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残念なイケメンとの過ごし方  作者: M maker
残念な親友の日常
14/14

旦那、アニメの最終回って見たい気持ちと見たくない気持ちでせめぎ合うよな。

ゲーセンの音ゲーは大抵やり込めば出来る。

大事なのは時間と金を惜しまないことだ。 坂下


ΛΛΛΛΛΛΛΛΛΛΛΛΛΛΛΛΛΛΛΛΛΛΛΛΛΛΛΛΛΛΛΛΛΛΛΛΛΛΛΛΛΛΛΛΛΛΛΛ


六月と会ってから、つまり高校生活は2ヶ月が経とうとしていた。


俺は当然の如く陸上部に所属し、


その傍らで六月から勧められる過去の名作アニメ鑑賞をこなす。


どうやら萌えという物を理解した人間の行きつく先は、


嫁候補選定にあるのかは分からないが、


アニメ「登り坂の上で待つ君と下で見上げる僕」に出てくる


ヒロインのキャラが好きになっちまった。


俺の名前が全てアニメタイトルの中に入っている。


そんなどうでもいい理由で見始めた作品だったんだが、


最終回を見る頃にはすっかり主人公に感情移入してさあ


1人で、ボロボロ涙を流してたって訳よ。


                       閑話休題


坂下「でなでな!そこで主人公のヤマトが言うんだよ!

  『君と僕の海抜差を埋めたい!同じ海抜で君と歩きたいんだ!』

   ってな!なー、旦那。超感動しないか?」

昨晩見終わった「登り坂の上で待つ君と下で見上げる僕」の感想を、

アニメ世界の師匠である六月に、熱烈に語っていた。


六月「確かそれ一般のラブコメディーだっただろ?

   主人公潜水士かよ!何だよ海抜って!海○かよ!

   そっちが気になって内容に集中出来ないわ!」


坂下「ちょっと変わってるとこがいいんじゃねえかよぉ。」

アニメ語りというのは、別に相手に理解されなくても良いのだ。

好きな物を好きだと言って人に迷惑を掛けろ!

そう言ってくれたのはこいつの筈だが。

なんかいざ迷惑顔を見ると、何でそんなこと言ったんだよってなるな。


瑠衣「また下らない話で、盛り上がってる。

   六月、次の英語の授業の宿題どうせやってないんでしょ?

   はい、これ見せてあげる。」


坂下「よ、吉川さん!」

この子は、六月の幼馴染で吉川瑠衣さん。

小動物みたいなふんわりとした雰囲気と、

太陽みたいに明るい性格で男子から人気である。

かく言う俺も、大ファンである!告白も既に2回したが、

瞬殺されること早2回である。


瑠衣「あ、坂下君居たんだ。

   もうーゲームする暇があったら、

   宿題くらいやりなさいよね六月。」


六月「これは暇だからやっているんじゃない、

   僕にとっての優先事項はゲーム>宿題なだけだ。」

こんな可愛い子が幼馴染で、しかも本人は気づいているが知らないが。

好意ありありとは、本当にこいつ・・・羨ましいぜ。


六月「ところで坂下」


嫉妬心オーラを読み取られたのかと思い少し身構える。


六月「やってあるの?宿題?」


坂下「ほあああああああああああああああああああああああ!!!」


昨日のアニメが頭から離れずというか、


…アニメを見ていたから宿題をやっていなかった訳だが。




「ツギノ モンダイヲ サカシタクン オネガイシマス」

英語教師のステファンから、名前を呼ばれない様に、

身を縮めていた俺は開き直るしかなかった。


坂下「I forgot my homework,But I like English!」


ステファン「英語が好きだったら、宿題くらいやってこいよ」


坂下「えっ!!!??」

ステファン先生のエセ日本語はキャラクターであったのかと

衝撃を受けた授業になってしまった。




帰り道、俺は六月と吉川さんと別れ


自宅への帰路の最後に待ち受けている登り坂にさしかかっていた。


この上り坂をガキの頃から、一気に駆け上がるのが恒例行事だった。


「っしゃ、今日も一丁やったりますか!」


1人で意気込み、駆け上がる。


良いぞ!これならベストタイム更新だぜ!

測ってないから分からねえけど!


心拍数が上がり、口を開け周りの空気を、


少しでも肺に送りこもうとする。


あと…少し…!


登り切る最後の一歩、ジャンプをしてガッツボーズを取ろうとすると、


十字路の右側から出てきた女の子とぶつかりそうになる。


坂下「あ、あぶねえ!気を付けて!」


「え、えええ?!な、何ですか!?」


女の子?!くっそ!最後ジャンプしちまったから、そんな急に止まっ


坂下「れたあああああああ!」


間一髪のところで、止まったが女の子と鼻が触れ合いそうな距離だった。


坂下「っぶねえ・・・ごめんな!怪我とかしてない!?」


ガッツポーズは止められず、体操選手さながらのY字のままでそう聞くと、


彼女は笑う。


「ふふ、ふふふふ、可っ笑しい。

 あー、近いよ、もー。

 ふふ、でも久しぶりに心から笑えた。

 ありがとう。」


微笑む彼女はどこか儚げで、今にも下に落ちそうな線香花火を彷彿とさせた。

俺は見事なY字体勢を崩し、汗を制服で拭う。


坂下「そいつは良かった!俺、昔から登り坂が好きでさ、

   坂となると全力疾走しちゃうんだよ。だから名前も(のぼる)って言うんだ。

   君、名前は?」


麻衣「私?私は、紫雨(しぐれ) 麻衣(まい)です。

   高校の制服、同じです。

   学年は2年…です。」


何故か申し訳なさそうにする彼女。


どうしてこうも元気がない者かね最近の若者は、


覇気が足りん覇気が!


坂下「同じ校舎で学年も一緒なのに、あんまり会わないな。

   もしかしてお宅、六月と同じ帰宅部かい?」


自分としては、軽い気持ちで冗談を言ったつもりだったが、

それを聞くと、どこか悲しそうに彼女は言った。


麻衣「私、あんまり学校行けてないんです。

   足の治療で病院に居ることが多くて、

   もうすぐ手術するんです。」


この時ほど、自分の口の軽さを呪ったことはなかった。


これが俺と、紫雨麻衣との初めての出会い





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