第16話 3人目の能力
俺達はロックを探す。アラバスの大通りに差し掛かったところで、トボトボと力なく歩くロックを見つけ声をかける。
『ロック、待ってくれ』
『あっ クオンさん、先ほどはありがとうございました』
『実は、ちょっとロックに話があるんだが、俺達に付き合ってくれないか?』
『僕にですか?時間ならありますよ』
『ミュウ、どっか良い場所ないかな』
『そうね~ 部屋でも不味いわね、やっぱ外になるわ近くに小川があったから、そこでどうかしら?』
『分かった、ロックすまないが付いてきてくれ』
俺達はアラバスの外へ出て、近場の小川に着く。
『此処なら人目に付かないし、そこへ座ろう』
『まず、これを読んでくれないか』
俺は親方から預かった手紙をロックへ渡す。
『はい、ちょっと待って下さいね』
ロックは首を傾げながら手紙を受け取り、手紙を読む。
読み終わるとロックが、また泣き出す。
『親方、僕の事こんなにも うううっ』
『じゃ、これからは俺達の話だ』
『ロック、俺達は冒険者なんだが俺達のパーティへ入ってくれないか?』
『手紙にもありましたが、僕には何もない・・・・・冒険者としての能力も、力も』
『それにクオンさんミュウさんに迷惑が掛かる、親方の気持ちは嬉しいですが僕にはとても』
『んふふ 私達も新人よ、これから強くなれば良いじゃない?』
『ああ、俺達もこれからだ出来ればロックの力を貸して欲しい』
『新人って言っても、あんなに強いじゃないですか僕にはとても』
『信じられないかもしれないけど、俺はこの間までロックより弱かったよ』
『もちろん、私もよロック君』
『そんな信じられない、それに僕には鍛冶師になる夢があって』
『うん、俺達はその力が欲しいんだよ、ロックの鍛冶師としての力が』
『でも正直に言うと、今はまだまだだロックが世界一の鍛冶師になるために俺も力を貸そう、だからロックの力も俺達に貸して欲しい、俺達には武器が防具がそして様々なアイテムが必要不可欠なんだよ』
『行っしょに行こうロック』
『行っしょに行きましょロック君』
『何故そんなに僕を信用してくれるんですか?僕は僕は本当に ウッウッウッ』
ロックはまた泣き出して俯く・・・俺とミュウはその間ずっと手を差し出して引かなかった。
どれぐらい時間が立っただろうか、俺達はロックの反応を待った。
『ぼ 僕はずっと差し出してくれた手を払うようなことは出来ません』
『僕に、どれだけの事が出来るか分かりませんが、全身全霊で頑張ります』
『どうか、よろしくお願いします』
ロックは俺達の手を力強く両手で掴んで丁寧にお辞儀した。
それは突然の事だった!!!
【クローク・ロックのパーティ登録を確認しました。】
『えっ』
【ユニークスキル<+≫が発動されます。】
いきなり俺・ミュウ・ロックの左手が輝く、クッ 眩しい眼が開けてられない。
閃光のような輝きが、ひと際強く輝き徐々に弱くなり3人の左手の甲に円形のマークのようなものが、ゆっくりと点滅している。
『うわわっ ぼ 僕の左手が熱い、な 何これマーク?』
『声が頭に直接語り掛けてくる』
【ユニークスキル<+≫が発動されました。】
【ユニークスキル<+≫が発動に伴いユニークパーティスキルが発生しました。】
【3.ユニークパーティスキル<クリエイター≫が発生しました。】
【ユニークパーティスキル<能力開眼≫発動によりロックの潜在能力<創造≫が開眼されました。】
【ユニークパーティスキル<ウィンドウ≫発動によりパーティスキル<鑑定≫が発生しました。】
【ユニークパーティスキル<クリエイター≫発動によりパーティスキル<イクウィップクリエイター≫が発生しました。】
『声が治まった、左手の甲に浮き出ていた円形のマークも消えている』
『ぼ 僕の力が、力が溢れる、何ですかこれは???』
『うわー ロック君の潜在能力<創造≫って恐ろしいわね、神の力じゃないの?』
『うん、それだけに封印も、きつかったのかもしれないね』
『しかし、まさに想像以上だ知識のスキルか』
『い 今のは何ですか?あの光は左手、この力????』
『まーまー 落ち着こうロック』
『何から説明したら良いかな』
『んふふ そうよね、まずステータスからどお?』
『んっ そうだねロック、順番に説明するね』
『その前に、俺達の部屋へ行こうか、ちょっと時間がかかるよ?』
『はい お願いします なにがなんだか』
俺達は昨日止まった宿屋へ行き、同じ部屋に3人で入る。
ベッドに腰かけ、果実水をテーブルへ置き、いよいよ説明に入る。
『まず、簡単に説明するね』
『俺のユニークスキル【プラス】が発動し、ロックの潜在能力が開眼した』
ロックは口をポカンと開け、固まっている。
『ゆ ユニークスキル?クオンさん、ユニークホルダーだったんですか?』
『この世界に数人しか保有していない、あのユニークスキルですか???』
『ああ、珍しいらしいね』
『んふふ ロック君、クオン君はユニークホルダーの凄さがイマイチ分かってないみたいなのよ』
『・・・・・・・・僕は凄い方とパーティを組んだんですね・・・・』
『あはは 俺は普通の新人冒険者だよ!』
