僕とモーティマ
「どうぞ」
ノックの音にグリュエールが応える。
扉を開けて入ってきたのは、予想通りギルド長とモーティマだった。
モーティマは疲れた顔をしてるけど……よっぽど勉強するのが嫌いなんだね。
「そっちは終わったの?」
「ええ、一応。後は後日、モーティマさんにはもう一度筆記試験を受けてもらうだけです」
「……おう」
うわぁ……
モーティマ自信なさそう!
これでまたヒドイ点数だったら昇格できないし、大変そうだなあ。
「モーティマさん、大丈夫?」
「……おう」
マリーも心配してるけど……
こんな状態で僕の話をしてもいいのかな。
「じゃあモーティマ! あたし達の話を聞いてもらってもいいかい?」
「……おう」
もう、おうって言うだけのおもちゃみたいになっちゃってるよ。
本当に大丈夫?
グリュエールとマリーが、僕についての説明をモーティマへしてくれた。
「頭がパンクしそうだ……」
苦手な勉強をした後にこんな話を聞いて、モーティマは頭を抱えてる。
「つまり、その剣が知識あるアイテムなんだな?」
「うん、そうだよ!」
「おお、本当にしゃべった!」
ここまではマリー達が説明してくれたから、僕は静かに聞いてただけ。
説明が全部終わったから、やっと僕もしゃべれる。
「それで、モーティマも協力してくれる?」
「そうだな……結局俺は何をすればいいんだ?」
「一先ずマリーがウルを抜くから、モーティマはそこにいてもらえればいいよ」
「何もしなくていいのか? それなら別に構わねえけど……」
「ありがとう、モーティマ!」
これでモーティマも協力してくれることになった!
後はやってみるだけだよね?
「じゃあ、さっそく実験を始めようか! とりあえず、イリーシス。あんたは出て行って」
「……そうですね。私がいるとあの衝動が来る可能性がありますし。ギルド長室にいるので、結果が出るか、帰る前には声を掛けてください」
「わかったよ。何かわかれば後で伝える」
「よろしくお願いします」
「ギルド長室……? ただの職員じゃなかったのか?」
あ、モーティマはギルド長のこと知らないんだったね。
モーティマの呟きが聞こえてなかったのか、ギルド長はそのまま部屋から出て行っちゃった。
「なあ、あの試験官やってた人は、冒険者ギルドでも偉い奴なのか?」
「イリーシスかい? あいつはここのギルド長やってるよ」
「ギルド長!? あいつが!? マジか……あんなヒョロそうな奴が」
「ああ見えて、結構強いんだよ。魔法も使えて、剣もそれなりだし」
「俺、ギルド長に結構文句言ったりしちまったけど……大丈夫か?」
「そんな小さいこと気にするような人じゃないよ。でかい図体して心臓はちっちゃいのかい?」
「おまえ! 王都のギルド長って言ったらかなり偉い奴だろ!? そりゃ暴言吐いたらちっとはビビるだろうが!」
「そんなこと気にしなくて大丈夫だって。もうイリーシスの話はいいから、さっさと実験をやろうよ!」
モーティマは色々気になることがあるみたいだけど、グリュエールは実験をしたくてしょうがないみたい。
僕もギルド長のことより、自分のことが気になる。
また会話できるのかな……?




