【1話】俺が借金!?
「え…負債?」
小太りのニート歴29年の俺、滌祖小内は親が死んだと聞いて、財産を受け取ろうとしたのだが…。
(嘘だろあの親父…借金なんかしてやがったのか)
俺は話を全く聞かずに、親の財産を全て受け取ってしまったのだ。莫大な借金があるとも知らずに…
「ち、ちなみに借金額はどれくらいでしゅか?」
普段家から出ていなかったせいで、喋ろうとしたらすぐに噛んでしまう。俺は歯並びだけは綺麗な歯をガタガタしながら、受付の人に聞く。
すると受付の人は困ったような顔で言う。
「非常に申しあげにくいのですが…5億円です……」
「は…?」
(5億?5億だって?)
正直、100万円くらいだったらこのゴミみたいな性格を更生するいい機会だったかもしれない。(多分しないと思うけど)だが5億となると別だ。サラリーマンの生涯の収入が3億という話は聞いたことはある。それを42歳の俺が今から稼げと?無理に決まっている。
俺は現実から逃げるように、家へ帰った。
そして俺はパソコンを立ち上げ、動画投稿サイトを開く。
すると一件の通知が入っていた。
「SOARAちゃんLiveしてるじゃん」
俺のこの世で1番大好きな存在と言っても過言ではない、Vtuberの「姫位 SOARA」綺麗な和服に青色の髪が印象的な新人Vtuberだ。
今日は雑談配信だろうか、ゲーム画面はなく真ん中にドアップでSOARAちゃんが写っている。
(グフフ今日も可愛いなぁ)
俺はいわば保護者だ。SOARAがVtuberを始めて初めての視聴者。それが俺だった。
懐かしいなぁ…六ヶ月前のことを思い出す。SOARAちゃんがVtuberになったばかりでみている人は毎回二桁ほどで少なかった。それが今では、四桁や五桁の人はLiveを見ている。俺は自分のことのように嬉しかった。
「きっと稼げているんだろうな…」
稼げる……そうじゃんVtuberになったら遊びながら稼げるじゃん!
俺はパソコンを画面分割して、Liveを見ながら検索をする。
【Vtuberのなりかた】
スペースキーを押すと色々な検索結果が現れる。
【有料級!初心者必見!あの坂口講師が教える新人Vtuberが一ヶ月で1000万稼ぐ方法!】
なんとも胡散臭いサイトだが、俺は迷いもなくクリックする。
「なるほどね……」
サイトを閉じて、椅子にもたれかかる。サイトを開いてから3時間。俺はずっとVtuberのなりかたを見ていたのだ。この集中力を褒めて欲しいぐらいだが、画面の左では、SOARAちゃんが酒を飲みながら、レースゲームをしている。
(可愛いなぁ)
俺はそんなことを思いながら、今からすることを考えてノートにまとめる。
1.キャラモデルを作成する(金がないから自作)
2.作ったキャラモデルを2Dと3Dに出力する(金がないけどどうにかする)
「とりあえずこんな感じだな!」
俺は早速アバターを描き始めるためにイラストを描けるアプリを立ち上げる。
だがー。
「どんな見た目にしようかな……」
正直ありのままの見た目を描いたら、醜い豚が完成するだろう。何かいいアイデアはないかな…。
「そうだ!」
俺は急いで、SOARAちゃんのアーカイブを漁り始める。二ヶ月前、三ヶ月前、とどんどん前の配信に遡っていく。
「あった!そうそうこれだ!」
そこには、Vtuberを初めて1回目の配信。開くと自己紹介コーナーで好きな食べ物などの話をしている。
(確か……)
俺は47:31秒のところまでスキップする。
「陰を愛するものさんコメントありがとうございます!えぇと好きな人の好みはなんですか…」
そう陰を愛するものとは俺のこと。俺は1回目の配信で好みを聞いていたのだ。流石俺!
過去の俺を褒め称えながら、耳を配信へと向ける。
SOARAちゃんは恥ずかしそうにして口を開く。
「えぇと…好みは高身長で色白で優しい人です!」
「ハハーン、なるほど」
俺はすぐさまペンを取り、モデルを書き始める。身長は高くして、肌は色白、服装はとくに何も言ってなかったので執事服を着せた。俺はこれでも美術の成績は5だ。そして何十回もファンイラストを描いてきた俺からしたらこんなの簡単。
俺はすぐさまプロ顔負けのモデルを作り上げた。
「問題は……」
俺の作ったモデルに動きを入れないといけない。瞬きや口の動きなど、これは流石にプロに頼むしかない。
そんなことを考えながら、サイトを巡回していると。
【Live2Dソフト】という、個人でも安く動かせれるようになるソフトを発見した。俺はすぐさまインストールして立ち上げる。
「月額2500円か…」
プロに頼むよりも断然安いだろう…俺は金を払って加入して、ついにVtuberとしての準備ができたのであった。
カメラはパソコンのカメラでいいだろう。あとはソフトが自動でフィルターをかけてくれるらしい。
俺は早速ソフトを起動する。
するとパソコンに現れたのは、俺が何千回生まれ変わってもなれないであろう、超絶なイケメンが画面に映っていた。
俺が口を開けると、画面の俺も口を開ける。ちゃんと動かせれるようになっていた。
「あとは……名前だな」
(やるからにはかっこいい名前にしたい)
「夜凪 ソラなんてどうだろう……」
俺の推しがソアラなら俺は空。我ながらいいネーミングセンスだろう。名前を夜凪ソラにし、その他の細かいキャラ設定を作っていった。
もちろん好みは、和服姿で綺麗な青色の髪にした。準備は万端!
こうして滌祖小内によるVtuber生活は幕を開けたのである。
え?ダンジョン要素がないって?2話に期待してください!
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