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ヒロインのエピローグ

 ミモザ・ブリズムからミモザ・モテニューになったのだけど、ちっとも優雅な生活じゃないわ。

公爵家の三男なら後継ぎとかもいらないし、家の資産で暮らせると思ったのに騙された。

喧騒がない静かなところで過ごしたいって言ったらこんな辺鄙なところに追いやられたの。

自然がいっぱいあると嬉しいとも言ったけど、別に森が欲しかったわけじゃない。

四季折々の花々が窓からいつでも眺められて楽しめる庭が欲しかったのよ。


 湖はあるけどボートを漕いでくれる人がいないから行っても意味がないし。

この間だって家の中にセミが入って来たのよ。

驚いてすぐに殺してって言ったのにメイドたちは虫の一匹や二匹いますって取り合ってくれないの。

私を驚かせたんだからそれ相応の罰ってものが必要よ。


 エチャードだって私と結婚したいって言ってくれたのに、ちっとも一緒にいてくれない。

手紙も出しても届かないし、贈り物だって何もないのよ。

きっとエチャードは釣った魚に餌をやらないタイプだったんだわ。

好みでもなんでもないけどアンソニーがドレスや宝石をたくさんくれるから気が紛れてるんだけどね。

眺めてるのも楽しいけどドレスは着てこそのものよ。

メイドに手伝わせてあげてるんだけど毎回いやそうにするのよね。


 楽しみと言ったら着飾るしかないのに分からないのかしら。

食事ももっと豪勢なものだと思っていたら学校の食堂で出されるものと変わらないのよ。

しかも軽食を作って欲しいとお願いしてあげたのにシェフがいないからできないとか言うし。

シェフは湖の反対側でレストランを開いているらしく、そこで出す料理の一部を配達しているんですって。

私が食べる料理がついでなんて許せないわ。


 エチャードと結婚したらスティーブンがお忍びで来てくれるはずなのに、ちっともそんな気配がないし。

代わりにアンソニーが煩いくらいに来るけど、ドレスが手に入るから良しとするわ。

問題はアンソニーが私とエチャードを離婚させようとしていることよね。

離婚は別にいいわよ。

あんな男だとは思っていなかったから別れて新しい男と再婚するの。

公爵家の令嬢ってことで学校にいたときから声をかけてもらっていたし。


 アンソニーと結婚する気はまったくないから再婚させてくれるならスティーブンがいいわね。

婚約者がいるとか言ってるけど一回も見たことないし、お披露目もできないような女よりも私の方が絶対にいいわ。

エチャードの元婚約者のマリーナが側室になっているみたいだけど王妃になる私には関係ない。

王妃になったら側室は全員解雇してスティーブンが私だけを愛せるようにしないといけないわ。

やることはいっぱいあるんだからここで止まっている訳にはいかないのよ。


 ちょうど良いことにアンソニーが王都でお茶会を開いてくれるみたいだからそこにスティーブンを呼んで、エチャードと別れたあとに結婚して欲しいって言えばいいわよね。

私は公爵家だけど結婚が決まっていたから声をかけられなかったのよ。

権力を使って臣下の妻を取るなんて優しいスティーブンができるわけなかったの。

私がそこを気付いて支えてあげないといけなかった。

ごめんね、スティーブン。

待っててね。


 そうと決まればお父様に手紙を書かないといけないわね。

同じ公爵家と結婚したけどやっぱり王家と結婚する方がいいもの。

権力はないよりもある方が絶対にいいし、王城だったら毎日でもお茶会ができるだろうし。

そう言えばお父様からもお手紙が届かないのよね。

これだけ辺鄙なところだと手紙も簡単に届かないのかしら?



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