生きてて
小屋を呑み込む炎はやがて渦となり小屋の全てを焼き尽くしていく。
「フリーラ副団長!おそらく高位魔石による魔法だと思われ火が消えません!」
「くっ…!」
フリーラは団員の報告に苦虫を噛み潰したような顔をする。
魔石による魔法は普通なら他の魔法で打ち消す事が出来るが、高位魔石になると話は変わってくる。
高位魔石は指定した時間の間ずっと強力な魔力を放出し続け、どんなに他の魔法で打ち消そうとしても打ち消すことが出来ない。
かなり厄介な代物だが、高位魔石はかなり値を張る。
一般市民が気軽に使用できるものではないのだ。
「つまりこの密猟団の背後にはどっかの金持ちが絡んでるって事ね…」
竜を商品として売るどこかの商会なのだろう。
フリーラはため息をついて、炎の渦を見上げる。
しばらくすると、魔石の魔力が無くなってきたのか炎の渦はだんだん細くなっていき、そして消えた。
残ったのは黒い炭と化した小屋だったものだけ。
「ゼン…!」
「待て!セイラ!まだ危ない!!」
小屋に駆け寄ろうとするセイラをフリーラが静止するのと同時に小屋が崩れ落ちた。
「マジで死ぬかと思った…!」
崩れ落ちた小屋の中から薄紫色の光に包まれた騎士団達が現れた。
「レイヴ、ありがとう。助かったよ」
デイルがそう言って身体を元の大きさに戻した自分の相棒、紫竜レイヴに礼を言う。
【ふふん、わたくしが居なかったら今頃灰になっていましたわね?もっと感謝してくれてもよくってよ!】
【姐さん!!さすが!!一瞬で障壁を築くなんてかっこいい!!】
【アイシャったら、本当に素直で可愛いですわっ!】
レイヴの周りをアイシャが飛びながら絶賛し、それ以外の団員達は生きていることに安堵して呆然としている。
「ゼンっ!この馬鹿!!」
そう叫んでゼンに抱きついて来たのはセイラ。
「死んだと思ったじゃないー!」
「俺も死んだと思った!」
「生きてて本当によかった!!」
「生きてたんだから泣くなよ」
泣きじゃくるセイラの頭を撫でながら慰めていると、周りの生暖かい目線に気づいて慌ててゼンはセイラを引き剥がそうとするが、全然離れない。
「せ、セイラ、みんな見てるから…!」
「うわぁぁぁん!」
全く聞く耳を持たずに泣き続けるセイラに手を焼くゼン。
「若いなぁ」
「発言がおっさんです」
「手厳しい…」
フリーラの指摘にデイルは肩を竦めると、視界の端に何か白いものが見えた。
不思議に思ってそちらの方を見ると、空に白い光の柱が上がっていた。
「何だあれ!?」
他に気づいた団員も声をあげる。
「敵の攻撃ですかね?」
フリーラの言葉にデイルは首を横に振った。
「いや、あれは違うと思うよ」
デイルはそう言って少し考えた後、一人頷いた。
「我々の出番かな?」
それからデイルは団員に招集をかけた。




