遠吠え
なんとか成功することが出来たよ。
“ファイアーボール”の威力を弱めることに。
何回“ファイアーボール”を使ったかわからないくらいだった……
成功した時にはもう周りが暗くなってたしね。
“ウインド”の時は、グリュエールがお手本を見せてくれてたからすぐに弱い威力に出来たけど、“ファイアーボール”は誰も使えなかったからお手本がなかったんだよね。
だから結構苦労しちゃったけど、一回出来ちゃえばもう大丈夫!
次からは一発で成功させちゃうよ!
今はもう夜も明けて、馬車に乗って移動中。
モンスターも出ないからのんびり旅。
一応、皆で警戒はしてるけど……
「ウオーーーン」
何今の声!?
「マリー、モーティマ。聞こえたかい?」
「聞こえました」
「ああ。あれはなんの声だ?」
「狼の遠吠えだよ……私は聞いたことあるから」
「そうなのか?」
「うん。私は村にいたころは森に入ってたから、狼系のモンスターにも遭遇したことあるんだよ。たぶんラーウルフとかかな? 遠吠えしてるってことは狩りでもしてるんだと思う」
「遠吠えが狩りの合図なのか?」
「そうなんだと思うよ。お互いの位置を把握したり、獲物を見つけた合図だったりするって聞いたから」
「ダンジョンで出会った奴らは遠吠えなんてしてなかったけどな。外の奴らは違うのか。
……あいつらは素早くて攻撃が当たらないから俺は苦手だ」
「モーティマは力押しって感じだもんね。狼に襲われた時はどうしていたんだい?」
「近付けないように棍棒を振り回すだけだな。振り回しながら逃げる」
「攻撃が当たらないんじゃ、それしかないか」
皆が狼について会話をしている間にも、何回か遠吠えが聞こえてきてる。
でも……あれ?
声が近付いてきてない?
「グリュエールさん。狼がこっちに近付いてきてるような気がします」
「あたし達を獲物として見ているのかい……みんな戦闘の準備だけしておいて。モンスターが見えたらすぐに馬車から降りて迎撃するよ」
「狼系のモンスターは群れで動きます! だから前だけ見てると後ろから襲われたり……」
「そうだね、だからモーティマは馬車を守っていて。馬がやられちゃうと大変だから」
「わかった」
「あたしが前に出るから、マリーは弓矢で援護。もちろんマリーが倒しちゃってもいいからね」
「わかりました」
「余裕があればウルを抜いてみたいと思ってるけど、狼系のモンスターが相手だと無理かもね。素早いから、ウルに気を取られている間に馬を狙われたりしたら困るからね」
「僕はなにをすればいいの?」
「ウルは……あたしと来るかい? 魔法で狼共を退治しようか」
「うん、わかった! どんな魔法がいい?」
「それは相手を見てから決めようか」
「うん!」
グリュエールと一緒に魔法の撃ち合い!
ちょっと楽しそう。
でも素早いモンスターだっていうから、気を付けないとね!




