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美意識過剰  作者: 桜木 葉
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妨害者たち ─3─

 



「ただいま~…」


 覇気のない声でそう言うと、お決まりのゴリラがウッホウッホとやって来る。


「おかえり! 今日は早かってんな! ご飯にする? お風呂にする? それともオトンとハグする?」


 わぁ~。最近のゴリラはよう喋るし冗談も言いよるわぁ~。


「……ご飯」


「うんうん、ご飯な! ご飯食べよな? 一緒に食べよ。オトンも今日はまだ食べてないから一緒に食べよな!」


 いちいち鬱陶しい。でも、今日は聞きたい事もあったから丁度良かったのかもしれない。というかそう思わないと、このウザいテンションに付いて行けない。




「ママ、ただいま」


 夕飯の支度をしているママは、「おかえり」と声だけを発して、パタパタと忙しげに動き回っていた。


「なんか手伝おか?」


「ううん、大丈夫。麗美はお父さんと座って待ってて」


 そうは言われても……


 アタシは手を洗う為に洗面所に行くことにした。すると、先回りしたゴリラがタオルを手にアタシを誘導してくる。気が利くと言うかお節介と言うか……


 突っ込むのも面倒で、黙って従う事にした。






「いただきまーす」


 3人一緒に手を合わせ、ママの手料理を頂く。今日のメニューは、煮込みハンバーグにシーザーサラダ、野菜たっぷりのスープに焼きたてのパン。


 ほんのりバジルの香りがするフワフワのパンに、少しオリーブオイルを付けて頂くと、何とも幸せな気分になれた。


「ママが作ったパンもええけど、やっぱり日本人は白米や」


 と、1人炊きたてご飯を食べている者もいたが。




 煮込みハンバーグに手を付けながら、アタシは気になっていた事をオトンに聞いてみる。



「あのさ、オトンこないだ会社で事件に巻き込まれたんやろ?」


 ママから聞いていた情報をサラリと伝えると、思いっきり動揺したオトンが白米を口から発射した。距離にして1m強。見事にアタシの飲んでいた麦茶に落下する。



「ちょ……汚いなぁー!」


「ご、ごめん。せやけど麗美が……変な事言うから───」


「チラッとしか聞いてないからちゃんと聞かせて?」



 最初は渋っていたオトンも、可愛い娘のお願いなら断るといった選択肢すらなかった模様で、事の一部始終を話してくれた。そしてアタシは、初めてオトンを見直した。ほんの少しだけれど。








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