第22話 オーク討伐
オークは片手剣で頭上をガードするが、ロックの攻撃の威力で片手剣が折れ、そのままオークの頭部に両手槌が減り込む。
『キンッ ドゴガツッ』
片手剣が折れる甲高い音と、重い衝撃音が鳴りオークが前のめりで倒れる。
『動かないな・・・・一撃か』
『おもいっきり叩きこみました』
『うわ~ ガードされても関係ないわね凄いわロック君』
『なるほど、だからインパクトって名前なのか』
『えっ クオンさん、分かったんですか?』
『ああ、音で分かった』
『えっ なにが分かったの?』
『おそらく両手槌の中身は中空になっていて、重い穴の開いた板が入ってるはずだ』
『敵にヒットした反動で中に入ってる重い板が移動し、2回目の衝撃を与えているんだよ』
『敵にヒットした後、すかさず追撃の衝撃を与える、故に「インパクト」って名前にしたんじゃないかな』
『・・・・・・・・1回、たった1回ですよ、僕が両手槌を振ったのは、それでそこまで解るって』
『んふふ ロック君【プラス】で<直感>がみんな付いてるんだけど、クオン君の<直感>は特別っぽいから、そんなに気にしなくても慣れるわ』
『クオンさん、怖い人ですね』
『ん ふつーだよ、ふつー』
『さて、今日は昼から出たから良い時間になって来たね、帰ろうか』
『そうね、はいクオン君ロック君これ渡しておくわ』
ミュウは俺とロックに氷と雷の属性魔石を渡す。
『帰る時間が勿体ないでしょ?お願いね んふふ』
『す スパルタだ!!』
『はい 僕、頑張ります!!』
『ミュウは?』
『私は覚えた属性の練習よ!なによ私だけサボると思ったの?』
『いえいえ先生、めっそーもない』
『あはは クオンさんもミュウさんには勝てないんですね』
『そうなんだよ・・・』
『んふふ さあ帰りましょ』
俺達は2匹のオークを荷車に積み帰路につく。
氷の属性魔石の習得を頑張りながら、そういえば冷たい果実水飲む野望を思い出す。
そういえばミュウさんが、頑張って覚えてくれるって話だったはずだが。
『なーに、クオン君なにか言いたそうね』
『いや、なんでもないよ』
くそう・・・誰の<直感>が特別だって?ミュウの<直感>のが凄いんじゃないか?
『あはは ロック君の雷で荷車がピリピリしてるね』
『あっ 取っ手部分は鉄だから電気通しちゃうんですね、痛いですか?』
『いや、ピリピリと気持ち良いよ』
『あれっ ちょっとだけ荷車軽くなった?』
『う~ん、ちょっと<フライ>の練習してるんだけど、これ難しいわ』
『なーるほど、もっと風属性のレベル上げないと厳しいのかな』
『そうかもしれないわ』
俺達はそれぞれ魔法の練習をしながら帰っていたが昼から出たこともあり、辺りは薄暗くなってきた。
『暗くなってきたね、急ごうか』
『はい、ところであそこの岩のところボンヤリ光ってませんか?』
『あっ ほんとだ光ってるわね、見に行きましょうか』
俺達はボンヤリ光ってる場所が気になり見に行くことにする。
『苔みたいですね』
『あっ これって光苔じゃないか』
『とりあえず<鑑定>してみようか』
【アンサー 光苔:多種多様な病気に効果大。】
『おお、やったね以前探したんだけど見つからなかったんだよ』
『おー それは良かったですね持って帰りましょう』
俺はそこにある光苔を丁寧に取り、念のため<サーチ>したが、やはりここ以外では見つからなかった。
『思わぬ収穫だったわね』
『ああ、これでメディカルポーションが出来るよ』
『えっ あの高価なポーションの原料だったんですか?』
『うんうん、ロックお手柄だよ』
『へええ、ラッキーでしたね』
『でも、出来ても売らないわよ私達の常備品だから』
『なにがあるか、分からないもんね』
