避難所
「あ、村長! どこ行ってたんですか! って、マリー!? 帰って来たのか!」
「うん、ただいま」
周りを警戒していた人が僕達に近寄ってきた。
マリーに気付いてびっくりしてるし、マリーの知り合いみたいだね。
「話声が聞こえてきたからの、ちょっと様子を見に行ってたんじゃ」
「こっちにも声をかけてくださいよ。いきなりいなくなったら心配するじゃないですか」
「わしが気付けるのに、警戒しているお前達が気付かないでどうするんじゃ。そもそもお前達が気付いていれば、わしが動くこともないんじゃぞ」
「うっ……それはそうかもしれませんが……」
「もっと精進せい」
「はい……くそ、もう歳なのに耳だけはいいんだから……」
「聞こえておるぞ?」
「わかってます! 聞こえるように言ってるんですよ! じゃあ、見張りに戻ります! マリー、またな」
「うん!」
「よろしくの」
ミドの頭の上には、うさぎのような大きな耳が付いてる。
あれだけ大きい耳なら、よく聞こえそうだね。
見張りの人達と別れて少し歩くと、今度は何個かのテントと、座り込んでる人達が見えてきた。
「ねえ! 僕のお父さんとお母さんは? 帰ってきてるの?」
フォルクがミドに聞いてるけど……
「オグロスとフェネックはまだ帰ってきておらん……」
「そんな……じゃあお父さんとお母さんは……」
「まだわからんよ。だから何があったのか詳しく聞かせておくれ」
「うん……」
フォルクが僕達に話したことと同じ様な話をミドにも話してる。
僕達と出会って、ここまで一緒に戻ってきたところまで。
「そうか。頑張ったの。捜索隊を出そう。ミラ! ミラはおるか!」
「はいはい、なんでしょう?」
「オグロスとフェネックの捜索隊を出す為の準備を頼めるかの。あとフォルクを預かってもらいたいのじゃ」
「はいはい、わかりましたよ。フォルクや、こっちおいで」
「うん……」
ミラと呼ばれた、おばあちゃん兎にフォルクは連れられて行っちゃった。
フォルクのお父さんとお母さんも無事だといいね。見つかりますように……
「さて、身内の話で済まんかったの。今はここで隠れておる。それで、マリーと……あとはなんて名じゃったかな?」
「ああ、名乗って無かったね。あたしはグリュエール」
「俺はモーティマだ」
「わしはマリーからも紹介してもらったが、テッド村の村長をやっていたミドじゃ。そいで、あんた達にお願いがあるんじゃが……」
「なんだい?」
「回復薬を持っていたら、わけてもらうことはできるかの?」
「一応確認するけど、何故だい? 回復薬ならそれなりに持ってきてはいるけど」
「村人にもケガ人は出たが、そっちは大したことないんじゃ。ただ、村人たちを守る為に戦ってくれた冒険者がけっこうな傷を負ってしまっての。彼らの傷だけでも治してほしい」
「冒険者? ああ、調査に来ていた人達かい?」
「そうじゃ。彼らがいなかったら、わしらは逃げられなかっただろうと思う。そんなわしらの恩人の傷を治すことすらできなくての……」
「村に回復薬くらい置いてなかったのかい? 回復魔法が使える人は?」
「こんな小さな村に、回復魔法が使える者はおらんよ。それと、回復薬だがもちろん村にはあった。だが、持ちだせた数は僅か。それももう使いきってしまっての」
「わかったよ。まずはその冒険者達の様子をみてからだね」
「うむ。わかった。あっちじゃ」
ミドに付いて行くと、一つのテントの前で止まった。
「この中で寝ておる。おおい、開けるぞ」
テントの入り口を開けると、中には寝込んでいる男性が二人。その二人を世話している女性が二人いた。
明日はメンテナンスがあるようなので、お昼の12時にアップします。




