しゃべるゴブリン
ゴブリンキングに指示されたゴブリンが二匹、大広間から出て行く。
これで、大広間にはゴブリンキングの他に普通のゴブリンが三匹残っているだけ。
「さて、捕えた方は目覚めるまで待つとして……そこでコソコソと覗き見しているお前達は何者だ?」
えっ!?
ゴブリンキングがこっちを振り向いた!
気付かれてたの!?
「グギャ!? グギャ!!」
ゴブリンたちも騒ぎだした!
「ちっ! 一旦逃げるよ!」
「でも! オグロスさん達が……」
「いいから! 話は後!」
グリュエールがマリーを引っ張って、逃げようとするけど……
「逃さぬよ。“ストーンウォール”!」
僕達の背後、外への扉の前に土の壁が出来た!
「僕が壊すよ! “ストーンバレット”!」
僕の周りに複数の石が生まれて、目の前に出来た土の壁に向かって飛んでいく。
“ストーンバレット”で生まれた石は、土の壁に当たると穴を開けて貫通した。
貫通した石が土の壁の後ろにあった壁や扉を壊したような音が聞こえたけど……気にしない!
「穴が開いたけど、壊れてないよ!?」
土の壁は、あちこちに穴は開いているけど、そのまま立ち塞がっている。
「えっ!? ダメだった……じゃあ!」
「そう慌てるな。話を聞くだけだから、こちらへ来い」
え……?
ゴブリンに話が聞きたいから来いって言われた……?
グリュエール達も困惑してるし……
「来ぬのか? まあ我が恐ろしいのは理解できる。多少の無礼は気することもないか……では、その場で我の質問に答えよ」
「……なんだい?」
「何をしにここへ来た?」
「……知り合いを助けに。ここへ運ばれて行くのを見た人がいてね」
「ふむ。獣人の二人のことか?」
「そうだよ。無事なのかい?」
「気絶しておるしケガもしておるからな。無事とは言えんかもしれんが、生きてはおるよ」
「ケガって!? 大丈夫なの!?」
「マリー、落ち着きな」
「だって……」
マリーは不安だよね。知り合いがケガして気絶してるなんて聞いたら。
僕だって、マリーがケガして寝込んでるなんて聞いたら、冷静でいられないと思うもん。
「死にはしないであろう。血も止まっておるようだしな」
「二人を返してもらうことは出来るかい?」
「ふむ。我の質問に答えるなら考えよう」
「……あたしに分かることなら」
「まあそれで良かろう。まずは、おぬしら何人でここへ来た?」
「三人だよ。ここにいる三人で来た」
「もう一人いるであろう?」
「え?」
「隠すでない。もう一人おったであろう。先程魔法を使った者は誰だ?」
「あ……あれは……なんというか……」
僕のこと? 魔法使ったのは僕だもんね。
「ふむ。正直に答える気はないということだな。ならば致し方ない」
えっ!? 何する気!?
魔法使われたら皆がケガしちゃうかも!
「僕だよ! さっき魔法使ったのは僕!」
「誰だ。どこにおる?」
「ここにいるよ。目の前に」
「はあ、しょうがないね。今の声はこの剣だよ」
グリュエールが溜め息を吐きながら僕を見せる。
「しゃべる剣だと……知識あるアイテムか」
ゴブリンでも知ってるんだね。知識あるアイテムって。




