・。
桐生スケキヨ氏と共に完結まで走りますので、引き続き応援お願いします!!
【四四四 現地組】
『ラメル警備総合本部よりスタジアム警備本部へ。状況を報告せよ』
「スタジアム警備主任のケールパットだ。現在爆発物処理班、対テロ部隊とともに現地へ向け移動中。まもなく到着する」
『本部了解した。迅速に対応せよとのこと』
「最善を尽くす」
ケールパットは三本指で掴んでいた通信機を置く。ケールパットはラメルでも比較的人口の多いヌルート星人で、スタジアムの警備主任に任命されていた。
「急かすならそれだけの人員を割いて欲しいものだな」
ケールパットが思わずぼやくと、輸送車両の隣に座るガン=カニア人のホマックが触手の先で自身の頬を掻いた。
「まさかスタジアムが狙われるなんて、予想外でしたからね。それでも爆発物処理班と対テロ部隊の展開、早かったんじゃないですか?」
「そりゃそうだろ。連中はいつでもどこでも駆けつけるっていうのがモットーなんだからな。だから俺たちスタジアム警備も、現地組だけに任せずに現地に入っている方がいいと言ったんだ。こういう時に遅れをとることになる」
「そうですね。ラメルのみんなは大らかですから。つい油断してしまったんでしょう」
「おいホマック。おまえもだぞ。他人事と考えるな。事件は起こっているんだぞ」
「そうですね、ははは」
ケールパットはこの楽天的なガン=カニア人にため息をついた。
ラメルの人々はホマックの言うように大らかで、普段暮らしているのには住みやすい星なのだが、少し危機管理意識に甘いところがある。今回の爆発物の持ち込みだって、ラメル住民のそういう甘さを突かれたのだとケールパットは思っていた。思っていたが、あまりぐちぐち言うのも格好悪いと思い、それはとどめた。
するとホマックは言う。
「スタジアムの警備を重々しくしなかったのは、観光都市だからじゃないですかね。ほら、楽しい観光地に武装した警備員がたくさんいたら、楽しい雰囲気じゃなくなっちゃいますし」
「なるほど、体裁っていうやつか。それは、ホマックの言うことも正しい見方かもしれんな」
すると車両を運転している運転席のワダン星人がちらっと振り返る。
「どうした?」
ケールパットが声をかけた。
「いえ……今、ラメルのみんなは浮かれているんですよ」
運転手のワダン星人、チェルメスはそう言った。
「そうだな。みんな浮かれてる。母乳運搬事業で好景気になるってんで大騒ぎだ。ライブだかコンサートだか知らないが、あんなものに大勢が熱狂してる始末だしな」
ケールパットの言葉に、ホマックは顔をのぞき込んだ。
「主任、ボタンちゃん嫌いなんですか? 今すごい人気ですよ」
「そういうことにゃ興味ないんでな。それに、みんなが浮かれてる時に冷静に用心するのが俺たちの仕事だぞ?」
まずいことを言ったとばかりに、ホマックは小さくなる。
チェルメスは笑って言う。
「ラメルにはいろいろな人がいますからね」
すると、車両の通信装置が呼び出し音を鳴らす。
「また本部からの催促か」
通信機はケールパットの席で操作することができ、装置を起動させる。
「ケールパットです」
『本部より全通達。ただいま、指定テロ組織『ラメル自由解放戦線』より正式な声明が発表された。要求はオッパリオンとマーラの講和の中止と、ラメルの主権をマーラ帝国への譲渡。スタジアムの観衆を人質に、従わぬ場合は爆破するとのこと』
「……そのどこか自由の解放なんだか」
ケールパットは小声でそうつぶやいた。
『ラメル政府はこの要求を拒否し、報道もしないとのこと。現場組はテロリストが抵抗する場合は射殺の許可も下りた。以上、最善を尽くすよう』
通信が終えると、ホマックが頷く。
「なんだかやばくなってきましたね」
「やばいもなにも、とんでもない事態だろうが。今更言うことでもないだろうが」
「なんだか緊張してきました」
「おいおい、大丈夫か? まぁ俺たちは現場指揮だから直接撃ち合うようなことにはならないだろうが……一応、覚悟はしておけよ」
「ど、どんな覚悟ですか?」
「殺し、殺される覚悟だよ」
「ひぇっ」
思えば、ホマックは計画立案や状況把握には優れて面を持つも、荒事には不向きの性格だった。こうして現場に連れてきたのは失敗だったかと頭をよぎるも、現場が混沌とした時はこのホマックの頭が必要になるはず、ケールパットはそう思い、自分の判断を信じることにした。
