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超絶エリートの俺が異世界に行くなんて  作者: 吟遊詩人F
冒険と変わりゆく日常
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リーゼロッテ タルタロス

鈴木がいつも通り目を覚ますと宿屋の天井が目に入ってきた。大きなアクビをして身体を一杯に大きく伸ばすとベッドから出た。アポロンへの旅に必要な物資を買いに道具屋に向かったが店に着くと棚はスカスカでほとんど物が無い状態である。鈴木は店主に問いかけた。


「あの、魔物避けの香ありますか?」


「ごめんねー。なんか関西弁のあんちゃんが、ウチの商品だけじゃなくてハデス内の店からありとあらゆる物を買い占めたらしく、あんまり物が無いんだよ」


鈴木は関西弁の男を思い出し、しょうがないと諦めて道具屋を出た。武器屋やアクセサリー屋、服屋等も見たがあまり良いモノは残っていなかった。鈴木は最低限のアイテムを買うと関西弁の男を思案した。行商人から買取って更に街のものをこんなに買い占めたと言う事は他にもお金を調達したのか、はたまた元からお金を持っていたのか、商魂たくましいとはこの事だ。鈴木はハデスの街を散策すると宿屋へ戻った。


「準備はいいか?」


「はい、出発しましょう」


黎明の旅人がハデスを出発しようとした時、空は霧がかり見通しを少し悪くしていた。陽は出ているが霧のおかげでとても過ごし易い気温になっていた。いざ出発しようとした時、出入り口で揉めているパーティーに遭遇した。


「どうしたんですか?」


見慣れた相手に臆さず話しかけるアンナ。相手が気づき返事を返してきた。


「あら、貴方達とは本当に縁がありますわね」


リーゼロッテが正面を向き、黎明の旅人に優雅に一礼するとカルとアマンダに向き直った。


「リーゼロッテ様、タルタロスに帰りましょう」


「マイレディ、旦那様がお嬢様の帰りを待っています」


リーゼロッテは強い口調で反論した。


「一族の使命は果たしたのだから、あとは好きにさせて頂きます。どうせタルタロスに帰っても政略結婚の道具にされるだけじゃありませんの、私はもっとこの美しい情景に彩られた世界を自由に見てみたい。お父様に言っておいて下さい、どうしてもと言うなら力尽くでと」


「私達が旦那様に叱られてしまいます」


「なら貴方達もタルタロスからこの機会に出てはいかがかしら?あんな所に残りの人生ずっといると思うだけで陰鬱になってしまいますわよ」


「我々は使命を終えたので国に帰りたいのです。どうか一緒に帰って下さい、姫さま」


「私は成人してから使命を負わされ戦ってきました、これからは好きにさせて頂戴。もしも父国王がそれを許さないと言うのであれば軍隊を派遣なさいと伝えて」


リーゼロッテはカル、アマンダを抱き寄せると別れの挨拶を述べた。説得は出来ないと判断した2人はやむなくリーゼロッテを欠いた状態で帰路に着いたようだ。アンナが成り行きを見守っていると鈴木がリーゼロッテに話かけた。


「リーゼロッテさん、良かったら俺達のパーティーに入らないか?」


鈴木の突然の勧誘にアンナは驚き口を挟んだ。


「太助さん、我々の様な駆け出し冒険者が、二つ名を持つような超一流の冒険者を勧誘するなんて失礼ですよ!」


アンナの諫言に鈴木はキョトンとした顔で返事をする。


「そういうものなの?」


鈴木が何故アンナに止められているのか本気で理解出来ないと言う顔でリーゼロッテを見るとクスクスと鈴が鳴るように笑っていた。


「よろしくてよ、今日からお世話になることにしますわ」


「え!いいんですか?」


アンナは望外の返事に興奮していると。


「それに貴方からとても良い香りがしますもの」


リーゼロッテは太助の肘を指差して微笑を浮かべたので、鈴木はサッと擦りむいた肘を庇うと自己紹介を始めた。


「俺は鈴木太助」


「私はアンナマリーです」


「リーゼロッテ タルタロスと申します。不束者ですがよろしくお願い致しますわ」


「こちらこそよろしく」


「よろしくお願いします!」


三人が挨拶を済ませたところでリーゼが鈴木に問いかける。


「神託者はどこを目指せと仰ったのかしら?」


「太陽の都アポロンに行けと」


「まさか太助さん、また神託を授かったんですか?」


「ああ」


「あなた一体何者なんですか?」


アンナが周章狼狽しているとリーゼが補足する。


「あら、一緒に旅をしていて気づきませんでしたの?その男は勇者でしてよ。魔王のスキルを奪い操るなんて勇者以外に出来ませんわ」


「太助さん、勇者なんですか?」


「らしいな、最初の村の神託者がそんな事を言っていたような無かったような」


あまりの展開にアンナは瞠若してしまった。アンナとしては珍しく鼻息荒く鈴木に対して質問責めをし、数分間の問答の末鈴木が勇者であると言う事に対して納得をしたようだ。


「もう最初から勇者なら勇者って言っておいて下さい!ビックリするじゃないですか」


アンナは頬を膨らませていたがどこか嬉しそうに見えた。一連のやり取りを静観していた、リーゼが話を進める。


「とりあえず今日はアポロンの道中にある一つ目の村を目指しましょう。ここから日中歩き続けて着く距離ですから急がないと野宿になりますわよ」


リーゼを加えた黎明の旅人はアポロンへと進路を取り歩み出したのだった。

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