決断
その言葉に、通信石越しにオラリエが息を飲むのが分かった。
『…いくらなんでも、六人も相手なんてセイラにだって無理だろ?』
「無理じゃないって。私のドルフは黒竜だよ?相手に鉄の雨を降らせてやれば楽勝だって」
努めて明るい声でセイラは言うと、オラリエの方を向く。
「だけど、市民がいたら巻き込んで危ないでしょ?だから先に行って欲しいの。…大丈夫、ちゃんと全員倒したら、追いかける」
セイラは自分の声が震えていないことに安堵した。
震えているのがバレたら、オラリエは素直に従ってくれないだろうから。
『セイラ…!』
咎めるようなオラリエの声にセイラはため息をつく。
「市民を巻き込むわけには行かないでしょ?今ここで、彼らを無事に避難させられるのは、オラリエと紫竜のロブだけよ」
セイラのその言葉が決定打になった。
『…わかった』
その声から苦痛が滲み出ている。
それでも、オラリエは何も言わずにセイラの意見を聞き入れた。
「ありがとう、オラリエ」
『避難させたら、戻ってくるから待ってろよ』
「わかった」
そこから、すぐにオラリエは市民たちに状況を説明する。
その間も、ずっと攻撃の手は止むことはない。
「これで相手の魔力が底をつきればいいんだけどね…」
【そりゃねぇだろ。敵だってちゃんと考えて攻撃してるだろうさ】
ドルフの言葉にセイラは苦笑して頷く。
その時、再びオラリエから通信が入る。
『セイラ、準備出来たぞ』
「了解。じゃあ、私たちが敵の気を逸らした瞬間に逃げて」
『…おう。気をつけろよ』
「お互いにね」
セイラはそう言って恐怖を打ち払うように自分の頬を叩く。
「さぁ、ドルフ!やってやるわよ」
【俺たちの恐ろしさわからせてやろうや!】
ドルフはそう言って、障壁外の上に無数の鉄の塊を作り出すと、一気に敵に向かって落とす。
突然の鉄の雨に驚いた敵は、攻撃を止め障壁から離れた。
「今よ!」
セイラの言葉で障壁が消え去り、ドルフは敵に向かって飛び出す。
それと同時にロブは市民と自分たちの周囲に再び障壁を作り、避難を開始した。
逃げるオラリエたちに気づいた敵が追いかけようとするが、鉄の塊が飛んできて慌てて回避する。
「行かせないわよ?」
セイラは小銃を向けると、引き金を引いた。




