フィアナの弟子
ベルナデッタからようやく解放されたソルは、しょんぼりしながらファイボアのフライを食べる。
「…うまい」
「ソル、このソースつけても美味いぞ」
セルジュにススッとソースを差し出され言われるがままにそれをつけて食べる。
「…うまい」
「あ、ソルの分のリンゴソーダのお代わり頼んでおいたから」
「…ありがとう」
「あと、他の美味しそうなお肉も頼んでおきましたわ!たくさん食べてくださいね」
ラーシャとニアがソルの前に料理を差し出す。
「…お前ら…」
ソルの低い声に三人がビクッと肩を振るわせる。
「誰一人としてベルナデッタに噛まれてるのを助けようとしなかったよな!?」
「い、いや…」
「ほら…ベルナデッタの気持ちを考えたら止めるなんてとても出来ませんでしたわ」
「まぁ、許せ」
最後にセルジュがそう言って肩をポンポンとソルの肩を叩いてやる。
ソルはガクッと項垂れると、リンゴソーダをチビチビ飲む。
「あ、そういえば!」
ラーシャが話題を変えようと努めて明るい声で口を開いた。
「まさか、シーラの就職先がソルの家だとは思わなかったわ!」
ラーシャの言葉にソルはフルルフの串焼きを食べながら頷いた。
「…っんぐ。俺だって思わなかった。つか、誰も想像できなかっただろ?」
シーラの就職先はゲオルグに弟子入りするわけではなく、フィアナの元で働くのだ。
フィアナがやっている家事全般の仕事を補佐する事になっている。
「でもフィアナさんには良かったかも。ソルも卒業したら本格的に工房の仕事を任させる予定だったし、俺も騎士団に入ることが出来ればフィアナさんのお手伝いがあんまり出来なくなるだろうから」
「確かに。母さんは助かるよな。…でもなんでシーラは俺の家で働きたいって言い出したんだろうな?」
別に募集を掛けたわけでもなく、シーラが突然やってきてフィアナに弟子入りしたいと直談判したのだ。
最初は困惑してたものの、ゲオルグからもこれから大変だろうから雇ってやれと言われたこともあって最終的にはフィアナは快諾した。
「うちみたいな貧乏職人の家じゃなくて、金持ちの家の方が給金とかいいだろうにな?」
心底不思議そうに言うソルに肉を頬張っていたエルが目を輝かせた。
【それはズバリ!あ…んぐっ!!!】
エルを後ろからルーキスとニクスが羽交締めにして、大きく開いた口にベルナデッタが肉の
塊を押し込む。
「?」
状況を理解できていない三人が首を傾げる中、ニアだけが微笑んでルーキス達に賞賛の拍手を贈った。
「いけませんわ、エル。後で話し合いましょう」
ニアの言葉にエルはコクコク頷きながらベルナデッタに押し込まれた肉を飲み込む。




