グリュエールの反省
その後もラーウルフが追ってくることもなく、無事に朝を向かえた。
ただ、馬に疲れが残ってるかもしれないから、今日はゆっくり進むことにしたみたい。
あれだけ走ったんだもんね! しょうがないよ。
走るとどれくらい疲れるのか、良くわからないけど。
「マリー、モーティマ。昨日は悪かったね」
「え?」
「なんの話だ?」
馬車を御しながら、グリュエールが二人に話しかけた。
いきなり謝って、どうしたんだろ。
グリュエールって、昨日なにかしたっけ?
「ラーウルフにあたしの魔法が一発も当たらなかっただろう? あれが当たっていればもっと余裕が出来ていただろうし、最後の一匹も逃すこともなかったはずなのに」
「そんな! グリュエールさんの魔法をラーウルフが避けたから、隙が出来て私の矢が当たったんですよ!」
「俺は遠距離で攻撃できる手段がないからな。遠くから威嚇するだけでもありがたいぞ」
「そうかい……ありがとね。
実戦から大分離れていたせいか、勘が鈍っているみたいでね。まさか一発も当たらないとは思ってもいなかったよ」
グリュエールは魔法が当たらなかったことを気にしていたんだ。
「でもグリュエールは、杖でラーウルフを退治してたでしょ? ラーウルフと杖がぶつかったと思ったら、クルってラーウルフが空中で回って! あれ凄かったよ!」
「そうだよね。目の前に迫ってきていたラーウルフに冷静な対処して、すぐに処理しちゃうんだもん。凄かったよね」
グリュエールが杖でラーウルフを退治したのは、マリーも見てたもんね!
「ああ、あれかい? 杖術も習っていたからね。杖術は体が覚えていてくれたよ。ラーウルフが飛び込んできた勢いをそのままに、方向だけ変えてあげただけさ」
「杖術かあ……そういえば、魔王様も杖持ってたっけ」
でも魔王様は敵が近付く前に魔法でやっつけちゃってたから、あまり杖で殴ったりすることはなかったけどね。
「魔王の杖術なんて気になるじゃないか! 覚えているかい? どんな技があったか!」
「えっと……ほとんど魔法だけで倒しちゃうから、杖で戦うなんてことなくて。でも練習はしてたような……」
「どんな練習だい? 思い出せるところだけでも!」
「えーと……」
「ふふっ」
「どうしたんだい? マリー」
「いえ、その方がグリュエールさんらしいなって思って」
「え?」
「落ち込んで考え込んでるグリュエールさんより、知りたいことの為に考え込んでいるグリュエールさんの方が、らしいなって」
「そうだな。あんたが落ち込んでいると変な感じがする。いつもみたいにいてくれよ」
「……ありがとね。よし! 反省は終わり! あたしもこれからどんどん魔法使っていくからね!」
「やったー! 僕、グリュエールの魔法色々見てみたいな!」
「あたしはウルの魔法も見たいけどね。最高威力の魔法なんて使ったらどうなるんだろうね。人がいないこの辺りだったら、使ってみてもいいんじゃないかい?」
「それは止めましょう!! 自然が壊れちゃいますよ!」
グリュエールは元に戻ったみたい。
悩んでばっかりじゃ、前に進めないもんね! 元気出して行こう!!