『さて話を戻すよ、俺の【プラス】の能力はパーティを組んだときに発動する』
『そして、パーティメンバー1人に対して1つユニークパーティスキルが発生する』
『俺に付いたユニークパーティスキルは<能力開眼≫これは個人の潜在能力を開眼させる』
『俺の潜在能力は<直感≫!!!』
『ミュウの潜在能力は<原理≫!!!』
『そしてロックが今回開眼したのが<創造≫だ!!!』
『潜在能力とは個人に1つ持っている秘めたる力だ、詳しい力はまだ分かっていない』
『次に、ミュウについたユニークパーティスキルは<ウィンドウ≫これは様々な特殊スキルが付与される』
『現在<ウィンドウ≫で発生したスキルは<神の声≫<ステータス≫<マップ≫<サーチ≫、そして今回習得した<鑑定≫だ』
『<神の声≫はさっき体感しただろ?頭へ直接語り掛けてくる情報だ』
『<ステータス≫は実際今からやってみよう』
『ロック今から俺が言う言葉を真似して言ってみてくれ!<ステータスオープン≫!!!』
『は はい、えっと<ステータスオープン≫!!!』
ブンッ!!っと音を立て目の前にロックのステータスウィンドウが出現する。
『うわっ 目の前に、なにか白い枠が・・・こ これは僕のステータス?』
*********************************************
【ステータス】
名前:クローク・ロック
LV:4
種族:ドワーフ
HP:75/75(+50)
MP:85/85(+50)
攻撃:60(+42)
防御:57(+39)
敏捷:58(+39)
器用:70(+49)
魔力:65(+41)
精神:64(+40)
個別能力:<創造≫
ユニークパーティスキル:<能力開眼≫<ウィンドウ≫<クリエイター≫
パーティスキル:<神の声≫<ステータス≫<マップ+1≫<サーチ+1≫<鑑定≫
<イクウィップクリエイター≫
戦闘スキル:<槌技+2≫<斧技≫<格闘+1≫
特殊スキル:<錬金術≫<鍛冶師≫
回復魔法:<ヒール≫<ハイヒール≫
攻撃魔法:<火属性+1≫〈ファイア〉〈ファイアアロー〉
<水属性≫
装備:皮の帽子・皮の軽鎧・皮の籠手
*********************************************
『な なんで、こんなに上がってるんですか??それに教会でしか確認できないのに何故?』
『このように、いつでも自分とパーティメンバーのステータスが見れるようになる』
『見えるようになるのはともかく、この数値は・・・・・』
『それは後で説明するよ』
『次に、<マップ≫<サーチ≫これは同時に説明するよ』
『<マップオープン≫ヒュームを<サーチ≫』
『地図が、それにこの矢印・・・』
『<マップ≫で地図を表示し、<サーチ≫でヒュームを検索してみたんだよ、俺の頭の上に矢印があるだろ?地図では地点!視認では矢印で表示されるんだ』
『これ便利でしょ』
『次は<鑑定≫これは今、習得したんで俺達も試してないんだ』
『これは知ってます「知識のスキル」でも、これスーパーレアスキルなのに・・・・・』
『お~ 良く知ってるね』
『これは鍛冶師の憧れのスキルです。父さんでさえ習得してなかった』
『ふむふむ、なるほど』
『じゃ次に、ロックについたユニークパーティスキルは<クリエイター≫これも発動したばかりで俺達も分からない』
『<クリエイター≫発動に伴い、発生したのが<イクウィップクリエイター≫これも、まだ分からない』
『じゃ最後に【プラス】の最大の能力!!!』
『ま まだあるんですか?僕は怖くなってきました・・・』
『んふふ 次で最後よ』
『え~では【プラス】の最大の能力が、今言った全てのステータスとスキルが加算し共有になる!!!』
『えっ えと???????????????????』
『分からないよね、さっきみたロックのステータスかなり多かったでしょ?』
『はい、飛んでもなく上がってました』
『あれはロックのステータスに俺とミュウのステータスが加算されてるんだよ』
『では僕に3人分の力が』
『そそ』
『・・・・・・・・・・・・・・・軽く凄いこと、言いましたね・・・』
『そして、誰が覚えたスキルでも、魔法でも共有し使えるようになります』
『例えばロックに今すぐ<ヒール≫が使えたりします』
『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・また、凄く軽く言いましたね』
『それじゃー 僕にも<鑑定≫が使えるのですか?』
『簡単な<鑑定≫なら今でも出来ると思うけど、成長させないと詳しくは分からないと思うよ』
『スキルも使っている内に成長するんだよ<マップ≫と<サーチ≫に+1付いてるでしょ』
『なるほど、凄すぎます・・・・・これがユニークスキルの力ですか』
『うん、そして、これからのロックの力でもある、お互い頑張ろう』
『でもどうして?このユニークスキルの力なら、もっと能力値の高いの方を選んだ方が、絶対得だったはず』
『どうして僕なんかを?』
『ん』
『んふふ』
『『君が気に入ったからだよ!!!』』
ロックは溢れ出る涙が止まらなかった。