マリーと実技試験 ~六階層~③
僕が気付いたときには、マリーに向かって火の玉が三個、別々の方向から飛んできた。
さっきのマリーの悲鳴は、倒れているゴブリンに足を取られてバランスが崩れたせいみたい。
そのタイミングを狙ったかのように火の玉がマリーを襲う!
このままじゃマリーに当たっちゃう!
「“アクアショット”!」
マリーの周囲に複数の水の玉が浮かぶ。
ゴブリンが放った火の玉は、僕の“アクアショット”にぶつかって消えた。
よし、このまま発射だ!
“アクアショット”を火の玉が飛んできた方向へ飛ばす!
進路上にいたゴブリンに当たると、体を貫通して更に後ろへ!
一つの水の玉で十数体のゴブリンを倒せたんじゃないかな?
魔法を使ってきたゴブリンに当たったかどうかは、わからないけど……
マリーが僕をチラッと見る。
今のは危なかったよね!?
魔法を使っていいタイミングだったよね!?
「ありがと、ウル」
視線をゴブリン達に向けながら、マリーがお礼を言ってきた。
良かった。あまり魔法を使ってほしくなさそうだったから、ちょっと心配だったんだよね。
でもお礼言われちゃった!
人を助けてお礼言われるのって、嬉しくなっちゃうね!
よーし、もっと頑張っちゃおう!
一回使っちゃったら、何回使っても一緒だよね? 同じ魔法なら大丈夫だよね?
「“アクアショット”!」
ゴブリンが密集しているところを狙って水の玉を撃ち込む!
今度も大量のゴブリンが倒れた!
ついでに、ゴブリンの後ろにいたオークにもケガを負わせたよ!
「え? ウル……?」
この調子でもう一回!
「“アクアショット”!」
「ちょっ! ウル、抑えて!」
マリーが慌ててる?
なんでだろ。
とりあえず、これはオークへ向けて発射!
今度はゴブリンに邪魔されることもなく、オークに直撃!
ゴブリンで威力が弱まって無ければ、オークだって倒せるんだよ。
マリーの周りにはもう、数匹ずつゴブリンとオークがいるだけ。
これなら安心かな。
「ウル……ちょっと魔法使いすぎかな」
「えっ? はい……」
マリーが怒ってる?
同じ魔法使っただけだよ?
なんで……?
(斬れ……全部……殺せ……)
ちょっと落ち込んだら、またすぐに怖ろしい囁きが聞こえてくる。
もう黙っててよ!
目の前にモンスターがいるのに集中出来ないじゃん!
(黙れ……お前が……!)
……あれ?
そういえば、さっきから僕……会話してる?
心の声と?
(斬れ……切れ……斬れ……)
ねえ、聞こえる?
なんでそんなに斬れとか殺せって言うの?
(憎い……あいつ……)
やっぱり会話出来てる!?
じゃあじゃあ、えっと……
あいつって誰?
(あいつ……は……)
「ぐをおおおぉぉぉぉ!!!」
うわっ! オーガが吠えた!?
マリーの周りにいたゴブリンやオークが、オーガの声を聞いたら離れて行った。
全部モーティマの方に向かってく!
オーガがこっちに来る!?
マリーは緊張した表情で、僕を構えてオーガを睨みつける。
オーガは薄笑いを浮かべながら、ゆっくりと一歩を踏みしめるように歩いてくる。
オーガが一歩進むたびに、威圧感が増す。
こんな巨体が近付いてくるなんて、それだけでも怖いよね。
これってピンチなのかな?
魔法使った方がいい?
でもさっき怒られたし……
どーしよう!?