ようやくアラバスの町が見えてきた、俺達は門兵に挨拶をしギルドへ向かう。
『お疲れ様でした』
『オーク2体発見し討伐してきました、完了報告と買取良いでしょうか?』
『やはり居ましたか、ありがとうございました承りますね』
俺達はいつものようにオークを裏の倉庫へ移動し査定を受ける。
『今日はオーク肉を持ち帰られますか?』
『あっ そうか食用なんですね、人気のある部位ってどこですか?』
『オークは非常に美味しくて、どの部位でも人気ですよ』
『僕は密かに楽しみにしてました えへへ』
『はい、私から提案があります!』
『ん!』
『今日は宿屋の裏で焼肉パーティ希望です!』
『『天才だ!!!』』
『んふふ じゃ適当な部位を貰っていきましょうか』
『では、持ち替えられるオーク肉以外の素材・魔石を買取しますね』
『討伐報酬と素材買取を合計して金貨20枚になります』
『『『おお~ パチパチパチ!!!』』』
『ありがとうございます、でわ失礼します』
『また、お願いしますね』
ギルドの受付嬢さんは笑顔で見送ってくれた。俺達は宿屋へ向かいエールを購入してから焼肉の準備をする。
<ライト>で辺りを照らし、<アースメイク>でコンロを作りアミがないのでフライパンを乗せて<プチファイア>で分厚く切り取ったオーク肉を焼いていく。
コンロ周りに<アースメイク>で椅子を作り、座りながら手に握りこんだ氷属性魔石でエールを冷やす。
『そろそろ良いかな?』
冷やしたエールをコップへ注ぎ、焼けた肉を次々と皿へ移して乾杯する。
『では焼肉パーティを祝して乾杯!!!』
『『かんぱーい!!!』』
『プハー そこそこ冷えてるね』
『んふふ まだ覚えてないのに、冷やしたかったのね』
『ヒック美味しいです』
『さー 食べよう』
オーク肉は焼いて塩を振っただけだ。焼肉のタレが欲しいな。
『う 美味い!』
『美味しい~ オークって美味しいのね♪』
『モグモグ、美味しいです~』
『あはは ロック君、頬っぺた膨らみすぎよ』
俺達はお腹いっぱいになるまで肉を食べエールを飲んだ。片付けは<アースメイク>と<クリーン>で簡単だ。
借りている部屋へ移り、いつものように明日の相談をする。
『明日なんだけど、やりたいことあるかな?』
『俺はメディカルポーション作りぐらいかな』
『そーねー 私も、属性魔法の習得ぐらいかな』
『僕はまた素材を集めて置きたいです』
『今回の装備で使い切っちゃったので』
『なるほど、またあの洞窟行く?』
『出来たら、違う所が良いですね』
『う~ん、どこか良いとこあるかな?』
『隣町になるんですがダンジョンがあって、そこでミスリルが取れるらしいんですよ』
『へええ、ダンジョンか面白そうだね』
『聞いたことあるわ、結構大きな町だよね』
『はい、商業都市<エンゲルラント>です』
『じゃ明日はそこへ行く準備しようか』
『そーね、此処で欲しい物は揃えたしね』
『<エンゲルラント>行きの馬車調べないとね』
『距離次第でテントとか保存食とかか』
『ギルドで<エンゲルラント>までの護衛依頼があると一石二鳥ですね』
『なるほど、じゃ明日はまずギルドへ行こう』
『あっ メディカルポーションだけ朝作らないとだ』
『じゃ、私とロック君で調べてくるわ』
『ありがとう、じゃ今日は寝ようか』
俺達は明日の予定が決まりそれぞれの部屋で休む。
『う~ん、よく寝たな』
『ん ロックまだ寝てるな』
『頬っぺた引っ張って起こそうか』
『ムニムニ、ムニムニ』
『んにゃ、むにゃ』
『なかなか起きないな』
『コンッコンッ 起きてる~』
『あ~ 起きてるよ、また鍵掛けるの忘れたから、どうぞー』
『も~ またなの?その内、泥棒に入られるよ』