「主任、上」
チェルメスがそう言ったので、ケールパットとホマックは車両の窓から頭上を見た。
「なんだ? オッパリオンの機動兵器じゃないか!」
「しかも見たことない機体ですよあれ」
「六機も降りてきたぞ。母艦はまだのはずだから、先に来たってことか」
「皇女殿下直属の部隊だったりして。記念撮影しておけばよかった」
「なに悠長なこと言ってる。直属部隊――親衛隊機なら、なんで皇女殿下から離れて先に降りてきたんだ」
「それは……そうですね。じゃあどこの部隊でしょう?」
ケールパットとホマックがそんな問答をしていると、再び通信機が呼び出し音を鳴らす。
「呼び出しの多い日だ。――はい、ケールパット」
『ホールマンだ』
それは警備の総合本部長だった。ホマックは思わず背筋が伸びる。
「なんでしょう?」
『先ほどオッパリオン側より通達があった。スタジアムの爆発物処理及びテロリスト排除に、オッパリオン皇女殿下の親衛隊が参加するということだ』
「はぁ? 冗談じゃありません。ラメルの警備が信用ならないって言うんですか?」
ケールパットは思わず声が荒れる。
『そう言うなケールパット。おまえの気持ちはわかる』
ケールパットと、その上司であるホールマンは、ケールパットが駆け出しの頃から上司と部下という関係だった。だから、ケールパットは本音を言えた。
『オッパリオン側は事態の一刻も早い解決のために力を貸してくれるということらしい』
「いりませんよ。俺たちだけでやれます」
『私もそう思う。だがな、世の中には政治というものがある』
「面倒な仕組みは上だけでやっててくださいよ」
『そう腐るな。親衛隊が手伝ってくれるなら、その格好だけでもさせておけばいい。現場の指揮権はおまえにある。そこは譲らなかったよ』
「……ありがとうございます」
ホールマンがきちんと自分を理解した上で、自身の仕事をしっかりとしてくれたらしく、ケールパットは少し嬉しかった。昔から、ホールマンは現場第一に考えくれる人だった。少し頼りない時もあるが、踏ん張る時は踏ん張る、信用できる上司だった。
『そんなわけだ。現地にオッパリオン皇女親衛隊も加わるが、指揮権はおまえにある。上手くあしらって、おまえたちで解決すればいい』
「わかりました。そうしますよ」
『うむ。面倒をかけるな。戻ったら一杯奢ってやるさ』
「楽しみにしてますよ。生きて帰れりゃ、ですがね」
『おまえはそう簡単には死なんだろうよ。待ってるからな。頼む』
「最善を尽くします」
通信を切ると、ケールパットはため息をついた。
「親衛隊が主任の指揮下に入るなんてすごいじゃないですか」
「馬鹿言え。相手は皇女殿下の直属だぞ。なにか粗相があったら星間問題だ。おまえも粗相のないようにしろよ」
「ひぇっ」
急に緊張感を高めるホマックを尻目に、ケールパットは外を見る。もうスタジアムが間近に迫っていた。到着は近い。
ふと、古い知り合い――知り合いとも呼べるかわからない、知人を思い出した。
「親衛隊か……そういやあいつが親衛隊の隊長になったとかなんとか聞いたな」
あれは昔、オッパリオンの皇女殿下が初の外交でラメルにやってきた時、まだ若い、少女のようなオッパリオン人が皇女の警護をしていた。当時警備に当たった自分と、打ち合わせをしたり、一緒に警備をしたりした記憶があった。
「仕事はできたが……融通のきかんやつだったな。ん? またあいつと一緒にやるってことか?」
「なにを言ってるんですか主任?」
聞いてきたホマックに、ケールパットは首を振った。
「なんでもない。なんでもないが……こりゃやっかいなことになるな。部長には一杯と言わず、三杯は奢ってもらわないと割にあわんぞ」
そう言いながらケールパットがため息をついたころ、車両はスタジアムのスタッフ駐車場についた。
爆発物処理班と対テロ部隊の車両はもうついていた。
「さて、はじめるか。ホマック、生体通信をオンにしろ」
ケールパットは気を引き締め、仕事の段取りに入った。
アイドルボタンオタクのホマックの命運は如何に!?
対ラメルテロリスト戦が始まる。
オッパリオンとマーラの講和会談は無事開かれるのか?
次回もお楽しみに!!
桐生スケキヨ次回予告。
現地警備と合流する皇女親衛隊。
果たしてこの二組の相性は!?
任務はうまくいくのか!?




