マリーと実技試験 ~モーティマ~
竜巻モーティマのおかげで、モンスターがいなくなったから、マリーも僕を鞘に戻してくれた。
鞘に戻ればあの声はもう聞こえない……
会話が出来たと思ったけど、マリーがピンチになってからは忘れてた。
またその内、話すこと……出来るのかな。
あ、それよりも今は。
「“クリア”!」
モーティマが棍棒を振り回して、モンスターを叩き潰したせいで、血肉がマリーにも飛んできてた。
ケガしたわけじゃないからいいけど……
気持ち悪そうだったから、“クリア”でキレイにしてあげたんだ。
モーティマはモンスターがいなくなったことに気付いたのか、回るスピードが落ちてきた。
今はもう、竜巻っていうより……酔っ払いが歩いてるときみたいにフラフラしてる。
あ、モーティマが倒れた。
「モーティマさん! 大丈夫!?」
マリーがすぐに駆け寄る。
「ああ、大丈夫だ。この技は使った後に気持ち悪くなっちまうんだ。だからこれで終わりにするって時くらいしか使えねえ」
あれだけクルクルしてれば、そりゃ目も回るよね。
「倒れたのも心配だったけど……ケガはない?」
「おう、かすり傷くれぇだな。オーガはやべぇと思ったが……マリーのほうは大丈夫なのか?」
「うん、私も平気。ケガもないよ」
「そうか。助かった、ありがとな」
「ううん。無事で良かった」
マリーとモーティマは笑い合う。
お互いの無事を祝って。
二人とも危ない所だったし、ホントに無事で良かったよ。
「さてと、じゃあ魔石を回収してくか」
「そうだね。……オーガの魔石はどうする?」
「どうするって、あいつを倒したのはマリーだろ」
「そうだけど、先に接触してたのはモーティマさんだし」
「んなもん関係ねぇよ。倒したマリーの物だ」
「うん、ありがとっ」
マリーは倒れているオーガの死体に向かって行き、魔石を回収する。
やっぱり今までの魔石の中じゃ一番大きい。
オーガの魔石を回収した後は、ゴブリンやオークの魔石も探す。
乱戦だったから、魔石が壊れちゃったモンスターもいたけど、それなりに回収は出来た。
「ちっ……こいつもダメか。おっ! こいつは……くそ」
モーティマも自分が倒したモンスターの魔石を回収してるけど……
ほとんどが粉々になってて、まともな魔石は少ないみたい。
悪態をつきながら魔石を探しているモーティマが、マリーに話しかけてきた。
「なあ、マリー。聞いてもいいか?」
「え……うん。なに?」
「あんた、魔法使えるのか?」
「…………」
マリーが黙っちゃった。
僕の事を話さないで説明するのは……難しいよね。
「いや、いいんだ。悪かった」
「え……?」
「そんだけ若えのに、あんだけ魔法使える。それでも冒険者やってるなんて、訳ありだろ?」
「え……っと」
「いいんだって。あんたは俺の命の恩人だ。詮索なんかしねぇ」
「あ……ありがと」
「礼を言うのはこっちだ。助けてもらってんのに悪かったな」
「ううん」
えっと……
ここでは“アクアショット”と“ファイアーボール”くらいしか使ってないよね?
あ、“クリア”も使ったけど。
その魔法だけで……訳ありなんて言われちゃうの!?
簡単な魔法しか使ってないのに!?
だからマリーは人前で魔法使ってほしくなかったんだ。
そういえば、馬車を助けたときに使った“アクアウォール”も大魔法なんて言ってたっけ。
僕の考えてる普通が、マリー達にとっては普通じゃないんだ……
普通って……
難しい。




