アンカの町の宿屋
「予定外のことが起きちゃったね」
冒険者ギルドで教えてもらった宿屋の一室に皆で集まってる。
予定では、明日にはこの町を出発するはずだったもんね。
「そうですね……でもこの町がモンスターに襲われそうなら少しでも力になりたい!」
マリー……
マリーの村もモンスターに襲われたから、同じことが起きそうなこの町をほっとけないんだね。
「マリー、あんたは優しいね。でも優しいだけじゃ駄目だ。もっとちゃんと考えなくちゃ」
「えっ?」
「もし、さっき冒険者ギルドで安請け合いしていたらどうなると思う?」
「オークと戦う……だけじゃないんですか?」
「そうだね。どっちにしろオークとは戦う。で、その後は?」
「その後?」
「そう。オークと戦って勝ったとしよう。その後のことを考えているかい?」
「必要な物を買い揃えて出発するだけじゃ……?」
「必要な物をどこで買う気だい? 今は店も開いてないのに」
「……オークがいなくなった後なら、お店も開くんじゃ」
「今はほとんど冒険者ギルドに物資として集められているのにかい? ギルド職員も、暫くお店は開かないだろうって言ってたよね?」
「それは……」
「それにもし開いたとしよう。それでもきっと品薄だよね。それならこの町の住民を優先すると思わないかい? いくらこの町を助けたからって、名も知らない冒険者に少ない食料を売ってくれると思うのかい?」
「……いえ」
「この町にある店だって、住民より冒険者を優遇したらその後風当たりが強くなるだろう。まあ商人がそんなことも考えずに売ってくれるとは思わないけどね」
「おいおい、そこまで言うことないだろ! マリーだってこの町を助けたいってだけで……」
「モーティマ、あんたもだよ。冒険者ギルドじゃほとんど何もしゃべらなかったね。もっと自分で考えて、自分の意見を言わないと」
「うっ……」
「今回はあたしがいたからいいけど、ちゃんと依頼を受ける前に必要な交渉はしておかないとね。わかったかい?」
「はい……」
「おう……」
グリュエールが珍しくいつもと違って、強い口調でマリーとモーティマに注意してる。
グリュエールはそんなことまで考えてたんだ!
オークを倒して終わりじゃないんだね。その後何日もこの町に滞在することになっちゃったら、テッド村に着くのが遅くなっちゃうし。
グリュエール達は食べ物が欲しい。冒険者ギルドは人が欲しい。だから手伝う代わりに余った物資を分けてって話をしてたんだね。
そしたら、オークを倒したらすぐに出発できる。
グリュエール凄い!
「ま、これはあたしの意見だからね。探せば冒険者に物を売ってくれる店もあるだろうけど、時間がかかっちゃうっていうのもありそうだからさ。モンスターを倒すだけじゃなく、色々考えてほしいってこと。
さて、お説教はここまでにしようか。明日から忙しくなるだろうしね」
「グリュエールさん、ありがとうございます」
「ん? なにがだい?」
「私達の為に言ってくれて。これから頑張りますね!」
「ふふっ、頑張ってね。モーティマもね」
「おっ……おう」
なんか僕だけ仲間に入れてない……
寂しい!
「僕は? 僕には何かないの?」
「ウル? ウルは……ウルは今のままでいいよ」
「えー!? 僕にも何か言ってよ!」
「じゃあ、そうだね……ウルはもっと我が儘を言った方がいいんじゃないかい?」
「えっ? 我が儘を?」
「そう。あたし達にはもっと言いたいこと言っていいんだよ。ね? マリー」
「そうですね。もっとウルがどんなこと考えてるのか知りたいな」
「そっか……わかった! もっと我が儘を言うよ!」
もっと我が儘言っていいんだって!
よーし、これからは頑張って我が儘言うぞー!
……あれ? 我が儘って頑張って言うことなのかな?
「もういいかい? じゃあご飯食べて、さっさと寝ちゃおう!」
「はい!」
「おう!」
明日は、一旦皆で冒険者ギルドへ行って、そこからモーティマだけは平原で柵と堀作り。グリュエールとマリーは作戦会議だね!
作戦会議って、どんな話するんだろ?
作戦会議に付いて行っても僕は何も出来ないんだけどね。
昨日、キャラクター画像をアップしております。
ウルとマリーの画像が載せてあります。
気になる方は作者のマイページまたは下記URLから。
本編とはまったく関係ありませんので、見なくても問題ありません。
https://ncode.syosetu.com/n5191fd/
悪評でなければ、今後も他のキャラクターを載せていきます。




