疑惑
「とりあえず、フォルクを連れて馬車へ乗り込んで! 詳しいことはわからないけど、テッド村が危ないってことだろう?」
「はい! モーティマさん、ウルをお願い」
「おう!」
皆で急いで馬車へ戻る。
御者台にはグリュエールが座るみたい。
「マリーは中でフォルクを落ち着かせて、詳しい話を聞いてくれるかい?」
「わかりました」
モーティマが僕をグリュエールへ渡したら、馬車に乗り込んですぐに出発。
いつもより馬車のスピードはちょっと上がってる。
急がないと……テッド村がモンスターに潰されちゃうかもしれないし……
「フォルク……ほら、落ち着いて。ちゃんと話してくれないとわからないよ?」
「ひっく……うん……ひっく」
「村を助けたいんでしょ? その為に頑張ったんだよね? じゃあもう少し頑張ろう? そしたら、後は私達がなんとか考えるから!」
「うん……わかった」
フォルクが泣きやんで、なにがあったのかを話しだした。
「僕はお父さんとお母さんと一緒に、森へキノコとかを探しに行ってたの」
「うん。それで?」
「いっぱい集まったから、そろそろ帰ろうって言って、村に戻ったんだけど……」
「うん」
「村がいっぱいのゴブリンに囲まれてたの……だから村へ入れなくて……お父さんとお母さんと一緒に、助けを呼びに行こうって言って村から離れたんだけど……ゴブリンに見つかっちゃって……」
またフォルクの瞳に涙が溜まっていく。
でも泣かないように、涙をこぼさない様に頑張って話し続ける。
「お父さんとお母さんがゴブリンと戦ってたんだけど、数が多くて……僕だけでもって逃がしてくれたんだ……ちっちゃいほうが見つからないかなって思って、『変化』も使って逃げたんだけど、結局ゴブリンに見つかっちゃったの……」
「そこに私達が来たんだね」
「うん……」
そこまで話したフォルクはまた泣きだしちゃった。
でも今度はすぐに泣きやんで、涙を拭った。
「あ、ごめんなさい!」
フォルクがマリーの腕から飛び降りて、自分の足で立つと、
「『変化』!」
フォルクの体がいきなり光に包まれた!
光が収まると、中からは小さい男の子が出てきた。頭の上には狐の耳。
これが人の形のときのフォルクなんだ。
「あの、えっと……助けてくれてありがとうございました!」
人の姿になったらマリーやモーティマ、それと御者台にいるグリュエールに向かって頭を下げた。
「おう、気にすんな。それにいくら数が多くても、しょせんゴブリンだろ? それなら俺達でなんとかできるだろ」
「そうだね。それに村にも戦える人がいるはずだから、ゴブリンだけなら村も無事かもしれないよ」
「そうだといいんだけどね……マリーもモーティマもおかしいと思わないかい?」
「おかしい? なにがですか?」
「王都から離れれば、モンスターが多くなるのは普通だから気付かなかったけど……大量のオーク、大量のラーウルフ、そして今度は大量のゴブリン。さすがにモンスターの量が多すぎる」
「そう言われると……」
「確かにモンスターの量が多いな」
「なにかが起きてる……? でも何が……」
グリュエールが悩みだした。
モンスターの量が多い?
でもオークはいっぱいいても弱かったし、それより弱いゴブリンだったらどれだけ大量にいたって、なんとかなると思うけど……
「一先ず、急いで向かおうか。スピードをあげれば夜までには着くと思うよ」




