マリーと実技試験 ~五階層~
僕が魔王様のことを考えていた間にも、マリーはダンジョンを進んでいた。
この五階層はさっきまでの通路より道幅も広く、天井も高くなってる。
「ウル、もしかしたらだけど……ここから先は大変になるかも」
「えっ、なんで?」
「ダンジョンの通路が広くなったでしょ?」
「うん」
「これだけ広ければ大型モンスターが出てきてもおかしくないって思わない?」
「確かに! ここまではマリーより小さなモンスターばっかだったもんね。マリーは大型モンスターと戦ったことあるの?」
「あるにはあるんだけど……そこまで経験あるわけじゃないんだ。私は森の中で戦うことの方が多かったから」
森の中ならそんなに大きなモンスターは出てこないのかな。
「森にはどんなモンスターがいたの?」
「魔獣系のモンスターが多かったかな。ゴブリンとかも出てきたけど、狼や猪の魔獣とか……あとは鳥系の魔獣もいたよ」
「このダンジョンでは見かけないモンスターばっかだね」
「そうだね。ここは人型のモンスターや昆虫系が多いのかな? 昆虫系ならあまり大型モンスターっていないんだよね。でも人型で大きなモンスターといえば……」
「あっ、マリー! 何か近付いてくる!」
大きな足音がこっちへ近付いてくる。
せっかくマリーからどんなモンスターが出てくるか聞こうとしてたのに!
間が悪いんだから。
通路の奥から見えてきたその姿は、高さはマリーより頭一つ分大きいくらい。
でも横幅はマリーの倍以上ありそう……
鼻が豚みたいになっていて、牙も生えてる。
手には槍を持ってるみたい。
「オークだね」
マリーがモンスターの名前を教えてくれる。
今まで見たモンスターの中では一番大きい。特に横幅が。
「僕がやる?」
「ううん、私がやりたい。オークと戦うのは初めてだけど、大丈夫だと思うよ」
マリーはそう言うと、一気に駆け出した。
まだ距離があったからか、オークは立ち止まり、落ち着いて槍を構える。
近付いてくるマリーを観察してる。
このオークってモンスター、かなり冷静?
オークの攻撃範囲にマリーが踏み込んだのか、オークは大きく一歩を踏み出し槍を突き出してきた。
マリーは槍の側面へくるりと回りながら避ける。
回った勢いを利用して、槍を持つオークの腕に向かって僕を振るった。
オークの腕を全く抵抗もなく斬り落とす。
「ぐもーっ!」
オークが痛みに悲鳴を上げた。
その隙を見逃さず、マリーはオークの首に向かって僕を振るう。
痛みに呻いていたオークは、避ける間もなく頭と体が斬り離される。
倒れて動かなくなったのを確認してから、マリーはオークへと近付く。
「ウルがいてくれれば、オークも簡単だね」
「僕は何もしてないよ?」
「ウルの切れ味が凄すぎるんだよ。普通の剣なら、こんな簡単に腕や首を斬り落とすなんて出来なくて、何度も何度も斬りつけてやっと倒すことが出来るんだよ」
「そうなんだ。それでもマリーの腕がいいから、簡単に倒せたんだと思うよ」
「ふふっ、ありがと!」
しゃべりながらも、マリーはオークから魔石を抜き出す。
オークの魔石はゴブリンに比べると、数倍の大きさがあった。
「へー! 大きな魔石だね」
「そうだね。もっと下へ行けばオーク以上のモンスターもいるかもしれないけど、ちょっとこの階層で魔石を集めようか」
「うん! いいと思う!」
昇格試験のポイントを稼ぐ為に、この階層でオーク狩りだ!




