マリーと実技試験 ~オーガ戦~②
僕が咄嗟に“ファイアーボール”を使った瞬間……
「うわあああぁぁぁ!」
マリーが僕を振るう!
目の前に出てきた火の玉に僕が突っ込まれる!
熱っ……くないや。
あれ? 火の玉が僕の刀身に沿って纏わりついてる。
火を帯びた僕とオーガの拳が衝突する。
オーガの拳を、真っ二つに割りながら燃やす。
僕の刀身はオーガの肘までしか届かなかったけど、炎はオーガの肩にまで達しようとしている。
「ぐをっ!? ぐをおおおおぉぉぉ!」
燃える腕を見ながら叫ぶオーガ。
僕を振るったままの格好で呆然とその姿を見ているマリー。
「マリー! しっかりして!」
「あっ!」
まだオーガは生きているんだから。
オーガは腕を燃やしている炎を消そうと、地面に腕を擦りつけ出した。
しゃがんでいるから、オーガの顔がマリーの目の前にある。
マリーはオーガの頭に向かって、僕を振り下ろした。
僕の刀身からは、すでに“ファイアーボール”の火は消えている。
それでもオーガを斬るのには問題なかった。
頭から胸に掛けて、僕が通った。
血を噴き出しながら倒れて行くオーガ。
部屋中に響くような音を立てながらオーガが倒れた。
残っていたゴブリンやオークが一斉にこっちを見る。
「ぐぎゃ! くぎゃ!」
「ぐもっ!」
今まで連携をして戦ってたのがウソみたいに、ゴブリンもオークもバラバラに動き出した。オーガがいなければ、まとまりなんて全くない。
部屋から逃げて行くのもいれば、モーティマに向かって行くのもいる。
でもマリーに近付いてくるのはいない。
さすがにオーガを倒したマリーには近付いたら負けるってくらいはわかるのかな。
マリーは目の前に倒れているオーガを見ながら呆然としてる。
「マリー、大丈夫」
「…………」
「マリー?」
「えっ? あ、うん。なに?」
マリーには目の前までオーガの拳が迫ってたはず。
あの拳に直撃してればたぶん……マリーは死んじゃってたと思う。
助かってよかったけど、マリー自身が今の状況を把握できてないみたい。
「マリー、オーガを倒せたね」
「うん。そうみたい。ウルのおかげだね」
「マリーもすごかったよ! 魔法使っちゃってごめんね」
「ううん、あの魔法なかったらどうなってたかわからないし……ありがと」
「うん! それとね、マリー」
「なに?」
「モーティマを助けてあげなくてもいいの?」
「えっ? あ!!」
逃げたモンスターもいたけど、残ったモンスターすべてがモーティマに襲いかかってた。
連携がなくなって楽になったとしても、あの数を相手にしてたら、さすがに無事じゃ済まなそう……
「モーティマさん! 今行きます!」
マリーがモーティマに向かって走り出す。
マリー側にいたゴブリンやオークは、マリーが近付いてくると気付いたら逃げ出した。
数が減ったからか、モーティマにも余裕が見えてきた。
「うをおおお! マリー、離れろ!」
モーティマが棍棒を振りまわし、周りにいたモンスターを叩き潰す。
その場で棍棒を持ちながら、自身もくるくると回る。
まるで竜巻みたいになったモーティマがモンスターの群れの中へ突っ込んでいく。
竜巻にぶつかったモンスターは血や肉片を飛ばしながら倒れて行く。
あ、これだったんだ。
前の部屋で壁に飛び散ってた原因は……
モンスターは近付くだけで潰れていく仲間達を見て諦めたのか、残りは逃げ出しちゃった。
これでなんとか、この大部屋にいたモンスターを退治できたのかな。




