マリーと実技試験 ~帰り道~②
「巨人族はな、昔……人族と争っていたんだよ」
「それは聞いたことあるよ。でもかなり昔の話じゃなかった?」
「そうだ。俺が産まれるよりもずっと前の話だ」
「それが……どうしたの?」
「人族は未だに巨人族を恐れている。だから巨人族との混血なんかに、誰も近付いてこねえ」
「…………」
「それだけじゃねえ。嫌がらせも受けたし、それに……」
え? なにそれ!
モーティマは何も悪いことしてないのに、人族から避けられてるってこと!?
「いや……悪かったな、いきなりこんな話して。他の奴とダンジョンを歩くのが久々で、愚痴っちまった」
「ううん、気にしないで……」
マリーも元気なくなっちゃってる!
僕に出来る事……
なにも思いつかない……
「ほら、悪かったって! もうやめだ、こんな話! 忘れてくれ」
モーティマはそう言うけど……
簡単に忘れられるような話じゃないよ。
「モーティマさん、一つだけいい?」
「おう、なんだ?」
「私はモーティマさん、好きだよ」
「……はあ!?」
「優しい人だって伝わってくるもん。筆記試験のときも緊張してる私に話しかけてくれたし。さっきも魔法について問い詰めてくることもなかった」
「おまえ! いきなりそんな……!」
「そんなモーティマさん、私は好きだよ」
モーティマの顔がどんどん赤くなっていく。
赤くなるモーティマを見て、マリーまで慌てだした!
「あっ!? 違! そうじゃなくて! いや、そうなんだけど……」
「ああ!? ……ああ、大丈夫だ。わかってる。いきなりで驚いただけだ」
「えっと……あの、ごめんね」
「いや、謝らなくていい」
モーティマは、まだ顔を真っ赤にさせたまま、マリーから目を逸らす。
マリーのほうを見ようとしないまま、ダンジョンを進んでいく。
「うー……恥ずかしい……」
マリーも顔を赤らめながら、モーティマに続く。
もう! 二人でイチャイチャしちゃって!
僕がいるってわかってるの!?
……モーティマは僕のこと知らないんだけどさ。
その後は、途中でモーティマが道を間違えそうになったところをマリーがフォローしたり、モンスターが出た時にモーティマが突っ込んで行くところをマリーがフォローしたりと色々あったけど、無事に四階層へ。
途中の戦闘で、鞘から抜かれることもあったけど、短い時間だったせいかな?
あの声が聞こえてくることはなかった。
鞘から抜かれている間は、ちょっとモヤモヤした気持ちになったけど、それだけ……
四階層はマリーも道を覚えてなかったから、迷いながらだったけどなんとか上層への階段を発見!
そこからは早かった!
最短距離で! とはいかないかもしれないけど、迷うことも無く出口まで到着。
ここから出れば、昇格試験は終わり。
「モーティマさん、もう時間はすぎてるよね?」
「ああ、一の鐘はとっくに鳴り終わってるはずだ……」
確か、一の鐘が鳴る前にダンジョンから出ちゃうと失格になっちゃうんだよね。
でも鳴り終わった後だと、遅くなればどんどん点数が低くなってくはずだから、鳴り終わってるなら早くここから出なきゃ!
「じゃあ……行くよ?」
「おう!」
二人並んでダンジョンから出る。
外はもう陽が昇って来てる。
一の鐘は日の出と同時に鳴る筈だから、鳴り終わってるのは間違いない!
たった一日の冒険だったけど、楽しかった!
これからもっと、マリーと冒険していきたい!
マリーの為に、もっともっと頑張るからね!




