僕とグリュエール③
家を飛び出したグリュエールは冒険者ギルドへと向かう。
冒険者ギルドへ着き、扉を開けるとギルド職員がいるカウンターへ。
「イリーシスはもういる?」
「イリーシス……ですか? イリーシスって……! ギルド長のことですか!?」
「そうそう、で、いるのかい?」
「ギルド長でしたら本日はもう出勤しておりますが、あなたは?」
「ああ、グリュエールが来たって伝えてくれればいいよ。そしたら飛んでくるだろうから」
「そうですか……わかりました。少々お待ちください」
ギルド職員の人は急いで階段を上がって行った。
数分待つだけで、ギルド職員と一緒にギルド長が降りてきた。
「グリュエール、もう何か分かったんですか?」
「まだまだ全然。調べる為にあんたが必要だったのさ」
「そうですか。では私の部屋へ行きましょう」
「ああ、ギルド長室だろ? 久しぶりだね」
二人は連れ立ってギルド長室へと向かう。
ギルド長室に入ると、グリュエールがさっそくとばかりに、ギルド長へ僕を渡す。
「ウルを抜いてみて」
「私が……ですか?」
「そうだよ。ほら、早く」
「……抜いても大丈夫ですか?」
「何言ってるんだい! まさか漆黒の刃ってだけで、呪われるとか心配してるわけじゃないだろうね?」
「それは……」
「どうせあんたのことなんだから、『鑑定』使ったんでしょ? 呪われたとか出たのかい?」
「いえ……出てはないですが」
「ならビビってないで、さっさと抜きな! もし何かあっても、あたしがどうとでもしてあげるよ」
ギルド長が躊躇いながらも僕を鞘から抜く。
くっ……!!
抜かれた瞬間からまたあの衝動が……
でも今はギルド長とグリュエールしかいないんだよ!?
この人達を斬るなんて絶対……ダメ……
「おお! これは…………ウル…………」
「ウル…………?」
二人が何かしゃべってる……
でも……ダメ……
斬りたい……
___カチンッ___
「ウルさん、大丈夫ですか?」
……大丈夫。僕は誰も斬ってない。
「大丈夫……だよ」
「ウル! あたしが抜いた時にはそんなオーラ出なかったのに、イリーシスだとそこまで出るのかい! あれを抑えるなんて、あんた凄いよ!」
「オーラ……?」
「そう! あたし……というか、エルフなら大体そうなんだけど、神聖な物や邪悪な物にオーラが見えるんだ。神聖な物だと白いオーラ。邪悪な物だと黒いオーラって感じかな?
今、イリーシスが鞘から抜いた瞬間に一気に黒いオーラが噴き出してきたんだ! 前に見た呪われた魔剣。あれも黒いオーラを発してたけど、今のウルよりは弱かったよ。
あたしが抜いてもそんなの出なかったんだけどね。ウルが言ってた通り条件があるんだね!」
邪悪……?
僕って邪悪な物だったの?
「その黒いオーラ? 今も出てるの?」
「今は全くないんだよ。鞘に入れた瞬間に消えちゃった」
「僕って……邪悪な物なの?」
「あ、言い方悪かったよね。ごめんごめん。元々どんなに神聖な物だったとしても、呪いをかけられたりすると黒いオーラが見えたりするんだ。鞘に入ってるときには見えてないってことは、ウルは元々邪悪な物じゃなくて、後から何かを付加されてるんだと思うよ」
「後から? でもそんな悪い物付けられたことないと思うんだけど……」
「確か、ずっと飾られてたんだよね?」
「うん。魔王様に献上された後はずっと。作られてすぐ運ばれたし、なにかされたことはなかったよ」
「うーん……そうなると……」
グリュエールはそう言うと、部屋をウロチョロしながら考え込んでる。
ギルド長は僕を持ったまま困った顔をして、そんなグリュエールを見てる。
「ねえ、ウルは知識あるアイテムってどうやって生まれるか知ってる?」
「うん。長い年月魔力の強い場所にあると生まれることがあるんだよね?」
「そう。ただ、魔力の強い場所っていうのが簡単じゃないんだ」
「そうなの?」
「人間達も色々実験していてね。自分達で知識あるアイテムを作れないかってやっていた事があったんだよ。あたしはその実験結果が書かれた文献を読んだだけなんだけどさ」
「それで、どうなったの?」
「結果だけ言っちゃうと、実験は失敗さ。魔力が強い場所っていうのも、移り変わったりする。そのせいで、ずっと魔力が強い場所に置いておくことが出来なかったんだ」
「うん、なんとなくだけどわかるよ」
「でもウルは違う。知識あるアイテムとして生まれた」
「うん」
「それはなぜか。それがわかればウルのことが色々わかってくると思う」
なんで知識あるアイテムになれたか。
魔王様だよね?
魔王様のおかげだって思ってるけど……