『って、ロック君まだ寝てる・・・』
『頬っぺた引っ張って起こさないと』
『同じこと言ってる・・・』
『でも、マジで起こすか』
『ムニーー ムニーー』
『むがっ むがが』
『どほして、ひゅたりとも、僕の頬っぺた、ひゅっぱってるんですか』
『起きねーからだ!』
『起きないんだもん♪』
『・・・・・・・・おはようございます』
『昔から寝起き悪くて・・・』
『あはは 毎朝頬っぺた引っ張って起こして上げるよ♪』
『とりあえず朝食にしようか』
『はい、起きます』
俺達は軽く朝食を取り、俺は錬金術ミュウとロックはギルドへ行ってくれた。
光苔はボンヤリとしか光ってないので、光の強いところでは普通の苔に見える。
俺は気合を入れてメディカルポーション作りに取り掛かり、何とか5本出来た。
作り方は錬金術の本に載ってて覚えたけど、めっちゃ難しい流石に効果大だ。出来上がりを<鑑定>してみた。
【アンサー メディカルポーション効果【大】:この世界にある、ほとんどの病気を治療することが出来る。】
【クオンの<鑑定>が<鑑定+1>に成りました。】
お~ <鑑定>が、やっと上がった、これで調べられる情報も多くなるかな。
試しに、もっかいメディカルポーション<鑑定>してみよう。
【アンサー メディカルポーション効果【大】:この世界にある、ほとんどの病気を治療することが出来る。売れば非常に高価で販売できる。】
お~ やっぱり情報量が増えるのか。
さて用事は済ませたしミュウ達を追いかけるかな。
俺は宿屋を出てギルドへ向かってみる、ミュウとロックを見つけた、まだ居るってことは護衛依頼あったのかな。
『ミュウ、クオン、どうだ?』
『あっ 丁度良かったわ、リーダーの同意が居るのよ』
『護衛依頼ありました、今調整中です』
『分かった詳細はどんな感じだった?』
『報酬は金貨10枚、テント無し、食事無し、2泊3日みたいよ』
『一応Eランクからなんだけど、報酬が安すぎて残ってたみたいなんですよ』
『なるほど俺達には好都合だな、受けようか』
『すみません、この護衛依頼引き受けたいのですが』
『はい、ありがとうございます』
『でっ 出発はいつ頃ですか?』
『はい、依頼主に相談しますので、少しお時間を頂いて良いでしょうか?』
『俺達も買物があるので先に買ってきます、もう一度来ますね』
『はい分かりました、すぐに連絡を取りますね』
『では、テントとか食糧を買いに行こうか』
『後は欲しい物あるかな?』
『私は別にないわ』
『僕も大丈夫です』
『じゃ、テントとか見に行こうか』
俺達は昨日も行った道具屋さんに、まず行って見る。
『ん~ 誰も居ないな、勝手に見とくか』
『どお?良いのある?』
『5~6人用が良いよね?』
『何れはそれぐらい要るけど、嵩張るようなら小さいのでも良いかもね』
『後はテントの下に引くマットも欲しいね』
俺達は色々と物色するも中々決めきれないでいた。
『いらっしゃーい、今日は何をお探しですか』
店の奥から魔石を買った時の定員さんが出てくる。
『今日はテント探しにきたんですが、良いのありますか?』
『3人用ですか?』
『一応6人ほど入れそうなやつで、下にマットが欲しいですね。嵩張るようなら少し小さいのでも良いです』
『う~ん、それなら、これなんかどうですか?』
定員さんは4~5人用の円筒型で、黒い色のテントを見せてくれた。
『これなら、あまり嵩張りませんし、テントの下にクッションが入っているんですよ』
『良いんじゃないかな?』
『ええ、これぐらいが手頃だわ』
『僕も、これで良いです』
『決まりだな、ではこれ下さい』
『お買い上げありがとう~ じゃ、おまけして金貨3枚で良いわ』
『ありがとう』