村長宅
マリーとグリュエールが周りを警戒しながら、ビルギットに近付く。
「鍵は開いたよ。耳を澄ませてみたけど、音は聞こえてこないから近くには何もいなんじゃないかな。マリーも確認してみてよ」
「うん。わかった」
マリーが裏口の扉に耳を近づけて集中してる。
「扉の近くにはいないと思う……うん、大丈夫」
「よし、じゃあ行こうか」
村で一番立派な村長の家って言っても、田舎の村だしそんなに大きくはない。
平屋の一戸建てで、他の家よりは大きいってくらい。
ビルギットが扉を開けて、中へと入っていく。
マリー、グリュエールもそれに続く……
裏口の扉を開けると、そこは台所だった。
特に荒らされた形跡もないみたい。
「台所からだと……あっちは大広間かい?」
「はい。そのはずです」
グリュエールが台所から繋がる扉を指さしながら確認する。
こっちへ来る前にミドから家の間取りは聞いていたから、皆大体は把握してるんだ。
村長の家は、皆で会議をする為の大広間。仕事する為の書斎。あとは寝室とこの台所くらい。部屋の数は少ないんだって。
マリーが扉に近付いて聞き耳を立てる。
「ゴブリンがいますね。鳴き声が聞こえます。
……話声? だれか話してる……?」
マリーが大広間の様子を教えてくれる。
話声が聞こえるってことは……オグロスやフェネックがいるってことかな!?
「どうしますか?」
マリーがグリュエールに尋ねてきた。
オグロス達がいるなら、助けに入るんじゃないのかな。
「話声が聞こえたっていうのは、オグロスかフェネックの声だったのかい?」
「いえ……聞いたことない声だったので、誰かわかりません。内容もうまく聞き取れなかったので、自信はないですが……」
「ゴブリンしかいないはずなのに他に誰がしゃべるんだ?」
「ゴブリン以外に誰かいる……? ゴブリンがいるのは確かなんだね?」
「はい。ゴブリンの鳴き声は聞こえてきましたから」
「何匹くらいいるかわかるかい?」
「そこまでは……でも少なくとも三匹以上はいると思います」
「ここからじゃ、大広間を抜けないと他の部屋には行けないし……どうしようかね」
「誰がいるかわからなきゃ動きようがないだろ? ちょっと扉開けて、中を確認するしかないんじゃないの?」
「そうだね……」
三人が扉に近付き、静かに……少しだけ扉を開ける。
扉の向こうには、普通のゴブリンが数匹と大きなゴブリンが一匹いた。
あの大きいのがゴブリンキングなのかな。
あれ? でもやっぱりゴブリンだけしかいないじゃん。
話声って、マリーの聞き間違えだったのかな。
「グギャ! グギャ!」
「まだ目を覚まさんのか。獣人は身体が強いという話だったが?」
「グギャ! グギャ!」
「ふむ。仕方ない。逃げたりしないか見張っておれ」
「グギャ! グギャ!」
えっ……しゃべってるのって、あの大きなゴブリン!?
ゴブリンキングは頭がいいって言ってたけど、しゃべれるの!?




